リストバンドでライブ・スポーツ観戦のすべてが完結。ウェアラブル時代を先取りしたパスレボの取り組みとは

音楽ライブやスポーツ観戦などのチケットの売買はITやインターネットの進化によって大きな革命がもたらされている。たとえば、チケットの購入はネットで簡単にでき、不要になったチケットはオークションなどで簡単にさばける。

そして、今回、チケットのあり方にさらなる最新技術を採用する取り組みが実施された。エイベックス・エンタテインメント株式会社(AEI)とヤフー株式会社との共同出資による合弁事業会社であるパスレボ株式会社は、米国最大級のチケット販売会社「AXS GROUP LLC」(アクセス・グループ・エルエルシー:AXS)と日本国内における独占的なパートナー契約を締結し、リストバンドを使った最新のチケット技術を導入した取り組みを開始した。

電子チップ入のリストバンドで観客動員数の把握などの実証実験

まず、音楽分野では、9月15日〜17日に東京・お台場で開催された世界最高峰の都市型ダンスミュージックフェスティバル「ULTRA JAPAN 2018」で、「AXS」の技術を搭載した電子チップ入のリストバンドでリアルタイムでの観客動員数や行動履歴の把握の実証実験を行った。

今後は電子チップのなかに決済機能を搭載することで、会場内の飲食やグッズ購入を可能にすることも検討しているという。

スポーツ分野では、福岡ソフトバンクホークス株式会社の協力のもと、福岡ヤフオク!ドームにて開催される「2018 パーソル クライマックスシリーズ パ」の観戦チケットの販売において、「360度3Dマップビュー」の導入を開始する。

これにより、チケットの購入前にブロックごとの眺めではなく、座席ごとの眺めや、ドリンクカップホルダーの有無を確認したり、フェンス際に選手が来た際にみえる角度が想定可能になるなど、新しいチケットの購入体験をユーザーに提供するという。

この技術は、既に2016年からNBAやNHLなどアメリカのスポーツチケット販売で採用されているが、日本のスポーツ業界では“初”の導入事例だという。

なお、パスレボは本技術の導入以外にも、下記のような特徴をもった「AXS」のさまざまなチケット技術を、今後のチケット販売において導入を目指す方針だ。

  1. さまざまな流通経路でのチケット販売状況を共通の在庫プラットフォームにより、リアルタイムで管理ができる
  2. ダイナミック・プライシング(価格変動形式)で行う販売方法の場合でも全ての販路で瞬時に価格を設定させる
  3. 1次、2次流通を統合して、同じ在庫でリセール販売ができる
  4. ユーザーのIDベースのデジタルチケットを、転売・偽造防止のため、任意の秒数で可変するQRコード形式で販売する
  5. チケット購入時にセットで注文した飲食やグッズを、デジタルチケットのQRコードを認証させると、会場内で受取りができる

※「QRコード」は、株式会社デンソーウェーブの登録商標。

また、今後は、パスレボが運営する「Yahoo!チケット」で取り扱う音楽興行やスポーツ興行などで順次導入していく予定だ。

チケット購入から飲食購入まで完結するConnected Stadium事業とは

今回の取り組みと類似する例として、ユーザビリティ向上に向けスタジアムのICT化を目指したConnected Stadium事業をご紹介しよう。

これは、合同会社DMM.com、ベルギーの株式会社STVV、株式会社Candee、トランスコスモス株式会社の4社による事業で、STVVが運営するサッカー ベルギー1部リーグシント=トロイデンVVにおいてスタジアムのICT化を目指したものだ。

具体的には、スタジアム内の高速インターネット環境のもと、デジタル技術により、観戦チケット購入や駐車場の予約、スタジアムでのグッズ、飲食の購入などがスマートフォン一つで完結できるSTVV公式アプリの開発事業だ。

これにより、スポーツ観戦の利便性を高め、試合前から試合終了後まで楽しむことができるコンテンツやサービスを提供する。さらに、スタジアムを起点に周辺地域やコミュニティの活性化にもつなげ、地域とともに発展を目指す。

各社の役割としては、DMMはSTVVへのIT支援および開発リソースの提供やファシリテーションを担当、STVVはサッカークラブ運営によるノウハウの提供やコンテンツ導入後の現場運営を担当、Candeeは、事業全体のマネジメント、STVV公式アプリのコンテンツ提案・支援を担当、トランスコスモスは、Connected Stadium事業第一弾であるSTVV公式アプリの開発および運用を支援している。

ウェアラブル端末を活用した新しい時代のチケットサービス

今回の取り組みは、チケット購入から飲食購入まで完結するという点では、Connected Stadium事業と同じだが、違うのはツールとして使用するのがスマホではなく、電子チップ入のリストバンドという点だ。

総務省の「平成28年版 情報通信白書」によると、こういったウェアラブル端末市場は2020年には世界で626億ドルにまで成長すると予測している。パスレボ株式会社の取り組みは、新しい時代を先取りした新しいチケットサービスなのだ。

img:PR TIMES

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