宇宙への旅行が、SFの世界だけの出来事ではなくなってきている。

すでに旅行を目的として宇宙へ行った民間人はすでに複数存在しており、現在、日本の旅行社でも宇宙旅行の販売を始めている。今では一般人の手が届くほどの費用ではないものの、少なくとも宇宙旅行は現実化しているのだ。

だから「宇宙へ旅行する」だけであれば、それほどの驚きをもつニュースではないかもしれない。そんな中、日本でも何かと話題に上っている社長が、アートのプロジェクトとして月へ旅立つことを発表した。

ZOZOTOWNの社長、前澤友作氏が民間人初の月周回へ

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を立ち上げたことでも知られるスタートトゥデイの前澤友作社長が、世界で初めて民間の月周回へ旅立つことがわかった。宇宙開発ベンチャー「宇宙開発企業スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(以下、SpaceX社)」が、日本時間18日午前10時の会見で発表した。

今回の月旅行では、人類の火星移住を目指しSpaceX社が開発している超大型ロケット「BFR」を利用。このロケットを使い、2023年に実施を目指している民間人初の月周回計画の権利を前澤氏が獲得したかたちだ。前澤氏は、BFRの全席をおさえたという。

ちなみに、SpaceX社によると、今までで月へたどり着いた宇宙飛行士は24人であり、1972年のアポロ計画を境として途絶えているという。前澤氏は会見で、感慨深そうに「小さい時から月が好きだった。このチャンスを逃せないと思った」と語った。

球界参入を目指す件など、ここ最近何かと世間で話題となっている前澤氏が、また新たに驚きのニュースを提供してくれた。

世界的なアーティストを月へ招待するアート・プロジェクトとして始動

今回の月周回計画は、前澤氏の単なる個人的な旅行ではない。前澤氏がおさえた超大型ロケット「BFR」の席に乗るのは、各界を代表する世界的なアーティスト最大8名。これらアーティスト達と共に、宇宙を舞台にしたアート・プロジェクト「#dearMoon」が始動する。

前澤氏は芸術への造詣が深く、熱心なアートコレクターとしても知られる。2015年5月には、アメリカの有名画家「ジャン=ミシェル・バスキア」の作品を、前澤氏が123億円で落札したというニュースが世界中を駆け巡った。前澤氏は現代アートの普及活動やアーティストの活動支援を行う公益財団法人「現代芸術振興財団」の会長も務めている。

そして「#dearMoon」プロジェクトでは前澤氏がホスト・キュレーターとなり、アーティスト達と共に1週間かけ月と地球を周回飛行する。アーティスト達には、この旅の中で月や地球を見て得たインスピレーションを鍵に作品を制作してもらうという。

なお、実際にどんなアーティストが招待されるかについて、前澤氏は「ミュージシャン、画家、写真家、映画監督、建築家、ファッションデザイナー」などいくつかの例をあげているが、具体的にはこれから検討されるようだ。公式サイトによると、参加アーティストをはじめとしたプロジェクトの情報は、今後SNSで発表するという。

人類は今までの歴史の中でも、例えば19世紀を代表するドイツの作曲家ベートーヴェンによる「月光」、オランダの画家ゴッボの「星月夜」など、月にインスピレーションを受けて数々の名作を生み出してきた。

前澤氏は公式サイトで、今回のアート・プロジェクトが「一度も見たことのないような夢を見ることができるかもしれない」期待を抱かせるものであり、「このプロジェクトが皆さまの夢を拡げるきっかけになることを願っています。」と語っている。前澤氏は、今回のプロジェクトによって生み出された作品を、「人類の財産として後世に残したい」と考えている。 

地球を代表するアーティスト達が、このプロジェクトでしか得られない経験をもとにして、どんな作品を作ってくれるのか。今から大いに期待したい。

ちなみに今回のプロジェクトでは、宇宙事業関連の開発やコンサルティングを実施する株式会社スペーストゥデイがサポートするという。

前澤氏と大きなアートの夢を乗せた巨大ロケットが月へ飛び立つ

今までニュースとなる宇宙旅行と言えば、「○○が日本人として初めて宇宙へ旅行する」とか、宇宙旅行の値段が高いとかそんな話題ばかりだった。

けれど、アート・プロジェクト「#dearMoon」として始動する今回の月周回では、単に前澤氏が世界の民間人として初めて月へ旅立つというだけではない。世界的なアーティスト達がロケットに乗り込み、この旅行でインスピレーションを受けて、今までにないような作品を作ってくれる、という。

#dearMoonは月へ旅立つ前澤氏等だけでなく、世界が心からわくわくできるプロジェクトとして注目だ。宇宙旅行は費用が高すぎて一般人には手が届かないが、今回のプロジェクトでは彼等の作品を通して、ほんの少しでも月へ旅行するような夢をみさせてくれそうだ。

img:PR TIMES , YouTube