仮想通貨の登場と共にファイナンスの世界を中心に展開していたブロックチェーンだが、その強固な安全性に注目が集まり、金融だけでなく、アート、食品、建設など各分野での応用が始まっている。
そして、その波は爆発的な成長をみせているデジタル広告の課題に対応することが期待されている。
デジタル広告業界の悩み不正広告を撲滅し、信頼性を向上させるオープンプラットフォーム「MetaX(メタックス)」が日本へ進出
BaseLayer株式会社が日本向けPR・マーケティング・コミュニティマネジメントを担当している、透明性のあるアドテックエコシステムを構築するプロジェクト「MetaX(メタックス)」が日本マーケットに初上陸する。
デジタル広告業界ではフィッシング詐欺や「アドフラウド」と呼ばれている不正広告が現在横行しており、これらの経済被害は8,136億円規模にも及びキャンペーン全体の最大37%を占めているということになります。
これらの不正広告問題を解決するため、「MetaX」は既存のシステムにブロックチェーンを活用することで、不正広告を大幅に低減させるプラットフォームの構築を目指している。
「MetaX」の特徴は以下のとおりだ。
- adChain(アドチェーン)分散型サーバー/即時決済を可能にした”スマートIOs”採用
- adChain パブリッシャーレジストリ/ブランド価値毀損のリスクを大幅に削減
- adToken(アドトークン)/多くの目で監視し合う
- アドフラウドを事前に組み分け
- プロフェッショナルサービスで企業支援
これらの特徴により、メディアと広告主は直接広告のやり取りができるようになり、広告主は信頼できる媒体に出稿することが可能だ。また独自の暗号通貨を導入することで、不正行為やドメインの品質を監査することもできる。
「MetaX」が無事に普及すれば現在横行している不正広告も減少に向かうだろう。
ブロックチェーンのデジタル広告活用、本格化が進む理由
「MetaX」のCEO、ケン・ブルック氏によると、同社のブロックチェーン技術の実験を開始したのは3年前であり、広告分野で使用可能になったのはオープソースのソフトウェア「イーサリアム(Ethereum)」が登場したためだ。
これによりブロックチェーンは理論から実践に移りつつある。その中で「MetaX」はadChain(アドチェーン)を立ち上げた。これはブロックチェーンの台帳を使いクリエイティブの一つ一つにタグ付けをし、インターネット上で追跡、閲覧の有無、閲覧した人、実際に配信された場所、予算の使われ方などを把握することができる。
ブロックチェーン及びアドチェーンは業界の複数の参加者が、一つのグループのデータに依存することなく協力できる。アドチェーンはさらにこれからそれをみている人やビューアビリティの基準を満たしているかなどがリアルタイムでわかるようだ。
広告業界には他にも動きがあり、ナスダックは2017年ニューヨークインタラクティブ広告取引所(NYIAX)を立ち上げた。現在はスマートコンストラクトという用途で使用されており、これをブロックチェーンで使うことにより条件が満たされる限り、一定契約を自動で締結することが可能である。
また、ブロックチェーンは広告配信の検証にも活用できるとサイマルメディア(Simulmedia)のCEO、デイブ・モルガン氏は語る。デジタル広告において今後も広告配信の検証は持ちがいなく需要があるのに加え、既存の集約的チェックが複雑、高額化していることから効率化にも有効とされている。
このようにデジタル広告業界にもブロックチェーンを取り入れて活用するする動きが、続々と登場し理論だけでなく実践できる段階まで迫っている。
参照元:ブロックチェーンのデジタル広告活用、本格化が進む理由
広告業界における新技術の課題と今後の展望
ブロックチェーンの導入が近づいているが、活用に大きな課題がまだ残っている。それは、普及が進まなければならないことだ。ブロックチェーンを確実に機能するためには、様々な利害関係者が同じブロックチェーンに登録しない限り成立しない。
また広告業界の特徴として、測定技術の登場から普及されるまでは一定のタイムラグがあることが多い。不正広告の撲滅と広告効果の向上の同時を達成できるシステムだが、それを実現するにはかなりのレベルまで普及しなくてはならない。これから普及されるか、消滅するか、今後も非常に注目の分野である。
img:PR TIMES