アーティストのチャンスを創造する“音楽家”特化のクラウドソーシングは、音楽家の価値を上げられるか

テクノロジーの進化や聴き手の意識の変化で、音楽ビジネスの在り方が大きく変わろうとしている。しかし、ミュージシャンとして音楽のみで生計を立てることができるのはごく一部の成功者に限られ、その多くはアルバイトなど別の仕事をしながら音楽活動を続けるしかない現状は変わらない。

そんな現状を打破しようというサービスが登場した。株式会社イントリニティーは、アーティストに新たな可能性を提供する音楽特化型プラットフォーム「YAPLE(ヤプル)」の第一弾として、音楽の仕事を依頼したいクライアントと音楽を提供して収益を上げたいアーティストをつなぐクラウドソーシングサービスの提供を開始した。

クライアントとアーティストをつなぐクラウドサービス

YAPLEのコンセプトは『アーティストに新たな可能性を提供する音楽特化型プラットフォーム』だという。今回はその第一弾として音楽の仕事を依頼したいクライアントと音楽を提供して収益を上げたいアーティストをつなぐ、クラウドソーシングサービスをスタートする。

具体的には、音楽を取り入れて集客・サービス向上・コンテンツ品質向上を行って行く予定のクライアントと、演奏を通じて収益を上げたいアーティストを結びつけるサービスとなる。

サイトは、仕事を依頼する人、仕事を受ける人、両方に向けたものとなっており、無料で登録するだけで、ミュージシャンは仕事案件検索や受注が、仕事発注者は仕事発注が、それぞれ簡単に行える。

同社によると、将来的には、クラウドソーシングサービス以外にも様々なサービスを展開していくという。アーティスト/クライアント/音楽ファンの間に多層的・継続的な新しい繋がりを作り出せる音楽特化型のトータルプロデュース・プラットフォームを目指し、サービスを拡大していく方針だ。

ブロックチェーン技術がアーティスト権利を守る

現在、音楽業界ではアーティストの収入が不均衡だったり、中抜きされたりといった問題がある。それを解決するためにブロックチェーン技術を活用したサービスがあることをご存じだろうか。

ブロックチェーン技術を活用した音楽アーティストのためのプラットフォーム「eMusic(イーミュージック)」は、小売業者、サービスプロバイダー、アーティスト、レーベル間での収入を公平に分配することで、不均衡な分配システムを解決するというサービスだ。

「eMusic」を活用することで、従来の小売業者やレーベルなどにより中抜きされていた収益が、ブロックチェーン技術を採用することでアーティストたちに届くようになるという。

リリースプロセスをレーベル用とサービスプロバイダー用にわけるだけではなく、通常であれば第三者機関が担っている支払い機能までも提供する。これにより、レーベルとアーティストへの均等な分配を可能にした。

さらに、売り上げは公開されたデータベースで追跡できるため、ブロックチェーン技術を生かした透明性のある取引が確保できる。これに加え、自身の音楽がどこで、誰が購入して聴いているのかが把握できたり、コスト削減、収益の拡大、瞬時にロイヤリティ支払いを受け取れたりするなどのメリットもあるのだ。

また、ユーザー側には、知られざる新しいミュージシャンとの出会いや、適切価格での購入が可能になるというメリットもある。

埋もれた才能の発掘が可能に

2015年の国税調査によると、音楽家の人数は全国で23,180人だという。しかし、そのなかで音楽のみで生計を立てられている人は、4.5%の1,000人程度と言われている。

音楽のみで生計を立てられない人の中には素晴らしい才能を持っているものの、埋もれてしまっているという音楽家も多いだろう。そのような才能を発掘するためにも、このようなサービスの普及が必要だ。聴き手にとっても素晴らしい才能とめぐりあえるチャンスなのだ。

img:@Press

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