増え続ける訪日外国人観光客によって、ホテル不足が大きな問題となっている。東京オリンピック・パラリンクピックが開催される2020年には、この問題が深刻化すると予想される。
そこでホテル不足解消のために、2018年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行した。これによりいよいよ民泊が本格化するが、日本国内に住む一般の人はどう考えているのだろうか。
民泊を知っているという人は全体の9割
インターネット調査会社として知られるマイボイスコム株式会社では、2018年7月に民泊に関するインターネット調査を実施し、10,571件の回答を集めた。
その結果、民泊を知っているという人は全体の約90.7%に上った。一方で「内容を知っている」と答えたのは34.9%にとどまり、「名前を聞いたことがある程度」との回答は55.8%と過半数を超えている。
民泊の知名度こそあがっているものの、まだその中身まで知っている人は多くないようだ。
民泊を利用したことがある人は約4%にとどまる
次に民泊の利用について聞いたところ、民泊の宿泊利用経験者は約4%にとどまった。受け入れる側としての民泊は日本で注目され始めているものの、民泊そのものはまだ浸透していないということだろう。この結果は民泊について、「名前を聞いたことがある程度」という回答が多かった前述の質問結果にも通じる。
なお「国内で利用したことがある」「海外で利用したことがある」と回答した人はそれぞれ全体の約2%。また宿泊したことがある人のうち、「別荘一棟やマンションの一室などを貸切で利用」と答えたのが53%、「家主(ホスト)が居住する住宅の一部を利用」が50.0%だった。
民泊を利用したいと考える人は約8%
同アンケート調査では、今後民泊を利用したいかについても聞いている。結果、民泊利用意向者は8.2%にとどまった。見も知らぬ他人の家に泊まる民泊の利用は、まだ多くの人にとって抵抗があるようだ。
ただし10~20代の女性は約2割と他の層より高くなっている。若い層を中心に今後、民泊が一般化するかもしれない。なお民泊の利用経験者に限ってみると、民泊利用意向者は6割強に上っている。
また民泊の宿泊利用意向者に、民泊を利用する際に何を重視するか聞いたところ、「価格の安さ」が68.9%で最も高く、「清潔感、清掃が行き届いている」「セキュリティ対策」「プライバシーの確保」が5~6割だった。なお「セキュリティ対策」「清潔感、清掃が行き届いている」「アクセスの良さ」を選んだ回答者の比率をみると、女性が多かったようだ。
民泊用に部屋・住宅を貸したことがある人は1%未満
民泊用として、部屋や住宅を貸したことがあるという人は全体のわずか0.7%にとどまった。民泊が本格化したとはいえ、広がっていくのはまだ先ということだろうか。
一方で今後民泊用に部屋・住宅を貸したいか質問したところ、貸出の意向がある人は全体の2.3%だった。一方貸出意向がない人は89.5%となっており、否定的な意見がみてとれる結果となった。
前述の回答によれば、民泊についてはまだ名前しか知らないという人が多い。民泊についてより深く知られるようになれば、この数字が上がる可能性は高いのではないだろうか。
近隣での民泊サービス提供について賛成は約3割にとどまる
次に、住まいの近隣で民泊サービスが提供されることについて賛成・反対どちらか聞いたところ、「賛成」(1.8%)、「制度・ルールを整備した上であれば賛成」(33.0%)あわせて全体の3割強に上った。
一方で、「反対」(37.4%)や「どちらともいえない」(27.6%)と答える人が多く、自宅だけでなく近隣での民泊の開始については多くの人が不安を抱いていることが分かる。
より安心して民泊を運営するために。民泊ゲストの信用度を可視化するシステムも登場
マイボイスコム株式会社のアンケート調査結果から、民泊については名前を知っているものの、まだその利用に不安を感じている人が多いことがわかる。そんな中、民泊運用サービスの提供を行うTATERU bnb社では、民泊ゲストの信用度を可視化し、ホストが安心してゲストを宿泊させるのに役立つシステム「bnb SCORE」の開発に着手した。
bnb SCORE では、ビッグデータ(同社が保有する属性データやソーシャルメディアなどから収集したデータなど)をAIに機械学習させ、信用スコア出力をオートメーション化する。これによってあらかじめゲストの質を見極めることができれば、ホストとして安心して部屋や住宅を貸し出しやすくなるだろう。
民泊は本格化したものの実際に広がりを見せるのはまだ先になるか
新法の施行により民泊は本格化したが、今回のアンケート調査の結果をみると、民泊の利用や民泊用としての家や部屋の貸し出しには、まだ多くの人が足踏みしていることがわかる。民泊について内容を知っているという人もまだ少ない。
一方でbnb SCOREのように、民泊ゲストの信用度がはかれて、ホストとして民泊用に住宅や部屋の貸し出しがしやすくなるシステムも登場しようとしている。こういったシステムやサービスが充実し、民泊に関する正しい理解がすすめば、日本国内での民泊がもっと一般的になるのではないだろうか。
img:PR TIMES