これまでの海外からの日本人ビジネスマンのイメージは「働きすぎ」や「働きバチ」といったものが多かった。確かに、われわれ日本人は長時間労働が当たり前だった。

ところが、働き方改革や生産性向上など企業の勤務形態を見直す取り組みの進行や働き手自身の意識の変化で、その労働環境は変わりつつある。

しかし、それでもなお日本の労働環境は海外に比べると、「特異」だという。果たしてその実態はどうなのだろうか。

世界各国のさまざまなデータ収集に特化したITソリューションを提供するSyno Japan株式会社は、ホームページの全面リニューアルを行い、新たなコンテンツとして「グローバルリサーチブログ」を開設した。

これにともない、日本、米国、ドイツ、シンガポール、メキシコの5カ国にて「休暇取得に関する意識調査」を実施した。5カ国比較調査から考察できる、日本の特異性を示す結果の一部を、分析コメントと合わせて紹介する。

日本の年間休暇は5カ国中最も少ない8.76日

まず、「あなたの職場で、年間で最大何日間の休みを取得することができますか?」と聞いた。その結果、ドイツが男女平均21.17日と5カ国中最も多い結果となった。

一方、日本は5カ国中もっとも少なく、男性は12.5日、女性に限っては4.95日という結果となった。平均で8.76日という他の国と比べても唯一の1桁ということからも、休暇を取ることができる環境や意識は他の国に比べて、大きく異なっていることがわかる。

日本は男性がかろうじて2桁となっているが、女性が異常に少ない。また、男女間でここまで大きな差があるのは日本だけで、日本の女性はまだ長く休暇を取ることに抵抗感があるようだ。


また、年代ごとにみてみると、年代の傾向は、国によって異なるようだ。日本と米国の若い世代は休暇が取りにくいことがわかる。とくに米国は、55歳以上になると休暇日数が大幅に上がる特徴がある。

日本は、23~35歳は6.47日と極端に少なく、社会人になりたての時期は、長期での休み取得は困難な状況がわかる。

一方、ドイツは年代問わず20日を超えていることから、企業内に休みを長期で取りやすい環境が確立されていることがわかる。

欧州各国は総じて他の地域よりも多く休みをとる傾向にあるようだが、なかでもドイツはトップだということがわかる。

ミレニアル世代の約9割が転職時に「休暇」を最優先

このように日本人は休暇が取れていない現状がわかったが、若い世代ではその意識は確実に変わりつつある。

株式会社レファミーが運営する転職プラットフォーム「referme(レファミー)」が全国の20~30代・男女372名を対象に実施した「休暇・転職」についてのアンケート調査では、働く20~30代の約60%が「思いどおりに休暇を取れていない」ことがわかった。

その理由としては、「仕事が忙しく休暇を取得する時間がない」や「同僚に迷惑をかけるため」といった理由が多かった。

また、全体の約90%が転職先を決める際の基準として、「休暇の取りやすさ」を優先する傾向があることがわかった。なかでも「休暇の取りやすさ」を「最優先」すると回答した人は全体の22.6%に上っている。

このように、ミレニアル世代をはじめとした若年層は、「休暇」を重要視しているのだ。

「特異」な日本の労働環境イメージの払拭へ

日本では若年層を中心に「休暇」に対する意識は変わりつつあるが、実際の労働環境整備はまだそれに、ついていけていないのが現状のようだ。

外国から「特異」だとみられてきたのは、日本人の伝統的な「働くこと」への美徳感だろう。それは、「個」よりも「組織」を大切にする精神からきているものではないだろうか。

しかし、今やそれは確実に変わりつつある。それにつれて、労働環境も改善していかないと、「働き方改革」は進まない。少なくとも海外から「特異」にみられない程度の改善が望まれる。

img:PR TIMES