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働き方改革の一環として、国は企業の副業解禁を奨励している。2018年1月には、厚生労働省がモデル就業規則の第67条を「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」と改定した。
実際、社員に副業を許可する企業も徐々に増え始めている。それでは副業を行う側の社会人たちは、副業についてどのように考えているのだろうか。
副業しない理由は「本業で認められていないから」「本業の仕事で精一杯」あわせて約5割
転職・就職の匿名相談サイト「JobQ(ジョブキュー)」を運営する株式会社ライボは、2018年8月、20歳以上の社会人(有効回答181件)を対象として、副業に関する意識調査を実施した。
それによると、副業を認めている企業に勤める回答者は40.9%、副業経験がある回答者は44.2%と、いずれも約半数以下だった。
そして副業経験がないという人に、副業しない理由について聞いたところ、「本業で認められていないから(23.7%)」「本業で精いっぱい(23.0%)」といった回答が最も多く、あわせて約5割にのぼった。また「税務などの手続きが面倒」という回答も全体の11.9%に及んだ。
企業の副業解禁が奨励されているとはいえ、副業に関して企業も社会人も及び腰な人が多いようだ。副業が当たり前の社会になるのは、まだまだ先ということだろうか。
一方、現在副業はしてないものの、「興味はある(15.6%)」「1年以内に副業したい(5.2%)」と前向きに考えている社会人もあわせて約2割におよぶ。社会的には、まだ副業に対してそれまで積極的ではないものの、副業を前向きに考えている社会人たちが副業で成果を出し始めることで、副業に関する社会の意識も変わっていくだろう。
副業を始めた理由の約5割は「本業の収入では足りない」から
同調査で、副業経験者に副業を始めた理由を聞いたところ、「本業の収入では足りない」と回答した人が全体の約5割(47.5%)にのぼった。「本業とは違うやりがいが欲しい(23.8%)」や「本業とは違う人脈が欲しい(18.8%)」といった理由も見受けられるものの、経済的な理由で副業を始める人が多いようだ。
副業の稼働時間は、約8割が週10時間未満、得ている収入は6割超が月3万円未満
副業経験者に副業の稼働時間について聞いたところ、「週末のみ10時間未満(40%)」「平日夜ならびに週末10時間未満(30%)」「平日夜のみ10時間未満(10%)」と、10時間未満が80%を占めた。また副業で得ている月の収入を聞いたところ、63.8%が3万円未満だった。
日本では、副業が本業の空いた時間にそれほど手間をかけずに行うもの、という意識が強いということだろう。収入の額もそんな意識を反映してかそれほど多くないようだ。
一方、週に10時間以上を副業に費やすという人も全体の約7.5%存在し、15万円以上の収入を副業で得ているという社会人も副業経験者のうち11.3%に及んだ。副業が社会に浸透していけば、このように副業で本業に迫る勢いの収入を得る人も増えていくだろう。そうすれば働き方の多様化がより進むと考えられる。
本業とは関係ないところで副業を見つけた人が多数
副業経験者に対して「どのように今の副業に辿り着いたか」聞いたところ、「知人からの紹介(25%)」、「プライベートでの知り合い(16.3%)」「SNS(16.2%)」といった回答が多かった。その多くが本業とは関係ないところから副業にたどり着いているようだ。
企業が副業に対して消極的になる理由の1つとして、競業他社で副業するなどして、情報流出が発生することを懸念していることがあげられる。しかし、本業以外のポイントから副業を見つけている社会人が多いというこの結果を見る限り、そんな企業側の不安も杞憂である場合が多いのだろう。もちろん就業規則で情報流出を禁止することは必要だが、企業は社員をもう少し信じても良いのではないだろうか。
副業を認めていない会社に悪い印象を持つ人が6割超
同調査では、副業を認めていない会社に対してどのような印象を持つかも聞いている。結果、悪い印象を持っているという社会人は、全体の6割超(64.7%)にのぼり、逆に良い印象を持っているという社会人は1割未満(6.7%)にとどまった。
働き方改革の関連で副業解禁が奨励され、副業を認めない企業は時代遅れになっていくだろう。企業には、社員の働き方多様化の一環として、副業解禁が求められる。
アフィリエイターの副業実態は?
別の調査になるが、国内最大級のアフィリエイトサービス「A8.net(エーハチネット)」では、2018年5月にアフィリエイター達の副業実態(有効回答数:1,040人)を行った。社会人がどのような副業を行っているのか、この統計も参考になる。
回答の対象はネット副業に限定されているものの、回答者の6割超(64%)がアフィリエイトに絞って副業をしていた。元手が必要なく、やり方によっては自分一人で仕事を完結でき手軽なアフィリエイトは、副業として好まれているようだ。
その他、アフィリエイトと近いスキルで取り組むことができるクラウドソーシング系(あわせて21.1%)も人気が高かった。逆に民泊やカーシェアなど、心理的にも資本的にもハードルの高い副業は、全体の1.3%にとどまった。これらの副業がより活発化するのは、もう少し先になりそうだ。
副業が多様な働き方の1つとして広がるのはこれから
今回の意識調査では、「企業に認められていないから副業できない」という回答の他、副業する側の社会人にも「本業で精一杯」との回答が多く、企業・社会人ともに副業に対して及び腰な傾向か見られた。
また副業をするとしても、副業で得ている収入が月3万円未満との回答が6割超と、まだまだ家計のちょっとした足しかお小遣い程度の場合が多いようだ。
けれど、一方で副業に興味があったり1年以内に副業をしたいと考えていたりする社会人や、副業で本業に迫る収入を得ている社会人も一定数いるとの結果もでていた。
国に企業の副業解禁が推奨され、副業が多様な働き方の1つとして広まっていくのはこれからということだろう。
img:PR TIMES