日本は“AI無関心国”?日本企業とAPAC諸国におけるAIに対する調査

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AIはもはやビジネスにとって必要不可欠なものになりつつある。企業はこぞってAIをベースにしたビジネス戦略を模索している。

では、実際に日本ではどのくらいの企業がAIを導入し、そして、AIに具体的に何を期待しているのだろうか。

AIテクノロジー企業のAppierは調査レポート「アジア太平洋地域でのデジタル変革の促進における人工知能の重要性」を発表した。これによると、AIテクノロジーを導入している日本企業は47%、一方で導入予定なしの企業は28%だった。また、期待している事業成果は「既存の製品やサービスの改良」だった。

日本では47%の企業が導入。しかし、予定なしの企業が28%も

この調査はAppierの委託によりForrester Consulting社が実施したもので、アジア太平洋地域および日本の企業を対象に、AI導入状況、直面している課題、目的、AIに期待するものを理解することを目的に行われた。

AIの活用について、企業の導入状況や、企業の期待、活用方法、活用するメリット等について、日本とAPAC諸国の回答を比較し、日本企業のAI活用に対する考え方について、いくつかの違いや特筆すべきポイントをまとめたものだ。

日本版では、日本企業の回答結果に焦点を当て、アジア太平洋地域の結果との比較・分析を行っている。

まず、AIの導入について質問したところ、日本では以下のような結果となった。

また、APAC諸国全体では以下のとおりである。

APAC諸国全体と比較し、日本ではまだAIの導入を検討していない企業が多いことが明らかになった。

日本では実に28%と約3割の企業が「興味がない、当面の予定はない」と答えており、日本でもAIで大きな利益が得られると考えている企業が多いなか、これは予想を上回る意外な結果となった。

これについて、Appierの製品マネジメント担当部長であるマジック・ツー氏は次のように述べている。

「AI、特にディープラーニング(深層学習)テクノロジーは、将来の予測結果に基づいてビジネスの意思決定をサポートする。最終的には、企業は過去の履歴データに頼るのではなく、将来のビジネスに何らかの影響をもたらす意思決定を的確に行うことを可能にする。

この調査によると、AI、特に深層学習テクノロジーの採用で、日本企業にはさらに大きな利益を得られることは明確だ。日本企業が、素晴らしい成功を収めてくれると信じている」

また、AIテクノロジーを利用する上で直面するであろう、または直面している最大の課題について質問したところ、日本で最も多かった回答は以下の結果となる。

  1. 「顧客に関する予測的な知見の獲得」(44%)
  2. 「データの収集と、データ増加に伴う大量データの効果的な統合」(41%)
  3. 「適切なデータ管理および予測分析プラットフォームの構築」(35%)

一方、APAC諸国では最も多かった回答は以下のとおりである。

  1. 「データの収集と、データ増加に伴う大量データの効果的な統合」(53%)
  2. 「適切なデータ管理および予測分析プラットフォームの構築」(52%)
  3. 「部門横断型チームの設置」(51%)

この結果から、膨大な顧客データを収集したものの、現状のIT環境では明確な消費者インサイトの発見が難しいと感じている企業が多いことが明らかになった。

APAC諸国と比較すると、日本ではデータ分析に関する回答が多いことがわかった。また、「データの収集と、データ増加に伴う大量データの効果的な統合」は、APAC諸国と日本共通の課題であることがわかった。

どうやらAIについては、データの扱い方、あるいは有効活用について悩んでいる企業が多いようだ。

この調査結果について、ツー氏は次のように述べている。

「APAC諸国に比べ、日本企業がAIへ期待することとして、『顧客に関する予測的な知見の獲得』が多くなっているのは、日本企業がCRMシステムを導入し、顧客関連の詳細なデータを収集、保管しているからと想定される。『膨大なデータの収集統合』とほぼ同じ程度の反応を示しているのはそのためだろう。」

日本企業が期待する事業成果は「既存の製品やサービスの改善」

AIテクノロジーを利用して優先的に生み出そうとしている事業成果について質問したところ、日本で最も多かった回答は以下になる。

  1. 「既存の製品やサービスの改善」(50%)
  2. 「消費者インサイトの早期発見」(47%)
  3. 「さまざまなチャネルの消費者インサイトを向上させること」(41%)

一方、APAC諸国で最も多かったのは以下のとおりである。

  1. 「消費者インサイトの早期発見」(54%)
  2. 「既存の製品やサービスの改善」(52%)
  3. 「市場の変化に対する予測能力と対応力の向上」(52%)

日本とAPAC諸国では「既存の製品やサービスの改善」と「消費者インサイトの早期発見」の順位が逆になっている。日本企業は今ある製品やサービスの強化を狙い、APAC諸国では消費者行動の予測を優先させているようだ。

この調査結果について、ツー氏は次のように述べている。

「APAC諸国と日本は約半数が『既存のソリューションの改良』および『消費者インサイトの早期発見』に課題を感じ、その解決方法として将来予測に対応可能なAIを導入したいと考えている。

AIが企業に導入されるようになり、意思決定と消費者インサイトの理解のための方法は劇的に変化した。企業はビッグデータの分析によって消費者の興味とインサイトについて正確な情報を得ることができ、これにより、次のアクションを起こすことができる」

最後に、ビッグデータ駆動型のAIソリューションへ期待することについて質問したところ、日本では以下の結果となった。

  1. 「事業プロセスの生産性の向上やマーケティング機能の強化」(59%)
  2. 「顧客価値とロイヤリティの向上」(47%)
  3. 「潜在顧客プロファイルの精度と完成度の向上」と「マーケティングミックスの最適化とROIの向上」(35%)

一方、APAC諸国全体でも最も多かったのは、以下のとおりである。

  1. 「事業プロセスの生産性の向上やマーケティング機能の強化」(59%)
  2. 「知見の深掘りによる、顧客とのスマートな関係の構築」(55%)
  3. 「将来の予測による、潜在顧客の絞り込み」(54%)

同社では、日本を含むAPAC諸国全体では、AIソリューションに期待することとして、オペレーションの改良に関連した項目が多くを占めていることがわかったとしている。

企業にとって避けてはとおれないAIの導入

未だに日本企業の実に28%がAIに無関心という結果は少し意外である。一方で、APAC諸国では19%と少ない。

いずれにしても、企業にとって今後、AIの導入は避けてはとおれない道だ。うまく活用して、事業成果を出していってもらいたい。

img:PR TIMES

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