iPhoneなどで撮影した写真を気軽に投稿できるということもあり、インスタグラムは、20代の若年層から絶大な人気を誇っている。
インスタグラムは、感性のSNSといわれてきたが、これといった効果的なアプローチ方法や検証指標が存在していなかった。『LIDDEL株式会社』は今回、インスタグラムにおけるセグメント別フォロワー数とエンゲージメントの関係について調査をおこなった。
LIDDELでは、インスタグラム5,000フォロワー以上を獲得している男女、1,360人を対象として、ジャンルと年代別、またフォロワー数ごとに分類を行い、直近の5投稿におけるエンゲーメント率の実態を調べた。
調査結果から、「画像で共感をつなぐメディア」ではなく、「憧れから参考にする汎用性メディア」へと変化していることが明らかになった。
若年層はリアルのつながりをSNSに反映させる
若年層は、30~40代と比べて「誰と一緒にいるのか」という内容をSNSに反映させる傾向がある。高校生では、平均のエンゲージメント率が14.7%という高い数字をマークしている。この数字が意味することは、自分が共感した投稿や憧れを抱くような投稿に対してのリアクションに積極的であるということだ。
これは、SNS上で、「自分が人からどうみられているのか」というような自己ブランディングを気にする、世代特有の傾向が明らかになっている。
確認の「いいね」という行動様式がある
インスタグラム上では、投稿を確認していることを示す行動様式がある。若年層に比べて、年齢層の高い人々は確認の「いいね」をする傾向が高い。
このことから、共感に対してのアクションより、社会性や関係性をSNS上で大切にすることが明らかになった。
また20代を含むほとんどの世代において、同世代や前後の世代へ「いいね」をつける傾向が明らかになっており、30代では、いいねをつける数が低下していることが判明した。
このことから、年齢層が低いほど、実社会でのつながり網がそのままSNS上でも反映されているということがわかる。大学生になると、フォロワー数とエンゲージメント率が上昇するとい傾向は、高校生が次なる自分への憧れが投影されている結果ではないだろうか。
またLIDDELは、年齢が高くなるにつれて、共感性の「いいね」を重要視する傾向は、以下の理由が考えられている。
- SNS上とリアルの場での自己は必ずしも一致せず、SNS上でもリアルの場と同様に成長や変化がある。
- いいねの行動履歴をみえる化した際に、他者から「どのステージにいるのか」という目を気にした行動変容が起きる。
- 仕事が忙しくなる、ライフステージが変わるということなどから、SNS上で時間を費やす時間自体がなくなっている。
年齢を重ねるにつれて、SNS社会や実社会における自己の行動変容、それに伴う可処分時間の減少が影響していると考えられている。
フォロワー数だけでは正確な価値を判断できない
2018年から、母集団を形成してこなかったメンズインフルエンサーが、台頭を始めた。男性を一つのジャンルとして検証した結果、男性インフルエンサーの平均エンゲージメント率は8.23%。女性インフルエンサーの平均エンゲージメント率は、4.68%となり、男性インフルエンサーが2倍近くのエンゲージメント率があるという結果になった。
つまり、1万人フォロワーがいる男性インフルエンサーと、2万人フォロワーがいる女性インフルエンサーでは、同じ共感価値を持つという結論が導きだせる。このことから、フォロワー数で価値を図ることは不正確であるという結論に至った。
インフルエンサーマーケティングの重要性と注意点
近年では、「インスタ映え」という言葉が流行している背景などもあり、インスタグラムで活躍するインフルエンサーが、影響力を持っている。そのため、多くの企業では、インフルエンサーによるマーケティングにより、商品を販売したいターゲット層に対して、効果的にアプローチしている。
この際フォロワー数が多いほど、影響力が強いと判断してしまうケースが多いが、必ずしもそうではない。フォロワー数はもちろんフォロワーに対する影響力も重要となってくるだろう。
こういった側面を考慮することにより、効果的なインフルエンサーマーケティングを展開することができるのではないだろうか。
img:PR TIMES