インターネットの進化やEコマースの発達は、チケットの二次流通を容易にし、そこに新しい問題が発生している。「チケットの転売」は、買い占めにより価格が不当に高く釣り上げられるという大きな問題をはらんでいる。また、偽造チケットの流出も問題だ。
株式会社LCNEMは、ブロックチェーンを利用した『転売対策が容易』であるチケットシステム「Ticket Peer to Peer」を公開した。
ブロックチェーンの利点を最大限に活かした転売対策
「Ticket Peer to Peer」とは、NEMブロックチェーンを利用したチケット管理システムである。
特徴は以下のとおり。
- 転売対策が容易
- どのような形式のウェブサイトにも自由なデザインを埋め込めるため、イベントサイトから購入ページへの遷移をなくすことができる
- イベント主催者は、イベント参加者からの支払いにあらゆる支払方法を設定可能
従来、ブロックチェーン上でチケットシステムを構想する場合、ブロックチェーン上でトークンをやりとりするといったアイデアが多く思いつかれる。
しかしこのシステムでは、ブロックチェーン上のアドレスそのものをチケットとする。
チケットとなるブロックチェーン上のアドレスが、ブロックチェーン上で何もトランザクションを受け取ったことがない場合、『有効なチケット』とみなされる。
なんらかのトランザクションを受信した時点で、無効なチケットとなるという。
また、転売対策として、なんらかのトランザクションを受信した時点で無効になる性質があるため、改札時の受付の担当者だけでなく、誰もがチケットを無効化することができるシステムとなっている。
誰が、そしていつ、無効化したかがパブリックブロックチェーン上に改ざん不可能な状態で公開されるため、無効化に貢献した人にブロックチェーン上で報酬を与えることが簡単になる。
つまり、このシステムではブロックチェーンの利点を最大限に活かし、転売対策をすることができるのだ。
さらに、このチケットシステムを簡単に利用することができ、GmailからのチケットQRコードの送信や、スプレッドシートの管理などをひとまとめにしたGoogle Apps Scriptを公開している。
このシステムでは支払方法もフルカスタマイズが可能となっている。ビットコインなどの仮想通貨や、LCNEMのステーブルコインを利用することもできる。
今後同社では、大手イベント企業・エンターテイメント系企業などとの提携を狙う。また、メインプロジェクトであるLCNEMのいわゆるステーブルコインへの対応をすすめ、普及につなげる方針だ。
チケット二次流通の全ての問題を解決する「チケジャム」
現在、チケット販売に関するサービスは他にも登場している。たとえば、チケットジャム株式会社が提供している新しいチケット売買サービス「チケジャム(ticketjam)」は、チケット二次流通の全ての問題を解決するというサービスだ。
チケジャムは、取引が完了するまで代金を一時的に預かるシステムを導入。また興行主への売上還元システムを導入し、チケジャムの理念に賛同する興行主にはチケジャムで発生した利益を還元する。
特徴は以下の3つ。
- 安心安全な取引
- 興行主への売上還元
- 出品制限による転売対策
また、会員登録無料、当日まで売買可能、情報非公開で取引可能、全額返金制度あり、といったメリットもある。
さらに、不正な高額転売について、出品できるチケットの出品可能枚数に制限を設けており、興行主と協力し、1次流通を含め理想的な仕組みづくりに取り組んでいる。
ブロックチェーンを活用した新しい転売問題対策
「Ticket Peer to Peer」はブロックチェーンが、チケットの有効、無効を判断するという新しい試みだ。
いずれにしても、チケットの二次流通問題対策は、ユーザー側と興行側との協力が必要であるため、このようなサービスによってチケットの販売が正常で不正のない状態へと近くことを期待したい。
img:PR TIMES