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少子高齢化により、企業は労働者不足の問題に直面している。安定的な人材の確保は、企業にとって急務の課題といえるだろう。人材の枯渇によって、企業の成長戦略に支障をきたすことはいうまでもない。
このような現状のもと、企業の人事担当は、大きな期待と責任を背負っている。現場のかれらは、現在どのような悩みを持っているのだろうか。
人事担当の多い悩みは、人材の「早期退職(30%)」と「自社とのミスマッチ(24%)」
企業の人材採用支援サービスを提供する株式会社ONEでは、2018年6月26日から8月6日にかけ、関東県内の中小企業の人事担当を対象として、「採用面接の悩みに関するアンケート調査」を実施した。
その結果、面接での悩みとして、「早期離職の可能性が高そうな人を見極められない」(30%)、「自社に会う人材を見極められない」(24%)との回答が多かった。その反面「優秀な人材を採用したい」との回答は13%にとどまった。
仕事ができる優秀な人材を一人でも多く採用したいのは、どの人事担当も共通の願いではあるだろう。ただし多くの企業ではそれ以前に、長く勤めてくれる人材や、職場に馴染んで仕事をしてくれる人材の確保に悩んでいることが多いようだ。それだけ人材採用の問題が深刻な状況といえるだろう。
面接時に人事担当の印象に最も影響するのは「表情(68%)」
同調査では、人事担当が、面接時に何を意識して求職者の話を聞いているか聞いた。結果以下のとおりとなった。
- 「表情(目線以外)」(68%)
- 「目線の動き」(41%)
- 「声のトーン」(34%)
- 「声の大きさ」(31%)
話すときの声より表情の方が、人事担当の印象に影響を与えるようだ。これから就職・転職を控える人にとっては大いに参考になる結果だ。
人事担当の75%が人材入社後に「ネガティブなギャップを感じたことがある」と回答
このアンケート調査では、人材の入社後に、面接の際と比べてギャップを感じたことがあるかも人事担当に聞いている。結果、人事担当の75%が、採用した人材の入社後のネガティブなギャップを感じたことがあると回答した。
具体的な例として以下があげられる。
- 「物わかりのよさそうな人だと思っていたが、0から100まで説明が必要なタイプだった。」
- 「テキパキした人だと感じたが、入社後の仕事ぶりはマイペースだった。」
- 「こちらから質問できない部分でのギャップ(病歴など)。」
- 「病気を持っているなどの体調面。」
- 「経験者だと思っていたのに、やり方・情報などが過去のもので仕事を任せられない。」
人をみる目に長けた人事担当でさえ、この様なギャップに悩んでいるようだ。一方で、以下のようなポジティブなギャップを感じたとの声もあった。
- 「面接の時とは違い、現場配属するといい意味で明るかった。」
- 「この人大丈夫だろうか、と感じていた人が勤続3年。」
いずれにしろ短時間の面接だけでは、印象どおりの最適な人材を継続的に確保するのは難しいということだろう。
多くの企業が自社のデメリットを伝えることで、入社後のギャップ軽減を図る
入社後のギャップを少しでも軽減するために、企業側も手をこまねいているわけではない。自社のデメリットを伝えたり、なかには自社についてまとめた資料を用意しておき面接の際に相手に渡したりといった工夫をしている企業もあるようだ。
また、できるだけフランクに会話することで、求職者の自然体を引き出すという人事担当の声も多かった。
いずれにしろギャップが少なくなるように、面接の際には手を尽くして求職者を観察することが必要といえるだろう。
約半数の企業が面接時に質疑応答のみ行っている
求職者のことをよく知るために、面接において質疑応答以外に取り入れている手法は何か聞いた。
結果「性格検査(34%)」、「計算問題(21%)」、「一般常識」(16%)という回答が上がるなか、最も多いのは「特になし(47%)」だった。
上述したように、人事担当の多くが面接の精度に悩みを抱えているにも関わらず、人事担当の約半数が面接では質疑応答しか行っていないということだ。
現代では、簡単なテストなどで相手のパーソナリティを知るノウハウはさまざま出回っている。人事担当はそういったノウハウをもっと積極的に活用すべきではないだろうか。
ちなみに、面接に「心理学(4%)」や「人相学(1%)」を取り入れているという人事担当はごくわずかだった。このあたりの手法も、もっと検討されてよいだろう。
人材不足のなか、面接の精度向上が求められる
今回の調査では、人事担当が求職者の早期退職や入社後のギャップなどに悩んでいることがわかった。少子高齢化などで人材不足が進むことは避けられない。一方で人材が多過ぎてリストラや早期退職を応募する企業も多いようだ。
そのためには、人事担当は質疑応答以外の手法を積極的に取り入れるなどして、面接の精度向上を目指すべきではないだろうか。
img:PR TIMES