多くの業界でサブスクへの移行が進行中。ユーザーの平均利用額はどれくらい?

月額一定料金を支払って利用する「サブスクリプションサービス」。現在では、動画からアパレルまで、さまざまな業種で導入されている。

サブスクリプションサービスに出会っては、メリット・デメリットを勘案し加入を検討する、という機会も増えた。

今人々は、どんなサブスクリプションサービスを利用し、いくらぐらいの金額を支払っているのか。最新の調査でチェックしてみたい。

サブスクリプションサービスの利用経験率と利用金額


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2018年7月24日、マーケティングリサーチのマクロミルは、「サブスクリプション(定額)型サービスに関する調査」の結果を発表した。

調査対象は、1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に住む20~69歳の男女1,000名。調査期間は、2018年6月26日~27日。インターネットリサーチによって行われている。

調査では、サブスクリプションサービスの利用経験率について調べている。高かった順に、「動画配信」24.2%、「音楽配信」17.7%、「電子書籍」8.0%、「雑誌」5.0%、「ゲーム」3.8%という結果となった。

調査に使われた選択肢としては他に、洋服、スーツ、バッグ・アクセサリー、コスメ、クリーニング、コインランドリー、コンタクトレンズ、飲食店、食品・飲料・酒、英会話、車、ワークスペースが挙げられている。まだまだ知られていないサブスクリプションサービスも多くありそうだ。


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この調査では、1,000名のうちサブスクリプション型サービスの利用者は、282名だった。では、1ヶ月あたりにかけている合計金額はどれくらいだろうか。「サブスクリプションサービスにかける1ヶ月あたりの合計費用」は、平均すると2,328円という結果になった。

「1,000円以上~3,000円未満」が最も多く46.5%、「1,000円未満」も35.8%と多く、合計すると全体の8割を占める。

サブスクリプション型サービス利用者は、どんなメリットを感じているのだろうか。利用経験率の上位3つのサービス(動画配信、音楽配信、電子書籍)で調査すると、「継続的に支払うのにお手頃な金額」「お金を気にせず何度でも利用」「通常よりも安く済む」といった“お得感”が上位に挙がった。

調査では、「サブスクリプションサービスを利用しない理由」についても、自由回答形式で尋ねている。「書籍は電子データでも所有欲があるから」(電子書籍)、「毎日、仕事で着るので自分の洋服を持ちたいので」(スーツ)、「当たり外れがありそう」(コスメ)、といった意見が聞かれた。

普及が進むサブスクリプションサービスだが、その背景には何があるのだろうか。

サブスクリプションサービス普及の背景

サブスクリプション流行の背景にあるものとしては、「シェアリング文化」の広がりが考えられる。特にミレニアルズ世代では、「所有」よりも「共有(シェアリング)」を好む傾向がある。

「オンラインサービスを使って自分の所有物を貸し出しても良い」感じる割合が、ミレニアルズでは、他の世代と比べ4.6倍高い。また、「シェアリングサービスを利用したいニーズ」も2.3倍高いというデータがある。

それでは、ミレニアルズを中心に、シェアリング意識が高まったのはなぜか。

過去においては、大量生産・大量消費が行われ、モノやサービスは均一化されていた。現在では、商品やサービスそのものの提案力が求められる時代になり、顧客に応じてパーソナライズした体験が求められるようになった。そのことが、一定料金で多様なモノを試すことができる「シェアリングサービス」や「サブスクリプションサービス」の普及へと繋がった、といえるだろう。

テクノロジーの進化も、サブスクリプションサービスに新たな強みを与えている。サービスを通じて、顧客データが大量に集まる。そのビッグデータを利用することで、各顧客へのパーソナライズを効率的に実現できる。

例えば、月額12.99ドルでおもちゃの貸し出しを行う「Pley(プレイ)」がある。元々はLEGOを貸し出すサブスクリプションサービスだった。

現在では、500種類以上のおもちゃの中から、好きなセットを選ぶことができるようになった。顧客の数も15万ファミリーにまで、拡大している。ここで登場するのが「ビッグデータによるパーソナライズ」だ。

アルゴリズムを使って、子供のスキルレベルや過去の利用データから最適なおもちゃを提案する。「パーソナライズ体験の強化・訴求」がサービスの強みとなっている。

世界の“サブスク”化はこれからも続くだろう。下記の記事では、12の部門からピックアップした20社の欧米サブスクリプションサービスを紹介しているので、ぜひご参照を。

多くの分野がサブスクリプションサービスへ移行

調査では、人々が「動画」「音楽配信」「電子書籍」といった、デジタルデータを中心としたサブスクリプションサービスを利用している状況がわかった。金額も月3,000円以下とそれほど高くない。

洋服、スーツ、バッグ・アクセサリー、コスメ、食品・飲料・酒、車、といったモノのサブスクリプションサービスが広がるのは、これからなのかもしれない。

大量生産・大量消費の時代が終わり、モノやサービスは多様化した。ミレニアル世代の意識は所有から共有へ移行し、ビッグデータが体験のパーソナライズを効率化している。

これからは、より多くの分野でサブスクリプションサービスへの移行が進んでいくことになるだろう。

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<参照元>
話題のサブスクリプション型サービス。認知率や利用実態を調査!
市場調査メディア ホノテ by Macromill

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