インステックが常識を変える。国境を越えたら旅行保険に自動加入できる、デジタルノマド向けサービス

「いまのうちにたくさん旅行をしておくといいよ」

学生の頃、社会人からよくこんなアドバイスを受けた。たしかに、当たっていた。「行くべき」という気持ちも今ならわかる。

しかし、そんな常識を覆すような生き方がある。世界各国を旅しながら主にリモートワークで働く“デジタルノマド”だ。 2013年頃より、海外を中心に注目を集め、日本のメディアで目にすることも増えてきている。

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トレンドと並行して、多様な働き方を選ぶ人への支援も徐々に増えつつある。そのひとつが保険だ。

国境を越えたら自動で加入。複雑な保険制度にマインドシェアを奪われない

各地を転々するデジタルノマドの場合、実は保険料が馬鹿にならない。旅行保険は割高な上、地域ごとで保険料が異なるために都度入り直さなければいけない。その手間とコストを取り除いてくれるのが、英国のスタートアップ「Revolut」だ。

Revolutは、外国為替交換サービスを運営するイギリス発のスタートアップ。2018年4月には、2.5億ドル(約280億円)を調達し、時価総額は17億ドル(約1,900億円)にのぼる。

複数通貨への両替を為替手数料無料、かつ最良レートでおこなえるのが特徴で、デジタルノマドを含む旅人が直面する「両替の手間とコスト」の問題解決に取り組んできた。日本上陸も発表しており、すでに登録予約がはじまっている。

その同社が新たに発表したのが、国をまたぎ、自動で掛け続けられる定額の旅行保険だ。

国境を越えるとスマートフォンに通知が来て、旅行保険に加入したことが知らされる。登録者の位置情報から該当エリアの保険料を割り出し、自動でその国ごとの保険を選ぶからだ。保険料は1日1ポンドまたは1ユーロだけで、課金されるのは実際に滞在した日数だけ。基本は医療保険だが、オプションとしてウィンタースポーツ用の保険もつけられる。

仮に日本からヨーロッパへ1週間旅行をする場合の保険料を比較すると、既存の保険業者では2,500円前後。それがRavolutの場合7ユーロ(約900円)ですむ計算になる。

インステックによって、常識が過去のものとなる。オンデマンド保険とP2P保険の盛り上がり

アメリカ発の「SafetyWing」もRevolutと同様のデジタルノマド専用保険サービスだ。4週間37ドルで、医療保険・旅行保険に加入できる。決してサービス数が多いわけではないが、デジタルノマド専用保険は着実に今の時代のニーズを拾い上げてくれている。

こうした保険(Insurance)とテクノロジー(Technology)をかけ合わせたインステック(InsTech)領域は、デジタルノマド向けのサービスに限らず、全世界的に盛り上がりを見せている。必要なときだけ保険に入れるオンデマンド保険サービスと、あるトピックに興味を持っている人同士が保険金をプールしあうP2P保険サービスが主流だ。

オンデマンドの領域では、必要な家財に必要な時間分だけ保険をかけられるアプリ「Warrantee Now」や、チャットに答えていくだけで90秒で加入できる“月5ドルから”の家財保険「Lemonade」などが知られている。Revolutもこれらのオンデマンド保険のひとつである。

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P2P保険の領域では、イギリスのP2P保険サービス「Bought By Many」が特徴的だ。パグ保険や乗馬保険など、多様な趣味嗜好に対応している。インステックによって保険のハードルが下がり、これまで躊躇していたようなチャレンジにも取り組める可能性は高まっている。

「学生のうちにたくさん旅行しておくといいよ」というアドバイスも、デジタルノマドを支える環境が整うにつれ、過去のものとなるのかもしれない。

img: Unsplash,Revolut,Unsplash

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