「高速バス×農産物」が丸の内の新常識になる?隙間をみつけることで既存サービスは新たなビジネスモデルに

テクノロジーの進化やECが当たり前となってきたことで、物流にも大きな変化がおとずれている。物流をより早くスムーズに行うための荷物と配送者のマッチングサービス、そして両者をサポートする企業など、配送のイノベーションや新しい形が登場し続けている。

今回、旅客用高速バスを使って搬送される各地の特色ある農産物を、丸の内のオフィスワーカーが楽しむ新たなサービスがスタートした。全国農業協同組合中央会(JA 全中)、農林中央金庫、三菱地所株式会社、一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会(エコッツェリア協会)の4者は、旅客用高速バスを利用した貨客混載の制度を活用して、各地の農産物の継続的な消費・購買につなげるサービスを2018年8月2日よりスタートする。

約4,300農産物を丸の内のオフィスワーカーに

人口減少による自動車運送業の担い手不足により、農産物の流通サービスの低下が危惧されている。このサービスは、前述の4者が2017年3月から取り組む「大丸有フードイノベーション」の一環として実施するもの。貨客混載の制度を用い、複数のバス会社と連携し、地方部から東京への旅客用高速バスのトランクスペースに地方の新鮮な農産物を積み込み、東京都市部で乗客を降車させた後に、丸の内エリアに納品するサービスだ。

旅客用高速バスを利用した貨物と旅客の輸送、運行を一緒に行う形態である貨客混載の制度を活用して、従来生産量が少なく配送ルートの確保がネックとなって県外へ出荷できていない希少野菜や伝統野菜、朝採れ野菜などの特色ある農産物を丸の内エリア向けに定期搬送する。

納品された農産物は、丸の内エリアの企業で直接販売したり、丸の内エリアの企業の社員食堂に食材を納品、丸の内エリアで開催されるイベントで販売するなどの3つのスタイルで販売される。

「大丸有フードイノベーション」とは、丸の内エリアにおいて、4者の経営資源やネットワークを活用し、日本全国の生産者やJAと、丸の内エリア就業者や飲食店舗との連携を実現し、「食」「農」の分野で新たな価値創造に繋がる仕組みを構築するプロジェクトだ。

2017年3月に4者連携協定を締結し、スタートした。丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町地区)に納品される農産物を約4,300の事業所、約28万人の就業者を抱える丸の内エリアの飲食店や企業の社員食堂、イベントなど多様な販路を介して販売、消費する。

「生産者の所得向上・地域活性化」「運送事業者の収益性向上」「都市生活者のワーク&ライフスタイルの充実」などの多様な課題解決を図ることを目指している。

大きく変わる物流・配送サービス

冒頭でも述べたが、物流・配送が大きく変わろうとしている。これに伴い、新しいサービスが登場している。ここでは、最近開始された特徴なサービス二つをご紹介する。

ます、荷主と配送者のマッチングサービス「PickGo(ピックゴー)」を提供するCBcloud株式会社は、株式会社三井住友銀行、ウェルネット株式会社の決済サービスを採用することで、物流業界初の報酬即日振り込みサービスを展開している。

PickGoは貨物を運んで欲しい荷主と、貨物を運びたい配送者を直接つなげるサービスだ。企業向けの「PickGo for business」、個人向け配送サービス「PickGo for personal」を運営している。同社のサービスでは、これまでに3,000名を超えるユーザーがパートナーとして登録した。

PickGoでは、三井住友銀行・ウェルネットと連携し、振り込み申請が行われた案件の即日入金を可能としたことで、ユーザーだけでなく、サービスを支えるパートナーにも優しい体制となっている。

また、株式会社セルートが提供するサービス「DIAq(ダイヤク)」では、専用のアプリを使って自分が頼みたい人に配送をお願いするというサービスだ。つまり、配送をクラウドソーシングで依頼できるシステムのなのだ。

DIAqでは自分の近くにいる配送者を、過去の実績やプロフィール等の情報から選択することが可能だ。オファーを出すユーザーはもちろん、オファーを受ける場合もクライアント情報から判断することができる。両者にとってWin-Winの状態でマッチングできる。

「あいのり」で配送時間やコストの削減を狙う

今回の新サービスのユニークな点は、乗客用のバスにいわば「あいのり」させてもらうことで、配送時間やコストの削減を狙うという点だ。東京への旅客用高速バスを活用して、朝採れの地方の新鮮な農産物がオフィス街で食べられるという価値は、健康志向の高まる近年では需要のあるサービスとなるだろう。

現在では、東京都の丸の内エリアのみだが、サービスの成果次第で今後、さらなるエリア拡大に繋がっていくかもしれない。

img:PR TIMES

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