時速1,500キロに自動運転、未来の高速鉄道開発に熱狂する中国

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出張や旅行で利用することが多い新幹線。その総延長は現在3,000kmといわれている。

一方、海外にもさまざまな高速鉄道があり、毎年その総延長を伸ばしている。国際鉄道連合によると、2018年6月時点で世界の高速鉄道網の総延長は4万1,908kmに達したという。また、現在1万5,115kmが建設中で、1万0,675kmが計画中とされており、今後2万km以上伸びることが見込まれている。

世界の高速鉄道網のなかで最大となるのが中国だ。中国の高速鉄道網は急速に拡大しており、現時点で2万6,869km、世界全体の60%以上を占めている。さらに1万0,738kmが建設中で、あわせると世界全体の70%になる。

中国は2008年の夏季オリンピック開催をきっかけとして高速鉄道国家プロジェクトを加速、これまでに2.4兆元(約39兆円)以上が投じられたといわれている。その結果、10年足らずで中国31省のうちほとんどが高速鉄道網で結ばれるようになった。

しかし、高速鉄道開発の熱はまだ冷めそうにない。中国政府の関心は一層の高速化や自動化に向けられ、研究機関や企業での開発を後押しするようになっているからだ。

時速1,500km、自動運転、中国が開発するハイテク高速鉄道

高速化に関しては、時速1,500kmを目指す超高速鉄道プロジェクトが進められている。

中国政府の機関紙、人民日報の国際版英字紙グローバル・タイムズは2018年6月20日、イーロン・マスク氏が唱えるハイパーループに対抗する超高速鉄道の開発が中国で進められていると報じている。

中国版ハイパーループを開発しているのは四川省成都市の西南交通大学だ。1.5kmの真空トンネルを使い、理論上時速1,500kmまで加速する超高速鉄道の研究開発を行っている。実験プラットフォームの完成は2021年4月の予定。イーロン・マスク氏が提唱しているハイパーループは時速1,200kmといわれているが、1,500kmはこの速度を意識した数字という。


ハイパーループのイメージ図

成都市ではこのほか、世界最速の超電導リニアの実験トンネルが建設されており、今年中に完成する予定だ。中国では2002年から浦東国際空港と上海市郊外を結ぶ超電導リニアが運行されている。この超電導リニアの最高速度は時速430km、平均速度は220kmとなっている。新しいプロジェクトでは一層の速度の向上を目指すようだ。


上海の超電導リニア

中国では高速鉄道網が全国に張り巡らされてから、経済・社会に大きな変化をもたらしたといわれている。移動時間の短縮によって、都市部に働きに出てきた人々が実家に帰る頻度が増えたり、市内で働きながらも郊外に住む人々が増えたりしているのだ。もし時速1,500kmの超高速鉄道が登場すれば、新たな変化を生み出すことになるのは間違いないだろう。

高速鉄道の一層の高速化だけでなく、自動化にも関心が寄せられ研究開発が進められている。

中国国内の鉄道管理システムを開発している中国鉄路通信信号集団(CRSC)はこのほど高速鉄道の自動運転を研究する目的で、世界最大規模のシミュレーション施設を北京に建設したと発表。このシミュレーション施設では、総延長2,000kmの高速鉄道シミュレーションが可能という。また、高速鉄道だけでなく、都市間鉄道や地下鉄のシミュレーションもできる。

CRSCは、高速鉄道自動運転のシミュレーション結果をもとに、北京と張家口市の間を時速350kmで走行する列車を使ってフィールドテストを実施する計画という。張家口市は2022年冬季オリンピックの開催主要都市。オリンピックまでに自動運転高速鉄道を完成させ、科学技術立国としての力を誇示したい考えだ。

高速鉄道は「一帯一路」構想においても重要な交通インフラと考えられており、今後も投資の拡大に加え、研究開発の規模とスピードが増していくのは間違いないはずだ。

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