「RPA」は何で選ぶ?ホワイトカラーの定型業務を自動化するRPAの実態調査

RPAの導入により、業務の自動化を進める企業が増えている。

これまで、RDA(ロボティック・デスクトップ・オートメーション)として、アプリケーションのマクロ機能を利用するなどの自動化が行われていたが、それは個人レベルの自動化だ。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)では、企業が利用するサーバーにインストールされ、広範な業務が自動化の対象となり、ホワイトカラーが行う定型業務を広くカバーしてくれる。

自動化の対象が広いため、企業は導入にあたって多くの困難に直面するようだ。最新の調査から、現状をみてみたい。

RPA導入にあたっての企業の方針と課題

2018年08月09日、RPAの導入・運営支援サービスを行う、バーチャレクス・コンサルティング株式会社は、「RPAに関する実態調査」の結果を公表した。調査対象は、自社でRPAを導入済み/導入予定のユーザー200名。期間は、2018年6月22日~25日。インターネットアンケートの形で行われている。

企業はRPAの導入にあたって、どのような方針でのぞんでいるのか。調査した結果、「コストを最低限に抑えて、人材育成も鑑み内製化したい」という回答が33.5%で最も多かった。次いで、「多少の投資をした上で、人材育成も鑑み内製化したい」が24.0%となっている。

企業の選択肢としては、コストを最低限に抑えるか、多少の投資をするか、がある。7割の企業が、コストを抑えたいと答えた。また、運用に関しては、外部に導入だけ委託、外部に導入から運用まで委託、人材を育成して内製化、という選択が考えられる。アンケートでは、半数以上が、導入後は自社内で運用していきたいと回答する結果となった。

では、RPAツールを選ぶ際に、企業が重視しているものは何だろうか。6割近くが「価格」と回答している。「(ツールの)導入実績」という声も半数以上挙がった。UIの面を危惧する向きもあるが、「国産製品であること」(11.0%)はあまり重視されていないようだ。それよりも、「拡張性」(45.5%)、「機能の充実性」(33.0%)を重視する傾向がみられる。

調査では、RPA導入前の段階における課題、運用における課題も聞いている。

RPA導入前の段階における課題として挙がったのは、「コストがネックになっている」という回答が一番多く67.0%だった。以下、「どのツールを選べばよいのかわからない」(48.0%)、「社内の人材・組織体制が不十分」(47.0%)が続く。コスト・人材・ツール選択といった問題意識がみられる。

また、導入後の運用プロセスでの課題・不安としては、「社内の人材・組織体制が不十分」という回答が49.0%と一番多かった。次いで、「期待していたほどの効果が出ない/投資対効果がわからない」が40.5%、「不具合・問題が起きた時にどう対処したらいいかわからない」が39.5%となっている。RPAの運用・問題対処ができる人材への必要性を感じているようだ。

企業はRPA導入の方針として、コストを抑え、内製化したいという意向を持っている。しかし、運用にあたっては、人材・組織体制、とくに導入後運用できる人材に関しての課題を持っているようだ。

課題の解決にあたっては、どのようなことが必要となるのだろうか。

RPA導入の課題解決に必要なものは

企業は、課題解決のために、どのような方策をとっているのか。「今抱えている課題解消のためにどんな対策を取っているか」という問いに対しては、「社内のIT/情報システム部と協業する」という回答が45.5%あった。しかし、そのうち約70%は「IT/情報システム部のリソースが足りない」ことが課題であると回答する現実もあり、根本的な解決に至るのは難しいようだ。

また、「多少の投資をした上で、人材育成も鑑み内製化したい」という方針を持つ企業のうち、半数以上はSIer(システムインテグレーター)やコンサルタントなどの外部専門家を活用していることがわかっている。

「多少の投資をした上で、外部に導入だけ委託したい」という方針を持つ企業の42%は、有料のeラーニングやセミナーなどを活用し、自身で学習している、という結果も出ている。

外部の専門家を活用するとともに、社内の人材育成を行う必要があるようだ。

調査では、RPA導入の満足度も調べている。RPA導入の効果を14.0%が「非常に感じている」、62.0%が「やや感じている」と回答した。効果を感じている人が、導入時に重視していたのは、「ツールの拡張性」だった。逆に効果を感じていない人が重視していた項目は、「ツールの価格」となっている。

導入時には、「ツールの価格」を重視してコストを抑えるよりも、導入後の運用を考えたうえで「ツールの拡張性」を重視するのが、効果を上げることにつながるようだ。

RPA導入にあたって重視すべきは、ツール選びと人材育成

人材不足や働き方改革を考えるうえでも、業務を自動化するRPAの導入を考える企業は多いだろう。

調査をみると、導入にあたってはツールの選択が重要になるようだ。コストよりも拡張性を重視すると、導入後の効果を感じやすい結果となっている。情報システム/IT系部門と現場が協力して、業務を整理し、必要となるツールを選び出すことになるだろう。

RPAは業務を自動化するツールだが、導入後はRPAを運用する人材が必要となる。内製化し社内で運用するのが理想だが、外部の専門家を活用しながら社内の人材を育てていく、というのが現実的のようだ。オンライントレーニングやワークショップなどを活用して人材を育て、ナレッジの蓄積・共有を進めることで実現しそうだ。

RPA導入に際しては、こうした調査などから、導入済み企業の経験を知っておく必要がありそうだ。RPA導入を成功させるための、カギといえるだろう。

img:Digital PR Platform

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