約7割が「職場でのLGBT施策なし」。LGBT約1,600人への調査

TAG:

欧米を中心に注目されている価値観として、LGBTを含む性的マイノリティが台頭し個人や企業は無関心ではいられない時代となっている。多様な価値観に触れたミレニアル世代にとって注目のトレンドであり、国内企業はLGBTに対する施策も必要になってくるだろう。

現時点での認知度やLGBTに関する施策はどのようなものが行われているのだろうか。実際にアンケートを行い9月時点の速報値を確認したところ71.2%が何も施策をしていないという結果になった。

職場での理解は遅々として進まず

特定非営利活動法人虹色ダイバーシティと国際基督教大学ジェンダー研究センターは、共同調査としてLGBTの働き方に関する調査をインターネット上で全50問のアンケート調査で2,348人(有効回答数:2,262人)から回答を得ており、LGBT等の性的マイノリティ(以下、LGBT)に該当したのは1,612人であった。

虹色ダイバーシティと国際基督教大学ジェンダー研究センターが2014年〜2016年の3カ年に実施した大規模アンケート調査では、職場内でのLGBTに関する差別的言動が勤続意欲にマイナスの影響を及ぼすという結果が確認された。

調査項目としては、職場における差別的言動・パートナーに関する差別的取り扱い・LGBTのメンタルヘルス・LGBTの自殺関連行動に関する調査を行った。

まず職場における差別的言動の項目ではこの1年以内に職場で差別的言動を頻繁に見聞きしている(よくある、ときどきある)LGBTは回答者の45.8%であった。

「誰かが同性愛者なのではないかと噂する」のを見聞きしているLGBTが33.3%、求職時に性のあり方に関連した困難を経験している人はLGBT他で29.7%。

また、職場でLGBT施策が何も行われていないと回答したLGBTは71.2%、職場に理解者・支援者がいない(「わからない」も含む)という回答したLGBTは58.8%にのぼる結果となった。

このことからLGBTに対する考え方の相互理解が不足しているため職場でも孤立している傾向が伺える結果となった。今後は職場での正しい理解を深めることが重要になってくるだろう。

パートナーに関する差別的な扱いを職場でされることも少なくないようだ。同調査によると、パートナーを親族扱いにしてほしい希望を却下された人が19.6%であり、家族休暇の申請を却下された人は13.8%であった。

パートナーの差別的な扱いもやはり職場側のLGBTに関する理解が不足している事が考えられる。従来の考え方を変えるにも現在の日本では時間がかかるだろう。

現時点での「慢性的な病気または長期にわたる健康上の問題」に関する質問では、LGBTで「うつ病」を抱えていると回答した方は165人(14.2%)であった。

K6尺度(5点以上で心理的ストレスを抱えている可能性、10点以上で気分・不安障害に相当する可能性、13点以上で深刻な心理的苦痛を感じている可能性が高い)を用いてメンタルヘルスの状態を測定したところ、非LGBTと比較してLGBTの方が、抑うつ・不安傾向が高いという結果が確認された。

不安傾向が高ければ安心して仕事に取り組むことも難しくなり、ひいては生産性の低下にも繋がりかねないだろう。職場の生産性向上のためにも相互理解が必要になってくるだろう。

調査回答時から1年以内の自殺に関連する悩みや意識、行動の有無についての質問では、すべての項目において非LGBTよりもLGBTの方が、悩んだ経験・行動がある方が多く、特にトランスジェンダーで高い傾向がみられた。

求められるのはLGBTへの相互理解

今回の調査から日本ではまだまだLGBTに対する相互理解が不足している傾向があることが確認された。

今後は企業側もこの価値観に対して正面から向き合い、安心して働けるような環境づくりが必要とされるだろう。

img:Digital PR Platform

モバイルバージョンを終了