この夏、毎週末のように全国各地で大規模な野外音楽フェスが開催された。分煙化が進むなか、音楽フェスにおける喫煙環境にも世間から視線が注がれている。
そんな状況下においてフィリップ モリス ジャパン(以下、PMJ)は、動員規模・国内音楽フェスの歴史においてもトップクラスにあたる「SUMMER SONIC 2018」に協賛。煙のない社会の実現に向け、参加者にレンタルで加熱式たばこ「IQOS」キットを提供するというイノベーティブな取り組みを実現させた。
AMPは今回、当日のイベントに参加。キット導入に至った経緯をPMJディレクターマーケティング&コミュニケーションズ・坂牧真美氏とクリエイティブマンプロダクションマーケティング部運営部・小池邦彦氏に話を伺った。
燃やさないから実現できた、煙の有害性物質の大幅削減
そもそも、蒸気で吸う加熱式たばこ「IQOS」と紙巻たばこの決定的な違いはどこにあるのだろうか。それは、800度で燃やす紙巻たばこは、煙を発することで有害性成分を発生させてしまう。
それに対して、加熱式たばこの場合、300度で煙を発生させる寸前の温度に加熱する。燃やさずにベイパー(蒸気)を発生させることで、本来の豊かなニコチンの味わいを楽しみながら、およそ90%の有害性物質を削減することができるのだ。
こうした具体的な根拠に基づき、PMJは、加熱式たばこ「IQOS」の促進に力を入れている。
――これまで紙巻たばこを販売していたPMJにとって加熱式たばこへの移行を進めるというのは、リスクではなかったのでしょうか?
坂牧:「紙巻きビジネスはフィリップ モリス ジャパンだけで、およそ50%近くまで減少しています。それでも半数を占めるシェアの紙巻たばこをなくしたのは、われわれが独自に行った実験結果で、加熱式たばこ(IQOS)が、有害性成分がもたらす影響が少ないということが明らかになったからです。
現時点で、IQOSを販売する世界38カ国のうち利用者1位の日本では、先陣をきって加熱式たばこを推進することが企業としての正しい姿勢ではないかと思います。
今後もわれわれが調査した科学的根拠を理解してもらうべく、認知向上の機会を増やしていきたいと考えているなかで、野外フェスの筆頭格・サマーソニックさんにわれわれのビジョンに賛同いただきました。よりよい選択肢の提案として、レンタルサービスという新しい形の取り組みの実現に至りました。」
――サマーソニックとしては、今回のレンタル導入のメリットをどの点に感じていますか?
小池:「一番は煙がでにくいため、非喫煙者に対して配慮ができる点です。それに次いで、ゴミが少なく環境面での影響が少ない点ではないかと思っています。他のお客さんに迷惑をかけないという思想は、今後サマソニで展開していきたい思想です。
今回はあくまでスタートですが、来年20周年を迎えるサマーソニックとしては、音楽フェスのなかで先進的な取り組みに挑戦できたことをありがたく思っています。この機会に、皆さんに加熱式たばこを推奨したいと考えました。
今年の開催で、ZOZOマリンスタジアム周辺に毎回設置していた紙巻たばこの喫煙所を廃したことは、業界の中でも一石を投じることになるのではないかと期待しています。」
――フェスのあり方としても、参加者全員が楽しめる環境の整備の中で利害が一致したということですね。
小池:「非喫煙者のなかには煙で匂いがつくことを嫌い、こうした野外音楽イベントに参加されない方もいると思います。だからこそ今回は、非喫煙者の方が、より快適にイベントを楽しんでいただけるような環境整備を実現できました。
私自身の話で恐縮ですが、さまざまな観点から最近紙巻たばこから加熱式たばこに変更したひとりです。今回の取り組みによって、加熱式たばこの良さに気づいていただける方が増えるのではないかと期待しております。」
坂牧:「まだイベント開始から数時間しか経っておりませんが、先程からレンタルをご利用されている紙巻たばこ喫煙者の方を何人もみることができたので、1日吸って頂いた後の感想が今から楽しみです。
この2日間を通じて、喫煙者の方に加熱式たばこの魅力を実感していただけるような説明を丁寧にしていきたいと思っています。」
たばこ販売会社が率先して、煙のない社会を目指し、加熱式たばこの促進を進める。その姿勢と、参加者全員が楽しめるフェスを追求し、現在のフェスムーブメントの開拓者となりえたクリエイティブパーソンが「人のためを想う」という観点で共鳴し合うのは必然だった。
今回の取り組みは確実に煙のない音楽フェス、そして社会の実現に向けた大きな一歩だったといえよう。この取組みが来年以降の音楽フェスにどのような影響を与えていくのか。加熱式たばこ利用者の増加に対してどう影響をもたらすのか。来年以降も引き続き注視すべきトピックといえるだろう。