親より稼げないと思っているミレニアル世代は「スラッシュキャリア」志向。収入より働きがいを重視

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ミレニアル世代が社会人の裾野を形成している現在では、それより上の世代とまったく異なった価値観を持つこの世代をどう受け入れるかが、企業あるいは社会の課題となっている。かれらは今後、社会の中核となっていくだけに、社会の在り方自体についてなど、親世代に大きくのしかかっている課題といえる。

では実際、ミレニアル世代と親世代では「働き方」についてどのような意識の違いがあるのだろうか。株式会社ジャパンネット銀行では、ミレニアル世代およびその親世代を対象とした「仕事・働き方」に関する意識・実態調査を行った。

今回は、「仕事・働き方」をテーマに、日本国内の18~25歳の働く男女へアンケートを実施。さらに、かれらの親世代である40~50代の働く男女にも同じ調査を行うことで、「ミレニアル世代」ならではの仕事観を探った。

転職に抵抗のないミレニアル。独立心も旺盛 

まず、ミレニアル世代および親世代の「キャリア全般」に対する考え方を知るべく、「いろいろな会社で経験を積む」と「1つの会社で長く働く」では、どちらが自身の目指す働き方に合致しているかを質問した。

その結果、「いろいろな会社で経験を積む」と答えた割合は、親世代が25%であるのに対して、ミレニアル世代では40%にのぼり、両世代で15ポイントもの差が生した。

具体的な理由としては、「ひとつの会社だと固定観念にとらわれてしまい限定的な経験しか身につかないから」(25歳・男性)、「さまざまな職場を経験したほうが、視野が広がり、自分のやりたいことや合っていることがわかると思う」(24歳・女性)などの声が挙がった。

ただし一方で、ミレニアル世代においても、残り60%は「1つの会社で長く働く」と回答した。これについて、同社では1つの働き方にとらわれることなく、さまざまな選択肢の中から、自分にあわせた多様な生き方を選びとるのがミレニアル世代であると分析している。

また、ミレニアル世代は、「起業」についての意識も高い傾向に。「起業経験がある、または今後起業したいと思っている」人の割合は、ミレニアル世代で22%と約5人に1人となり、親世代の14%を上回った。

加えて、「周囲に学生起業をした人がいる」と答えた割合にも差が生じ、ミレニアル世代では19%、親世代では4%となっている。親世代の頃と比べて、現代は「学生起業」がより身近なものになっているようだ。

上記の結果から、ミレニアル世代は親世代に比べて独立心旺盛で、キャリアについてもより多種多様な経験を積みたいと思っていることがわかる。

ミレニアル世代の約6割が「副業」活動したい

続いて、「副業」に対する意識を調査した。「本業以外にもいろいろな活動をしたいと思いますか?」と聞くと、ミレニアル世代の約6割(57%)が「そう思う」と回答し、親世代の回答(47%)と比較して10ポイント高い結果になった。

また、「本業1本よりも複数の仕事を掛け持ちしたほうが楽しいと思う」と答えた割合も、親世代が50%であったのに対して、ミレニアル世代では62%に上った。

そこで、ミレニアル世代と親世代それぞれに、本業とは別で仕事をする「副業」への興味・関心について質問した。その結果、副業の経験・意向がある人の割合は、ミレニアル世代では70%、親世代では57%となった。

いずれも半数を超えており、社会的に副業への関心が高まっている様子がうかがえるが、ミレニアル世代においては特にその傾向が顕著なようである。また、実際に副業経験があるミレニアル世代の割合は23%とおよそ4人に1人にのぼっている。

さらに、ミレニアル世代に「副業のメリットは何だと思いますか?」と聞くと、「収入が増える/安定する」が73%でトップに。親世代で同じ回答をした69%と比べても高い割合となり、ミレニアル世代の収入に対する不安がうかがえる結果となった。

一方で、ミレニアル世代においては、収入に関する回答以外に、「趣味や好きなことを仕事にしやすい」(46%)、「個人としての経験やスキルが増える」(32%)という、自身のライフワークや長期的なキャリアを見据えた回答も目立っている。

ミレニアル世代の「副業」に関する関心は高い。その根底にあるものは、本業での収入不安にあるようだ。現在ではまだ、副業禁止の企業が多いが、いずれ近いうちにそのような企業にも本格的な対策が必要となるだろう。

ミレニアル世代がけん引する『スラッシュキャリア』

近年は、複数の仕事・活動を掛け持ちする『スラッシュキャリア』という新しい働き方が注目を集めている。これは、職業を1つに限定せず、複数の仕事・活動を掛け持ちしながら、多方面で仕事をする働き方のこと。この調査によると、従来の働き方にとらわれないミレニアル世代こそが、この『スラッシュキャリア』を牽引しているという。

実際に回答結果では、「『スラッシュキャリア』という働き方は、今後広まっていくと思う」と答えたミレニアル世代は69%と約7割になった。また、「『スラッシュキャリア』に興味・関心がある」人の割合も60%にのぼっている。

このような『スラッシュキャリア』に対する考え方が、ミレニアル世代の気質を表している。これまでの、「狭く、深く」という仕事への意識から「広く、浅く」への転換期に差し掛かっているのではないだろうか。

ミレニアル世代は収入より「働きがい」を重視する傾向に

さらに今回は、「お金」に関するテーマについても調査を行ったところ、下記のような結果になった。

いずれも、ミレニアル世代のほうが割合が高く、ここでも、ミレニアル世代の「スラッシュキャリア」志向が浮き彫りになった。親世代以上に、本業1本よりも複数の仕事を掛け持ちしたほうが、金銭面でも望ましいと感じている人が多いようだ。

また、今回の調査対象者に、現在の年収を聞いたところ、ミレニアル世代では「315万円」、親世代では「529万円」がそれぞれ平均となった。

ジャパンネット銀行が2017年に実施した調査によると、ミレニアル世代の「10年後の予想年収」は平均「430万円」。また、「親よりも生涯賃金を稼げる自信がありますか?」という質問で、「ある」と答えた人は、わずか3割台(36%)にとどまっている。

その一方で、今回の調査では、ミレニアル世代の59%と約6割が、「仕事において収入よりも重視していることがある」と回答した。具体的には、「自分が好きなことを仕事にできる・活かせること」(48%)、「残業がない/少ないこと」(38%)、「会社の人間関係が良好であること」(36%)などが上位となった。

ここでは、ミレニアル世代と親世代の仕事に対する意識の違いが顕著にでた。ミレニアル世代は、収入より「働きがい」をより重視する傾向にあるようだ。

「スラッシュキャリア」が今後の働き方のキーワードに

この調査では、ミレニアル世代の働き方が、親世代以上に多様化していることがわかった。彼ら彼女らは転職にも抵抗が少なく、複数の仕事・活動を掛け持ちする新しい働き方である「スラッシュキャリア」への興味も高い。

この「スラッシュキャリア」が今後の働き方のキーワードとなりそうだ。それによって働きがいや自分らしさを大切にしたい、それがミレニアル世代の働き方に対する考え方なのだ。

img:PR TIMES

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