日本の「キャッシュレス大国化」は2020年?ポイントは“スマホの買い替えサイクル”と“手数料の壁”

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世界的にキャッシュレス化が進んでいる。しかし、経済産業省の「キャッシュレスの現状と推進」によると日本の2015年のキャッシュレス決済比率は18%でしかない。

一方、キャッシュレス決済ツールとしてはスマートフォンが注目されており、スマホによる決済が今後のキャッシュレス決済普及のカギを握っているといても過言ではない。

このような背景の中、「音」を活用した独自技術で事業を展開している株式会社スマート・ソリューション・テクノロジー(SST)が運営するスマートサウンドラボ(SSL)では、スマートフォン決済のインフラが比較的整っていると思われる北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県在住の20代~50代の男女200人にスマートフォンを活用した決済についてアンケートをおこなった。

同社はこの調査の結果からキャッシュレス社会を実現させる突破口を探り、その考察を発表した。

インフラ整備により2020年にはキャッシュレス化が普及か

その結果、25.7%の人が「現在、スマホ決済を利用している」、13.6%が「かつて、していた」と回答し、残り約60%がこれまでスマホ決済を利用したことがないと回答した。

また、スマートフォンを活用した決済サービスを日常的に活用している人を年代別にみてみると、利用率が一番高いのが30歳~34歳であり、年代が上がるにつれて利用率は下がっている。特に低いのが、40代である。

これついて、同社では想定される理由として、40代はクレジットカードや交通系ICカード、または現金での支払いがすでに定着していることだとしている。

そして、20歳~24歳の「かつて、していた」と回答した46.2%をはじめ、過去に経験したことのある層を、もう一度スマホ決済市場に引き戻すと同時に、スマホ決済未経験者に利用を促進するには、スマホ決済のインフラを“利用者が利用せざるを得ない”環境に、インフラを整備する必要があると提言している。

また、SSL所長の安田寛氏は、「スマホ決済普及には手数料の壁が立ちはだかっている。ここを解決しなくては、事業者はインフラ整備ができず、ユーザー側の不便は解消されない」と断言している。

一方で安田氏は、数年後にスマホ決済利用者が急激に増える可能性があるとも指摘している。その理由として、内閣府が2017年3月に発表した「消費者動向調査データ」で「スマートフォンの買い替えサイクル」は平均4.4年と試算が出ていることを挙げている。

日本人のスマートフォン保持者のうち7割がApple社のiPhoneである。そして、スマホ決済サービスApple Payを搭載したiPhoneは2016年9月に発売されたばかりである。つまり今、iPhone6以前の機種を使っているユーザーが新しい機種に買い替えた際、スマホ決済を利用し始めるともいえると分析している。

一方、現在は、環境や端末によって「使いたくても使えない」という状況が生まれているのも事実だという。2016年から4年後の2020年にユーザー側の端末による壁がなくなった時に、事業者側がインフラを整備できたなら、キャッシュレスは急速に普及するかもしれないとスマートサウンドラボ(SSL)では予測している。

福岡市が推進する「LINE Pay」による実証実験

日本でも政府や各自治体によるキャッシュレス化の推進は進められているが、キャッシュレス化促進のプロジェクトとして福岡市で行われている「LINE Pay」による実証実験をご紹介する。

これは、「福岡市実証実験フルサポート事業」の「キャッシュレス」に関する実証実験プロジェクトの「福岡市施設」「民間施設」の双方で採択されたもの。今後、福岡市とともにグループ各社で連携しながら市のキャッシュレス化を推進する活動を行っていく方針だという。

この実証実験では、まず、2018年6月に動植物園、美術館、博物館、自転車駐車場などの市施設と、市内各所の屋台、タクシー、商店街などの民間施設で「LINE Pay」を導入し、キャッシュレス・ウォレットレスの実証実験を行った。

実証実験では、「LINE Pay」に加え、市が開設している福岡市LINE公式アカウント(LINE ID:@fukuokacity )とも連動させた。今後はLINEのサービスを複合的に利用することも視野に入れているという。

この実験に活用される「LINE Pay」は、LINEを使った決済サービスだ。銀行口座、コンビニ、Pay-easy(ペイジー)など、チャージが可能になる。

さらに、チャージすることで、加盟店でのLINE Pay決済・コード決済が可能になる。また、LINE Pay間での個人間送金・送金依頼・割り勘といった機能も充実している。

キャッシュレス化推進のための早急なインフラ整備を

冒頭でも述べたが、日本のキャッシュレス決済比率は、中国の55%、韓国の54%、米国の41%と比べ、18%と先進国の中ではまだ低い。

日本でキャッシュレス化が進まない要因の一つとして、日本人の現金に対する「安心感・信頼感」があると思われる。しかし、SSLの考察では2020年にインフラの整備によって、普及が予測されるという。

2020年には東京オリンピックが控えており、そこではキャッシュレス化が進んだ国の人々の訪日が予測される。これらのニーズに応えるにも早急なインフラ整備が望まれる。

img:Dream News
参照:スマートサウンドラボ(SSL)

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