近年、働き手の意識が大きく変化している。戦後から高度成長、そして数年前までは、我々日本人は「個」より「組織」を優先した働き方を美徳としてきた。ところが、「働き方改革」の浸透やそれまでの世代と異なる価値観を持つミレニアル世代の台頭などにより、働きの意識は大きく変わろうとしている。

そんな中、ビジネスパーソンの「働き方」最新意識調査が実施された。生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研は、ビジネスパーソンの「働き方」最新意識調査結果を発表した。それによると、働き方改革のカギは「脱パソコン」にあったという。

全体の約6割が働き方改革への意識の高まりを実感

調査は、1都3県在住の1日あたり平均1時間以上のデスクワークがある20~50代会社員男女500名を対象にした。

まず、「ここ1~2年で働き方改革に対する意識が高まっていると思いますか?」と聞いたところ、全体の59%と約6割が「そう思う」と回答した。また、「勤務する会社において働き方改革に対する意識が高まっている」と答えた人も51%と半数以上に上ったという。

この結果について、同社では「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みとして政府が進めている働き方改革だが、実際のビジネスの現場においても、働き方に対する意識が高まっていると感じる人が多いようだとしている。

また、そこで、働き方改革に関する取り組みのうち「重要だと思う/興味がある制度」を質問すると、「フレックスタイム制度」(38%)、「在宅勤務制度」(35%)、「時短勤務制度」(33%)、「テレワーク制度」(31%)などが上位に入った。

さらに、「ここ1~2年で勤務先のオフィス以外において仕事をすることが増えたと思いますか?」という質問では、およそ3人に1人(30%)が「そう思う」と回答している。在宅勤務制度やテレワーク制度に代表されるような「場所を選ばない働き方」も広がりをみせているようだ。

これらから、働き手は改革が着実に進んでいると感じていることがわかる。特に、オフィス以外での仕事が増えたと感じている人が3人に1人の割合でいるのは、注目すべきことだ。

「場所を選ばない働き方」を実現するスマホの普及

次に、「働き方改革において活用したいアイテム・デバイス」について聞いた質問では、「パソコン」(74%)、「スマートフォン」(51%)がツートップとなった。

特に20~34歳の「ミレニアル世代」ほど「スマートフォン」と回答した人が多く、その割合は63%に。35歳以上の「ミドル世代」で同じ回答をした人は44%で、両者には19ポイントもの差が生じている。

そして、実際に「仕事において電話機能以外でスマートフォンを活用している」人も、34%と全体の3人に1人にいた。特に年収が高い人ほどその傾向が強く、スマートフォンの活用割合は同じ「ミレニアル世代」の中でも、年収「~300万未満」の人が27%であるのに対して、「~600万未満」では35%、「600万以上」では38%となっている。

また、今回の調査では「働き方改革において活用したいアイテム・デバイス」として「パソコン」を選ばなかった人も約5人に1人(26%)に上った。その理由としては「重たくてかさばるから」が63%で圧倒的に多く、以下「インターネット環境が必要だから」(29%)、「作業できる場所が限られるから」(25%)、「コンセントなど電源のある環境が必要だから」(24%)などの回答が目立っている。

この結果について、同社では近年広がりをみせている「場所を選ばない働き方」を実現する上では、持ち運びに不便で作業に制限が生まれるパソコンより、スマートフォンを活用したいと考える人もミレニアル世代を中心に多いと分析している。

また、「パソコンではなくスマートフォンで仕事をするメリット」を聞くと、「持ち運びがラクである」(75%)、「電車移動中も時間を有効活用できる」(65%)、「起動に時間がかからない」(42%)、「電源やWi-Fiの確保に気を配らなくてもよい」(41%)などの回答が目立ったという。

スマホのビジネスユースが進み求めるデバイス像に変化が

そこで、前問で「仕事において電話機能以外でスマートフォンを活用している」と回答した人に、「仕事においてスマートフォンを活用することで、業務効率はどれくらいアップすると思いますか?」と聞いたところ、「3割増し」という回答が最多(24%)になった。

また、「仕事においてスマートフォンを活用した場合、パソコンのみを使用した場合と比べて勤務時間は短縮されると思いますか?」という質問でも、81%が「そう思う」と回答した。なお、具体的に「どれくらい勤務時間が短縮されると思いますか?」という質問では、平均「66分」という結果になった。スマホの仕事活用によって、残業なども1時間以上カットできることになる。

そこで、「仕事において使用するスマートフォンを選ぶ場合に、今後求めたい機能・性能」を聞くと、「1日使用しても充電が切れない」(67%)、「セキュリティが安心できる」(58%)、「メモリの容量が大きい」(52%)などが上位になった。

また、「同時に複数の画面で作業ができる」(23%)、「タッチペンなどで画面に直接手書きができる」(17%)などを重視しているという声もあがった。

スマートフォンのビジネスユースが進むことで、今後求められるデバイス像にも変化が生じていきそうだ。

ミレニアル世代にとってスマホは「相棒」

どうやら、今後の働き方改革への進化のカギを握るのは、ミレニアル世代が社会の中核を担うに連れ、パソコンからスマートフォンへの移行、つまり「脱パソコン」にあると言えそうだ。

今回の調査結果について、世代・トレンド評論家の牛窪恵氏は、

「お仕事スマホ」は、言わば自分の“相棒”。それだけに、「お仕事スマホ」選びにおいても容量や処理スピード、充電の持ちなどのスペックはもちろん、見た目も含めた「テイスト」のフィット感で選ぶ傾向が強いようです。

とコメントしている。

img:共同通信PRワイヤー