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インターネットの発展やSNSの普及により、多くの飲食店検索サービスが登場している。しかし、既存の飲食店検索サービスは、画一的な情報やクチコミにより集客を図っていたため、ユーザーにとっては、膨大な情報の中から自分好みの飲食店を探し出すことに手間がかかっていた。
今回、この問題を解決するという新しいマッチングサービスが登場した。株式会社Bespoは、LINE Ventures株式会社と本田圭佑氏のKSK Angel Fundの出資を受け、コミュニケーションアプリ「LINE」と株式会社トレタの予約/顧客台帳サービス「トレタ」を利用した飲食店の新集客プラットフォーム「ビスポ!」を提供開始した。
コミュニケーション」による新たな集客支援
「ビスポ!」は、LINE VenturesとKSK Angel Fundから出資を受けて誕生した「集客」を解決するサービスだ。「検索」ではなく「コミュニケーション」による新たな集客支援により、「予約」そのものを変革し飲食店とユーザーを結ぶ。
ユーザーは「ビスポ!」のLINE公式アカウント(@bespo)上で希望の条件や予約日時、食材などを不特定の飲食店にリクエストする。そうすると、予約希望日時に空席を持っている飲食店にのみ、リクエストは通知される。
一方、飲食店は、リクエストの対応可否を判断し、リクエストしたユーザーに自店を立候補する。これにより、ユーザーは検索ではみつけることができない自分好みの飲食店を発見することができるのだ。飲食店は、空席時にリクエストの対応を見極め、効率的に集客を達成することができる。
“隠れた優良店”を救いユーザーのニーズを満たす
このサービスの開発の背景として、株式会社Bespoは多くの飲食店は美味しい料理を作るだけではユーザーを集めることができないという現状を挙げている。このため、これまでは、集客手段の一つとして飲食店検索サービスを有力施策として利用してきた。
しかし、サービスを通じた課金の体系は複雑であり、その費用対効果を飲食店が実感しづらいという問題がある。
一方で、ユーザーは自分のニーズを満たす店舗を簡単に探したいが、飲食店検索サービスは大量の店舗情報で溢れ、検索上位かクーポンを提供している店舗に注視してしまう。このため、サイト内で自分の希望に合うと思って来店してみたものの、イメージと違うことも多いのが現状だ。
こうした背景から、“隠れた優良店”を救い、ユーザーのニーズを満たすためには、ネット活用による両者を結んだ双方向性を担保する成約課金型サービスが必要だと考え「ビスポ!」を開発したという。「ビスポ!」は空席にのみマッチングさせるため確実にプラスの集客となるという。
店舗の空席情報は、予約/顧客台帳サービス「トレタ」で管理しており、飲食店は無理のない範囲でリクエストに応えることが可能だ。ユーザーは「かんたん予約」「わがまま予約」の2種類を使用することができる。
また、飲食店とユーザーが互いに評価をし合う、「相互評価システム」を採用する予定である。これは、飲食店がユーザーのリクエストの内容や来店時の様子を評価する機能だ。将来的には、ユーザーも飲食店にレビューをつける機能を追加予定だという。
2018年8月時点では東京・港区と中央区の約50店舗が「ビスポ!」に参加しており、2018年内には東京全域・神奈川県までエリアを拡大し1,000店舗、ユーザー数は10万人を目指す。
2019年には全国主要都市まで拡大、さらにインバウンド展開を開始し、多言語対応や個別にオススメ店舗を表示するAI機能を拡充する方針だ。
2020年内には参加店舗数1万店、ユーザー数100万人を見込んでいるという。また、将来的にはAIを導入し、ユーザーのデータを蓄積し、よりマッチング率を高める予定だ。
「ドタキャン」対策に特化した「matchco」の狙い
飲食店におけるマッチングサービスの一例として「ドタキャン」対策に特化した株式会社ジーエステートのマッチングプラットフォーム「matchco(マチコ)」がある。
「matchco」は、キャンセル発生後、店が管理画面から「キャンセル発生情報」を登録すると、その内容は「matchco」公式ウェブサイト上に即時掲載される。そして、その情報をみた別のユーザーがすぐに予約を入れることができるという仕組みだ。
具体的なメリットとしては、店舗側には以下のようなものがある。
- キャンセル枠を埋めて損害を回避できる
- 食材ロスを減らすことが出来る
- 「ブラックリスト共有型」ではないため、法的リスクが無い
- 登録は無料、マッチング成立時のみ手数料の支払いが発生
- マッチング登録から3カ月間、手数料が無料
一方、ユーザー側には、
- 「今飲みたい」「今食べたい」「今行きたい」が実現できる
- 無料で利用できる
- 思わぬ高級店の予約が取れることもある
- オリジナルサービスや、普段味わえない裏メニューが楽しめる
- 行きたい店を瞬時に検索し、位置情報による経路案内機能を装備
- ポイントや仮想通貨を付与する機能を準備中
といったメリットがある。
さらに、社会への貢献や食品ロス問題の解消も狙いの一つだという。
2018年8月現在、「matchco」にはすでに250店舗の登録が確定しており、その数は増え続けているという。2018年内に登録店舗数を5,000店舗、マッチング回数は1,000回の達成を目指している。
LINE活用が最大の強み
「ビスポ!」の新しいポイントは、ユーザー側の一方的な「検索」ではなく、ユーザーと飲食店の「コミュニケーション」によるマッチングを行おうという試みだ。これにより、ユーザーは本当に自分の好みに合った店を利用することができる。
また、独自のサイトではなくLINEという巨大なSNS上で機能するという点は最大の強みだろう。今やスマホユーザーでLINEを利用していない人はほとんどみかけないほど普及しているため、ユーザーの利便性はこの上なく大きい。