NYに“移動式瞑想スタジオ”が登場。未来の都市では「移動するサービス」が当たり前に?

幼稚園のころの記憶はほとんどないんだけど、おぼろげに覚えているのは、移動動物園がやってきた日。ウサギはあたたかくて、フワフワしていて、思いのほか小刻みに動く口元がかわいいなぁと思ったこと。ヤギは大きくて、ちょっと怖かったこと。動物はちょっと臭いんだなぁと感じたこと。

動物園が自分のコミュニティにわざわざ来てくれるイベントは、あの頃の僕にとって、とても大きな出来事だった。

昔から動物園や遊園地は移動してきた。最近はバンで暮らす“vanlife”が注目を集めたり、設備を持ち運ぶ移動式の映画館もある。今回紹介するのは、バス型の移動式瞑想スタジオBe Timeだ。

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シンプルな外観、サイケデリックな内観、1レッスン22ドルから

Be Timeは、観光用でよくみるタイプの大型バスだ。窓も含めて全面がラッピングされており、大きくロゴが入っている。

外観こそシンプルだが、中は非常にサイケデリック。壁にはLEDが内蔵され、中央には光る大きな球体が浮かぶ。等間隔にクッションが配置され、瞑想をスムーズに行うために高性能なオーディオシステムや防音設備が備わっている。

このバスでニューヨークをめぐり、毎日違う場所に駐車して、参加者を待つ。駐車場所のスケジュールはウェブサイトとSNSで発表されており、毎週金曜日に次の週のスケジュールがアップデートされる。

ウェブサイトから予約すれば参加できる。気軽なコースの「QUICK RESET」は15分から、正式なクラスは30分だ。1日に5〜9回ほどのレッスンを開催している。

正式クラスには、自身のクリエイティビティを高めるための「BE CREATIVE」、自分自身や他者への忍耐力を高め、複雑な感情と向き合う「BE LOVE」などテーマがある。

2018年7月時点での直近のスケジュールを見てみると、朝の8時頃からスタートし、お昼過ぎにはすべてのレッスンが終了する。 ビジネスパーソンであれば、出勤前にクラスに参加して1日のパフォーマンスを高めたり、お昼休みでリフレッシュする使い方ができそうだ。

QUICK RESETは11ドル、正式なクラスは22ドルで、5個や10個のクラスをまとめて購入できるパッケージや該当月のクラスに全て参加できる月額会員、学生・シニア割引などもある。

移動型店舗により、オンデマンドでサービスを提供する

移動型サービスは、家賃が高騰する都心であっても固定費を下げつつ、好条件な立地でサービスを提供できるのが魅力だ。

車が街中を走るだけでそれ自体が広告塔になる。大きく「BE TIME」のロゴが掲げられたバスの外観をみて、検索する人が出るかもしれない。利用者も必要としているサービスが近くに来てくれれば、移動コストをかけずにすむ。

レッスンやワークアウトのような活動は、1日の中で利用するタイミングが限られる。あるいは、遊園地や動物園のように提供するコンテンツが変えにくいものもある。「限定性」を帯びるサービスを、必要なときに、必要な場所に移動させる。そんな発想から、この種の試みは今後増えていくと考えられる。

さまざまな領域で「そのサービスは移動式に変えられないか」と思考実験することで、新たなビジネスチャンスを見つけられるはずだ。

img:Be Time

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