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スマートフォンの普及やスマートスピーカーの登場で音声認識技術が注目されている。特にスマートフォンでは、iPhoneにいち早く搭載された「Siri」は大きな話題になった。これにつれ、Androidでも同様のサービスやアプリが続々と出てきている。
では、その現状はどうなっているのだろうか。iProspect Japan(アイプロスペクト・ジャパン株式会社)は、スマートフォンユーザーを対象に音声技術の利用目的とその利用率を調査した研究結果を発表した。
日本ではまだ定着していない音声技術
この調査は日本、中国、インド、インドネシア、シンガポール、オーストラリアの6つのマーケットを対象に、音声技術に対する戦略(ボイスストラテジー)を構築するマーケターにとってどのような影響があるのかを明らかにするために実施された。
調査は、マーケティングリサーチコンサルタントIdstatsとともに18-50歳の1,800人以上のスマートフォンユーザーを対象に実施された。ここでは、APAC地域における音声技術(音声検索、音声認識、音声対応アプリなどを含む)の影響とその規模を明らかにした。
まず、回答者の62%が過去6カ月以内に音声認識機能を使用したと回答し、中でもインドは82%、中国は77%と音声技術の利用者が多いことがわかった。
また、56%は過去6か月の間に音声技術の利用頻度が上昇したと回答し、95%はこの先一年間音声認識を使い続ける意志があると回答した。
一方、日本ではスマートフォン利用者の40%しか音声技術を使用しておらず、他のAPAC市場ほど成長していないことがわかった。音声技術を使用していると答えた回答者の中でも、月に1度しか使用頻度がない人は20%におよび、日本における音声技術の利用は特殊な用途で使われることが多く、日常的なアシスタント機能としては定着していないことが判明した。
また、スマートフォン利用者の30%は一度も音声技術を使用したことがないと答えているという。同社では、日本におけるハードルは、利用頻度を上げること以外にも文化的な背景として公共の場で音声技術を使用することへの躊躇を挙げており、また正確に質問を理解できないといったストレスを経験したことも重なっているとしている。
そしてこのことから、技術プロバイダーや企業にとってその文化的認識を乗り越え、過去の経験を払拭させることが今後の課題であると分析している。
iProspect太平洋アジア地区CEO Joanna Catalano氏は調査結果について次のように述べている。
「音声技術がもたらす変化の影響を世界中で目の当たりにしています。現在急成長中のテクノロジーに適応できない企業は、消費者との重要なタッチ・ポイントにおいて想像を超えるスピードで取り残されてしまうリスクがあります。本研究は音声技術の利用状況を鑑み、企業が音声に対する戦略(ボイスストラテジー)を構築する際に検討すべき要素を調査しています。」
ボイスストラテジー構築において検討すべき3つの要素とは
また、この調査では、企業がボイスストラテジーを構築する際、推奨する検討すべき要素として以下の3つを挙げている。
- 利便性
ハンズフリーの瞬間や毎日のルーティーン(生活習慣)に入り込むことで、ユーザーに音声技術の本質的な価値を提供することが重要。ユーザーの質問やユーザーが欲しい情報をアシスタントが提供するといったシンプルな部分から始めることが重要であるとしちる。 - ランク ゼロ(強調スニペットへの表示)のための最適化
アジアでは音声検索が商品・場所などを見つける際の重要な手段になりつつあり、会話型の質問に対応するため、企業はSEOとマーケットプレイスのコンテンツストラテジーを最適化することが求められる。音声検索を行った場合の回答は一つしかない。このため、自社がその一つになれるかが重要だという。 - 音声技術利用状況を正しく理解(躍動的成長市場 VS 保守的成長市場)
各国各地域での音声技術の利用状況(ビヘイビア、利用目的、エコシステム)には明確な違いがある。企業のマーケティングを成功させるにはまず市場の特性とエコシステムを理解する必要があるとしている。
公共の場で音声技術を使用することへの躊躇がハードルに
この調査によると、日本での音声技術普及はまだ遅れているようだ。この調査でも指摘しているとおり、公共の場で音声技術を使用することへの躊躇からである。
日本での普及のカギをにぎるのは、こうした文化的なハードルを払拭することがキーになってくるのかもしれない。
img:PR TIMES