言語プログラマーの最高年収は1600万円。テクノロジーの進化とともにIT業界では求人増加

世界ではモノのIoT化が進む中、高度人材の需要が急速に高まっているのが現状である。このような状況おいて、IT人材が気になる1つとして挙げられるのは年収ではないだろうか。

株式会社ビズリーチが運営する求人検索エンジン「スタンバイ」は、「プログラミング言語別年収ランキング2018」(提示年収の中央値ベスト10)を発表した。

年収中央値1位は「Go」の600万円

このランキングは、スタンバイに掲載されている正社員の求人情報約324万件を対象に、各プログラミング言語名が含まれる求人情報の提示年収の中央値を集計したものになる。

その結果は、上の表のとおり、1位「Go」が600万円(最大提示年収は1,600万円)、2位「Scala」が600万円(同1,300万円)、3位「Python」が575.1万円(同1,499万円)となった。以下で5位までのランキングと同社の分析結果を紹介する。

1位の「Go」は、C言語の置き換えとして、Dockerなどの基盤ソフトウェアの開発で採用され、ツールの開発やWebサーバーでの活用など、さまざまな分野で利用されている。2018年のStack Overflowの年次レポートでも、最も愛されるプログラミング言語・スクリプト言語・マークアップ言語の5位にランクインしており、世界で人気の言語だ。

学習の容易さと実用性の高さから開発者の間で急速に人気が上昇しているとみられ、国内でもインターネット企業を中心に普及している。求人数は昨年比で1.9倍に増加しており、今後もさらに注目されるとしている。

2位の「Scala」は、高い生産性と堅牢性を実現し、オブジェクト指向言語と関数型言語の特徴を併せ持った言語で、米Twitterや米LinkedInなどが利用していることで知られる。国内でもインターネット企業で「Scala」の採用企業が増えているのに対し、現在も扱える人材が少ないことから年収が高い言語といわれている。

3位の「Python」と6位の「R」は、研究機関の研究者やデータサイエンティストによく利用されており、機械学習や統計分析の活用が進むなか、さらに需要が高まるとみられる。また、「Python」の求人数は昨年比で1.7倍に増加している。

4位の「Kotlin」は昨年比で求人数が5.3倍に増加している。昨年5月にGoogleがAndroidアプリ開発の公式言語として追加すると発表したことが話題となり、ニーズが急上昇したためとされている。「Kotlin」は、Androidアプリだけでなく、Webサービスの開発でも採用事例が増えてきており、また「Java」の既存のライブラリを利用できるため、「Java」に代わる新たな言語として、さらに需要が高まるとみられる。

一方、「Java」の求人数は34,000件と多いものの、昨年比では3割減少している(年収中央値は500万円で14位)。

5位の「TypeScript」は、「JavaScript」を拡張したもので、静的型付け言語のため堅牢なコードを書くことができ、保守運用がしやすい言語だ。機能分割がしやすいため、大規模アプリケーションのチーム開発に適しており、Webサービスのフロントエンドなどでも広く利用されている。

2017年4月にGoogle社内の標準言語の一つとして採用されたことから、導入する企業が増えており、求人数は昨年の3.2倍に増加している。

IT分野への投資意欲は拡大傾向。IT人材の転職市場は活況に

株式会社アイ・ティ・アールの「IT投資動向調査2018」によると、国内企業の3割超がIT予算を増額しており、なかでもAI/機械学習、IoT、ブロックチェーンなどへの新規投資意欲が非常に拡大しているという。この影響もあってか、IT人材への求人ニーズは増加傾向にあり、転職市場は活況が続くと分析している。

人材不足は言語プログラマーだけではなく、IT分野全体にわたることが予測されるわけだ。ではIT業界の求人の現状をみてみよう。

さきほどの調査同様に「スタンバイ」ではIT関連の技術や概念、職種などのキーワードについても調査している。それによると、求人のなかに「ブロックチェーン」の単語を含む求人は、2018年4月時点で前年同月比4.2倍に増加していることがわかった。

また、「AI/人工知能/機械学習」「IoT/M2M」「自動運転」「フィンテック/FinTech」「サイバーセキュリティ」のいずれかの単語を含む求人数もそれぞれ2倍以上に増加しているのだ。

一方、提示された最高年収をみると、「IoT/M2M」が4,600万円、「AI/人工知能/機械学習」と「フィンテック/FinTech」が4,000万円、「データサイエンティスト」「ビッグデータ」「情報セキュリティ」で3,900万円、「サイバーセキュリティ」が3,000万円となっている。

この中で、最高の増加がみられたブロックチェーンについては、IDC Japanが、国内ブロックチェーン関連ソリューション市場の2016年から2021年の年間平均成長率は133%で2021年の市場規模は298億円になると予測しており、それにつれて求人も急増しているという。

また、「スタンバイ」の求人で特徴的だったのは「AI/人工知能/機械学習」で、IT企業やメーカーをはじめ、広告業界、教育業界など募集企業の業界は多岐にわたり、エンジニア、研究員、コンサルティング営業など幅広い職種の求人が掲載されているという。

このように、今後もITの求人は増加しており、それは今後もますます増加すると予想される。

個人でスキルアップを図ることの必要性

今回の調査では、1位が「Go」の600万円で、最大提示年収は実に1,600万円にも上っている。しかし、このような収入を得るにはもちろんそれなりのスキルが必要で、IT業界で生き残っていくためには、これからは個人でスキルアップしてくことが必要とされる時代になるだろう。

それとともに、少子化による労働不足で、IT分野だけなく、すべての業種で求人が増加すると思われる。ミレニアル世代が労働人口の中心になっていくとともに、その価値観や時代の流れから転職や副業をすることは今まで以上に普通の時代になっていくことだろう。それに対応するためにも個人のスキルアップが求められることは必至のようだ。

img:PR TIMES

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