10、20代でも平均80%以上が「現金派」。遅れるキャッシュレスには“紛失”や“使い過ぎ”への対策が普及のカギ?

ミレニアル世代を中心に電子マネーの活用が進んでいる。総務省統計局の「家計消費状況調査」によると、電子マネーを利用した世帯員がいる世帯の割合も上昇しており、平成20年には約2割だったが、23年には3割を超えているという。

株式会社テスティーは同社が運営する若年層リサーチ結果を発信する「TesTee Lab!」において、10代、20代の若年層男女1,194名(10代566名、20代628名)を対象に電子マネーに関する調査を実施した。

若年層の5割を超える電子マネーの保有率


まず、電子マネーの保有率を調査した。その結果、10代の44.2%、20代の60.7%が電子マネーを「持っている」と回答し、若年層全体での保有率は52.8%となった。


続いて、電子マネー保有者を対象に「保有している電子マネーの種類」を聞いた。その結果10代、20代ともに第1位は「交通系」、第2位は「nanaco」、第3位は「WAON」となった。

20代は、商品購入などでポイントが貯まる交通系以外の電子マネーの保有率も高い傾向がみられたという。

この傾向は、ある程度の人たちが電子マネーについて、利便性よりも、ポイントなどの「お得」感を求めていることがわかる。


次に、電子マネー決済を利用する場所を調査した。その結果、10代と20代では以下のような結果が得られた。

  1. 「交通機関」(66.0%)
  2. 「コンビニ」(65.5%)
  3. 「スーパー」(23.1%)
  1. 「コンビニ」(72.2%)
  2. 「交通機関」(60.4%)
  3. 「スーパー」(38.5%)

10代、20代ともに少額決済が可能で、日頃から頻繁に利用するコンビニや交通機関で電子マネーを使用していることがわかった。

また、20代は10代に比べて、コンビニやスーパー以外の飲食店や日用品購入においても電子マネーの利用率の高さがグラフから読み取れる。

いずれにしても、電子マネーの使用は、交通代、日常品や飲食などの比較的少額なものが多いといえる。


そして、現金と電子マネーのどちらをよく利用するか聞いた。その結果、10代で87.4%、20代で78.9%と若年層の8割以上が「現金」と回答した。若年層の電子マネー利用率は2割程度にとどまることが判明した。

若年層においても、未だ現金の使用率が非常に高いことがわかった。これは、日本人に未だ現金に対する安心感や信頼感が根強く残っていることを意味している。

電子マネー決済の普及を望む若年層


「今後、電子マネーがさらに普及してほしいと思いますか?」と聞いた。その結果、10代、20代ともに約6割の人が「(普及してほしいと)思う」と回答した。現金をよく利用すると回答した人が多数派だったものの、電子マネー決済の普及を望む若年層が多いことが判明した。


一方、「(普及してほしいと)思わない」と回答した人を対象に、「電子マネーについて不安がありますか?」と聞いたところ10代の62.4%、20代の56.3%の人が電子マネー利用について「(不安が)ある」と回答した。

そして、その理由を聞いたところ10代、20代ともに「紛失のリスク」という回答が最も多く、他にも「金銭感覚が狂う」、「使用できない場所がある」といった声が挙がったという。

紛失については、やはり、電子マネーはカードであるため、現金より所有時の危機感が薄くなる傾向にあるのだろうか。


最後に日常的に利用している決済方法を聞いた。その結果、前述の調査結果同様、8割以上の人が「現金」をよく利用していると回答した。「電子マネー」は10代の約2割、20代の約3割がよく利用していると回答した。

また、20代では「クレジットカード」を決済時に利用すると回答した人が41.7%と、電子マネーよりも利用率が高い結果となった。

その他、「スマートフォン決済」を選択した人からは「Apple Pay」や「Google Pay」の他、「LINEPay」や「モバイルSuica」などの名前も挙がった。

※TesTee(テスティー)調べ:https://testee.co

紛失や使い過ぎ防止策が普及のカギに

今回の調査から、若年層は電子マネーについて利用の意向はあり、普及を望んでいるものの、一方で紛失や使い過ぎに対する懸念も多いことがわかった。

これらの課題をどう解決していくかが、今後の電子マネー普及のカギとなるだろう。

img:TesTee

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