例えばライバル社の商品と機能や価格に差がなかったとしても、自社のファンであれば自社の商品を優先的に買ってくれる。またファンだからこそ、自社に商品やサービスの感想や、時には叱咤激励を送ってくれることもある。
一口にファンといえばアーティストやスポーツ選手向けの言葉のようにみえるが、企業にとっても、このようにファンは重要な存在である。企業が中長期的な成長を目指すために、ファンは欠かせない存在だ。
かといって、ファンを獲得しファンとの関係を良好に保つのは簡単なことではない。多くの企業がこの点で失敗し、頭を悩ませているのが実際のところだろう。
企業とファンをつなげるオンラインコミュニティプラットフォーム「COMMUNE」が登場
ウェブサービスやスマートフォンアプリの企画から開発・運営まで行うDayone株式会社は、企業とファンをつなげるオンラインコミュニティプラットフォーム「COMMUNE」のβ版を提供開始した。
COMMUNEは、企業が自社のファンを獲得し関係性を強くするために有効なオンラインコミュニティを簡単に構築・運用できるサービスだ。
企業用のコミュニティといっても、その構築や運用のノウハウがまとまっているわけでもなく、成果と比べて企業側の負担も重くなりがちだ。
COMMUNEでは、コミュニティの管理者である多くのコミュニティマネージャーの声を機能や運用サポートへ反映。ユーザーがなるべくリソースを費やさなくても、簡単にコミュニティを構築・運用できるようにし、成功の確度を高めるという。
コミュニティの構築・運用とはいえ、専門の知識を持つスタッフが自社にいなかったり、仮に適任がいてもリソースを割けなかったりということが多かったことだろう。COMMUNEは、そんな企業の力強い味方になってくれそうだ。
独自の熱量分析やAIによる支援など、COMMUNEの注目すべき特徴とは
COMMUNEを利用すれば、自社のテイストにあったデザインのコミュニティを、コーティングなしで直感的に制作することができるという。くわえて立ち上げにあたっては、専任のコーディネーターが全面的にサポートしてくれる。
運用の開始した後は、コミニュティマネージャー業務サポートによりリソース負担を軽くすることも可能。コミュニティ運用にあたって最も怖いのは炎上だが、AIアシスタントによって炎上リスクの検知・通知が行われる。
COMMUNEでは、獲得したファンとの絆を強くするための機能も備えている。
「企業へのフィードバックやサポート、友人への紹介、SNSでの発信」といった、ファンの“愛のアクション”に対してオリジナルポイント/バッジでお礼をすることが可能。ポイントにはコミュニティ内での流動性を設けて、企業・ファン間の「好きの経済圏」の構築をサポートするという。
さらにコミュニティの状態に関しては、独自の熱量分析にて可視化が可能。この分析結果は専用のダッシュボードで確認できる上、自社データベースと連携させることで、売上への見える化も実現するとのことだ。
その他にも、COMMUNEでは以下のような機能・サービスを提供する。
- 専用アプリに加え、既存の自社サイトや自社アプリへの導線設置
- ファン課金システム
- 他社の施策・事例、KPI設定方法といったコミュニティ運営ノウハウの提供
コミュニティの構築・運営から分析に至るまで十分な機能を用意しているといえそうだ。このサービスによって企業のオンラインコミュニティが活発化することを期待したい。
なおCOMMUNEはすでに、JFLプロサッカークラブや、カジュアル服飾やスーツのブランド、ヘルシーフード通販などの企業に選ばれているという。
「ファン」を対象としたサービスが他にも続々と登場
ファンとのつながりを構築・促進するためのサービスは、他にも続々と登場しているようだ。例えば株式会社SKIYAKIが運営するWebサービス「bitfan CLUB」もその1つ。
アーティストやクリエイター、飲食店・企業までが自身のファンクラブを簡単に開設することができるサービスで、無料・有料の会員を募ることができる。このサービスはIDを登録し、サイトに必要な情報を設定するだけでファンクラブを作成できる。
その他、bitfan CLUBでは、独自開発の「bitfan」により、ファンクラブ・EC・コンサート・SNSなどさまざまなチャネルよりファンの行動履歴を収集。ファンの熱量を計測することができるという。
また株式会社Ofuseが運営する「Ofuse-オフセ-」は、ファンとクリエイターをつなげるWebサービス。このサービスを使えば、ファンは自分の好きなクリエイターに対しファンレターやクリエイターの報酬となる投げ銭を送ることができる。
企業やクリエイターにとっても、好きな企業・クリエイターとの繋がりを強くしたいと考えるファンにとっても、これらのサービスは大歓迎だろう。
「ファン」との関係性を多様化できる時代に
一昔前は、オンラインコミュニティを持つ企業など一握りもなかった。シンプルな公式サイトを持つ企業もそれほど多くなかったろう。
IT化がすすんだ現代においては、今回紹介したサービスによって、企業とそのファンが容易につながることができるようになっている。企業がファンと向き合い、彼等の反応や声によってサービスを向上させれば、ファンにとってはうれしいことであり、その恩恵はファン以外も受けることができる。
これらのサービスによって、このような企業とファンの良質な関係が、1つでも多く築かれることを期待したい。