BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とはアウトソーシングの一種で、自社の業務プロセスを外部企業に委託することだ。通常の人材派遣や業務代行とは異なり、人事や経理といった業務をまるごと経営戦略としてアウトソーシングする。

また、外部の人を使う、特定のタスクを委託するといったことにとどまらず、業務のやり方、使用するシステム、その業務に関わる人材採用といったことまでを外部企業に委託するのが特徴だ。

参照:IT Koala Navi、【徹底解説】今さら聞けないBPOの基礎知識と業者選定のポイント

現在、このBPOサービスが注目を集めており、導入する企業も増加している。そういった状況のなか、BPOに関するコラムやニュースの配信、トレンドや実態調査を含むマーケットリサーチを行うBPO総研は、BPO業界の研究機関である「BPO総研」の設立を記念して、業界の現状に関するレポートを発表した。今回はこのレポートの一部をご紹介する。

2022年のBPOサービス市場規模は8,769億円に拡大

このレポートは、株式会社ヒューネルソリューションが、PR・マーケティングサービスを提供する株式会社ベイニッチの「総研・シンクタンク構築サービス」を活用して、両社共同で、BPO業界の発展のために、調査研究および広報・広告活動を行うことを目的として設立した「BPO総研」のサービスの一環である。

今回の第一レポートでは、まず、IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社が実施した「国内BPOサービス市場予測」を引用している。それによると、2017年の同市場は前年比4.7%増の7,346億円となり、2017年~2022年の年間平均成長率は3.6%、2022年の同市場規模は8,769億円と予測しているという。

また、2017年の国内BPOサービス市場で、前年比成長率が最も高かったセグメントは人事BPOサービス市場だった。福利厚生の強化を目的とした外部委託への需要に加え、マイナンバー関連のスポット業務なども同市場の拡大に寄与したという。2018年以降、マイナンバー関連業務は落ち着くものの、引き続き福利厚生業務を牽引役として、同市場は好調に推移するとIDCでは予測しているようだ。

また、野村総合研究所が、英オックスフォード大学のマイケル A.オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究によると、最近では人手に代わるAI機能への期待が高まっているという。

これについて、国内601種類の職業をそれぞれAIやロボットなどで代替される確率を試算したところ、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業で、代替することが可能との推計結果を発表しているという。

この研究結果において、芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、AIなどでの代替は難しい傾向があるという。

一方、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業については、AIなどで代替できる可能性が高い傾向があるようだ。

業務はAIにも代替される

このようなBPO市場が活況のなか、AIによって仕事が代替されていく分野も多くあり、なかでも人材採用分野ではAIが面接官になるというサービスも登場している。株式会社タレントアンドアセスメントは、アルバイトや専門職、一芸一能採用に特化したAI面接サービス「SHaiN EX(シャインイーエックス)」を2018年7月より提供を開始した。


AI面接官 SHaiN サービスイメージ動画

これは、AIを使用し、アルバイトや専門職、一芸一能採用に特化した日本で初のAI面接サービスだ。AIが人間の代わりに採用面接を実施し、企業が求める資質を持つ人物かどうかの分析を行い、診断結果レポートを提出するサービスである。

具体的な特徴としては、まず、企業ごとに求める人物像を探すために応募者へヒアリングしたい質問項目を選ぶことができる。そして、面接時間も対面で行うより短く、いつでもどこでも受検が可能なため、応募者は手軽に受けることが可能だ。これにより面接を受けるハードルが下がり、応募者の増加を見込めるという。

また、

  • 応募者管理や日程調整にかかっていた時間が実質ゼロになる
  • 応募者の都合に合わせて24時間365日いつでもどこでも受検可能
  • 応募者と面接官の日時の調整や面接会場の調整が不要になることに加え応募者の面接キャンセルがなくなる

などのメリットもあり、これらにより、面接官の拘束時間もなくなり、業務効率が向上するという。

AIの代替がきかない分野をBPOでサポート

どうやら今後、BPOの発展には、AIが欠かせないようだ。つまり、AIに業務をアウトソーシングするということなのだ。

BPO総研では、今回の調査結果について、AIでの代替えが難しい職業も多くあることを十分に認識したうえで、BPOを上手く活用することが大切だと結論している。

img:PR TIMES