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あなたは飲食店の直前キャンセル「ドタキャン」をしたことがあるだろうか。もちろん、やむを得ない事情からするのだが、飲食店側からすると非常に痛い打撃となる。最近では、この「ドタキャン」が増加しているようで、このため、今や飲食業界では非常に大きな問題となっている。
今回、株式会社ジーエステートは、ドタキャン対策マッチングプラットフォーム「matchco(マチコ)」を開発し、8月1日に専用サイトをプレオープンした。
キャンセル枠を埋めて損害を回避
現在法令上では、ドタキャンしたユーザーは、店に対して民事上の賠償責任を負わなければならないのが本来だが、その実態は賠償責任を負っていないのが実態だ。また、悪質なキャンセルを繰り返す客を「データベース化」、つまりブラックリストへ登録し、飲食店同士で共有しようという動きもある。しかし、これは本人の同意を得ないまま共有すると「個人情報保護法」に抵触する可能性があるのだ。
その一方で、突然の病気や仕事など「やむを得ずキャンセルせざるを得ない」といったように、ユーザー側にも事情があるケースももちろんある。しかし、今まではそのようなやむを得ないケースに該当するキャンセルなのか、または悪質なキャンセルなのかの判断が難しく、結局は泣き寝入りするしかなかったのが現状だったという。
このような背景のもとに開発されたのが飲食店ドタキャン対策マッチングプラットフォーム「matchco(マチコ)」だ。
「matchco」は、キャンセル発生後、店が管理画面から「キャンセル発生情報」を登録すると、その内容は「matchco」公式ウェブサイト上に即時掲載され、その情報をみた別のユーザーがすぐに予約を入れることができる仕組みとなっている。
店側、ユーザー側ともに登録・掲載は無料となっている。店側のシステム利用料は、マッチングが成立するまで何度利用しても無料だ。マッチング成立時のみ、手数料を支払う完全成果報酬型システムとなっている。
具体的なメリットとしては、店舗側には以下のようなものがある。
- キャンセル枠を埋めて損害を回避できる
- 食材ロスを減らすことが出来る
- 「ブラックリスト共有型」ではないため、法的リスクが無い
- 登録は無料、マッチング成立時のみ手数料の支払いが発生
- マッチング登録から3カ月間、手数料が無料
またユーザー側には、
- 「今飲みたい」「今食べたい」「今行きたい」が実現できる
- 無料で利用できる
- 思わぬ高級店の予約が取れることも
- オリジナルサービスや、普段味わえない裏メニューが楽しめる
- 行きたい店を瞬時に検索し、位置情報による経路案内機能を装備。
- ポイントや仮想通貨を付与する機能を準備中
といったメリットがある。
現在、「matchco」にはすでに250店舗の登録が確定しており、その数は増え続けているという。2018年内に登録店舗数を5,000店舗、マッチング回数は1,000回の達成を目指している。
社会への貢献や食品ロス問題の解消も狙い
株式会社ジーエステートによると、「matchco」の開発構想スタート時は「ドタキャン対策」だけが目的ではなかったという。同社は農林水産省が提唱している「食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)」に参加しており、その趣旨である「フードロス・ゼロ・ミッション」への賛同と、「食品ロス0(ゼロ)」と向き合い、達成へ向けた想いからも「matchco」の構想が生まれ、開発が始まったとしている。
その背景には、ドタキャンによって生まれた食品の大半はロスとなるということがある。これらは廃棄されるが、実は食料を廃棄するにも「処分料」のコストが発生し、飲食店の売り上げを圧迫してしまうのだ。
このため、「matchco」の狙いは、社会への貢献や食品ロス問題の解消も含められているとしている。
全日本飲食店協会のドタキャン対策とは
ドタキャンに関する動きはほかにもある。たとえば、全国の個人飲食店オーナーが集まって運営する「全日本飲食店協会(東京都港区)」が提供している予約の無断キャンセル・ドタキャンによる被害を減らすサービス「ドタキャン防止システム」だ。
これは、利用料金永久無料でリリースされており、過去にドタキャン前歴のある電話番号をデータベースに登録し、新規の団体予約の電話を受けた際、その場でデータベースに照合することができるという。
ドタキャン防止システムのデータベースは「電話番号」「ドタキャン日時」「予約人数」のデータのみを収集。これは個人情報保護法に抵触しない範囲として弁護士事務所にも確認を取っており、データベース照合によって個人が特定できる可能性はないという。
また、ドタキャン防止システムの利用者には、今後提供予定の飲食店向け有料サービスに関する情報を発信していくという。
例えば、顧客管理システムや求人問題への対策、産地直送の仕入れ、集客や経営勉強会などだ。すべてのサービスは同協会所属の飲食店オーナーによるアイデアを実現させるものであり、外食産業の現場が最も必要な内容・機能を盛り込み、開発される予定だという。
ドタキャンによる損害を防ぐのが飲食業界の課題
飲食業界では「ドタキャン、求人問題、顧客管理」が3大問題とされているという。我々ユーザー側が考える以上に、ドタキャン問題は大きいのだ。
今回の「matchco」の最大のポイントは、キャンセル枠を埋めて店の損害を回避するという点だろう。また、「ブラックリスト共有型」ではないため、個人情報問題も考慮する必要がないという点も大きい。今回のサービスがドタキャンによる損害をどれだけ防げるか、その成果に期待したい。
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