金やプラチナといった、貴金属への投資を考えたことはあるだろうか。
銀行の金利が低下する中、資産を預貯金から投資へ向ける動きが出始めている。投資対象として考えらえるのは、株式・債券・投資信託・外貨・貴金属などだ。
投資においては、複数の資産クラスへ分散することが推奨されている。ここでは、人々の貴金属投資に対する関心・情報収集・購入方法の傾向について、最新の調査からみていきたい。
2割近くが貴金属投資を検討・実行。女性の割合が増加
2018年8月28日、田中貴金属工業株式会社は、「貴金属投資に関する意識調査」の結果を公表した。田中貴金属工業は、貴金属地金(じがね、じきん)の製造・販売・輸出入などを行う、1885年創業の企業だ。
調査は2018年5月25日から31日まで、インターネット調査で実施された。調査対象は2つのグループからなる。全国の20代から60代のまでの一般消費者2,500名(男性50%、女性50%)と、貴金属投資商品保有者500名(男性73%、女性27%)の各グループだ。
調査ではまず、一般消費者2,500名に、金投資の保有・経験・検討があるかたずねた。結果19.6%が、「ある」と答えた。
貴金属投資には、「金地金(じがね、じきん)」「プラチナ地金」「金貨・プラチナコイン」「純金、純銀、プラチナ積立」「金ETF」などの商品が存在する。調査では、5つの商品別に保有者の男女比をグラフにしている。
金地金・プラチナ地金では、全163名中28%が女性。金貨・プラチナコインでは、全143名中31%が女性。純金積立商品保有者では、325名中25%が女性。貴金属積み立ては、146名中27%が女性。金・貴金属上場投信保有者では、61名中21%が女性だった。
昨年との比較で、4つの商品カテゴリーにおいて女性の割合が増しているのが目立つ。
では、人々は、どのようなきっかけで貴金属投資に関心をもったのだろうか。
貴金属投資のきっかけ。20代は周囲からの影響、30代は余裕資産の分散と将来不安
一般消費者に、貴金属投資に対する関心を持ったきっかけを聞いた。全体では、「メディアなどで投資の情報に接することが多くて」(34%)、「銀行の金利に不満を感じて」(23%)、「世の中の景気や相場の変動によって」(19%)が上位を占め、昨年同様の結果となった。
年代別の特徴をみると、20代では身近な人からの影響が大きいのがわかる。「身近な人(家族・友人・同僚など)が投資していたのをみて」(16%)、「身近な人(家族・友人・同僚など)に勧められて」(16%)が、他の年代と比べて高い。
30代の特徴は、収入に余裕ができて預貯金も増えてきたものの、資産をまとめて持つことや、病気や老後に対して不安を抱えているという点だ。「預貯金が増えて分散させたいと考えて」(20%)、「病気や老後の生活に不安を感じて」(17%)が、年代別で突出している。
調査では、貴金属投資に際しての情報源についても聞いている。「関心を持つきっかけ」「購入検討時に参考にした」「購入の決め手となった」ものに分けて調べた。
いずれの段階においても主な情報源となっていたのは、「新聞記事」「経済、金融の雑誌記事」「インターネットや投資情報サイト」だった。
「関心を持つきっかけ」で最も高いのが「新聞記事」(19%)。「購入検討時」「購入の決め手」については、専門誌やインターネットが高くなる。新聞の記事で関心を持った後、検討のためにより詳細な情報を求めて、専門誌やインターネットを読むといった傾向があるようだ。
実際の、貴金属投資商品購入ルートとしては、「インターネット取引」が多い。前年比6ポイント上昇して、61%となっている。特に40代・50代・60代での上昇が目立つ。貴金属投資においては、その利便性から若年層だけでなく、中年層にネット取引が浸透している。
自分で考え実行するという、投資スタイルの確立
調査からは、貴金属投資商品の購入・検討を行ったのが全体の2割近くであることがわかった。貯蓄から投資という流れがあることや、分散投資が推奨されることなどから、この割合はこれから増えていく可能性がある。
貴金属投資のきっかけをみると、30代で余剰資金の分散・将来不安といった現実的な対応として投資商品の購入を行っているのがわかる。株式・債券・不動産と並んで、検討対象となり始めているようだ。
教育や情報の充実で、人々の金融リテラシーが高まり、インターネットからは多様な金融商品へのアクセスが可能になっている。「貴金属投資に関する意識調査」からもわかるように、人々は自分で考え投資を実行するというスタイルを、確立しつつあるようだ。
img:PR TIMES