「やりがい」を感じると売上は2.2倍にUPする?重要なのは環境・共有・目標への理解

「働き方改革」が進む中、「働きがい」が重要視されるようになってきている。これまでのように、お金のために自分より仕事を優先させるのではなく、生きがいや楽しさをもって働きたいという考え方が増えてきている。

では、現状ではどのくらいの人が「働きがい」を感じているのだろうか。株式会社タバネルは、全国の20~59歳の会社員(有効回答数177人)に「社員意識と組織文化についての調査」を実施した。ここでは、「働きがい」を「やりがい」と言い換え、それについての意識を調査した。

35.6%の人が仕事に「やりがい」を感じる

まず、全員に「自分の仕事にやりがいを感じている」に対しての意識を聞いた。その結果、「大いにあてはまる」7.3%、「ややあてはまる」28.2%の合計35.6%の人があてはまると回答した。

「大いにあてはまる」はまだ7.3%にすぎず、現状ではまだ旧来の働き方が主流を占めているようだ。

次に、「自分の仕事にやりがいを感じている」に対して「大いに+ややにあてはまる」と回答した人と、「どちらとも言えない」「あまり+全く当てはまらない」と回答した人(以下、やりがいを感じていない人)の会社の組織文化について聞いた。

その結果、「個人の成長機会が多い」「個人の成長機会が少ない」のうち、「多い」にあてはまると回答した割合は「やりがいを感じている人」が71.4%、「やりがいを感じていない人」が33.3%と差は38.1%だった。

同様に「情報はオープンに共有」「情報はクローズに管理」のうち、「オープン」に回答した割合の差は、32.8%だった。

同社では、このことから「個人の成長機会の多さ」と「情報のオープンな共有」が社員の「やりがい」を育てると分析している。

一方、「挑戦的な姿勢」か「堅実な姿勢」、「トップダウン」か「ボトムダウン」については、やりがいの有無で大きな差はなかった。

「個人の成長機会」や「情報のオープン共有」というのは、旧来の考え方の企業ではなかなか実現が難しいだろう。企業へも意識の転換が求められている。

「会社全体の戦略、目標を理解している」との問いに対し、「やりがいを感じている人」は「大いにあてはまる」11.1%、「ややあてはまる」65.1%の合計76.2%があてはまると回答した。

一方、「やりがいを感じていない人」には、「会社全体の戦略、目標を理解している」との問いに対し、合計16.7%があてはまると回答した。このように、「やりがい」の有無で4.6倍の差がついた。

さらに「仕事における自分の目標は明確である」に対しては、「やりがい」の有無で3.4倍の差がついたという。つまり、会社全体の目標と個人の目標の理解が、「やりがい」に大きく影響することがわかったとしている。

最後に、「あなたの会社の直近3年の売上についてお聞かせください」との問いに対し、「増加傾向、どちらかと言うと増加傾向」と回答した割合が、「やりがい」の有無で2.2倍の差があった。このように「やりがいの有無」が会社全体の売上向上に影響することが分かりました。

従業員にとって、会社全体の目標と自分の目標を理解することが「やりがい」につながるという。また、「やりがいの有無」は会社全体の売上向上に影響するようだ。

働きがいを高めることが自社の売上増加につながる

ここまで、株式会社タバネルの踏査結果を見てきたが、このような従業員の働きがいを高めることが自社の売上増加につながるという調査結果もある。株式会社日経リサーチは、従業員の「働きがい」をバロメーターとして、組織の今の“健康状態”を診断する従業員調査をリニューアルし、「働き方改革」の取り組みをサポートする「組織活性化診断プログラム~働き方改革をサポート~」を発表した。

そこで、「自分にとって働きがいのある会社である」、「お客さまは自社の製品やサービスに満足している」という二つの感じ方について、それによって勤務先の売上が増えているが、減っているかを分析したところ、この二つの働きがいを感じているビジネスパーソンはそうでないビジネスパーソンに比べて、勤め先で売上高が増えているとの回答が10ポイント以上多かったという。

この結果について、同社は働きがいを高めることが、より良い自社の製品やサービスの提供につながり、結果的に成果につながっていると分析しているのだ。

また、この調査では、「働きがい」の向上だけなく、同時に残業時間などのケアも欠かせないとしている。モチベーションの向上を残業などの負荷も含めて総合的に取り組む難しさが改めて浮き彫りになっていると分析している。

「集団」から「個」へ企業風土の転換が必要

今回の調査で注目されるのは、「個人の成長機会が多い」や「自分の目標を理解すること」などが「働きがい」に大きな影響を与えることがわかったことだ。

昔ながらの日本企業の体質ではなく、個人にたいしてどんな成長機会を提供でき、メンバーが自身の進む道をしっかりと把握して、情報の共有を行なっていくという体質に変化していくことが、働き方改革に繋がるのかもしれない。

img:PR TIMES

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