あなたが20代だったときに資産運用のことを考えたことがあったろうか。仮に貯金はしていても、資産運用については頭の片隅にすらなかった、という人が多いのではないだろうか。
一方、インターネットなどでお金の情報が溢れる現代では、お金の運用が以前と比較しても流動的になっている。そんな中、1980年~2000年ころに生まれた現在の20代、いわゆるミレニアル世代はお金とどう向き合っているのだろうか。
20代の6割は貯金をしている
若年層へのリサーチ結果を発信する「TesTee Lab!」では、若年層の「貯金と資産運用」に関する考え方を調べるため、2018年2月に20代の男女2,906名(男性1,042名、女性1,864名)を対象としてアンケートを実施した。
その結果、貯金をしていると答えた20代は約6割(男性61.0%、女性62.9%)だった。20代の2人に1人以上が、貯金をしていることがわかった。
さらに貯金をしていない人にその理由を聞いたところ、約59%が「日々の生活で貯金をする余裕がない」と回答。「貯金しても使い道がない」がそれについで約19%と多かった。
これによって、貯金より毎日の生活や遊びにお金を使いたいといういかにも若い世代らしい考え方をする人が、ミレニアル世代に多いことが分かった。
20代の過半数は貯金額が50万円未満で、貯金先のほとんどが銀行口座
同調査では、貯金をしていると答えた人に対して貯金額についても聞いている。結果、男女ともに「10万円未満」との回答が約3割(男性31.9%、女性29.0%)で最も多く、「10万円~50万円未満」と答えた人(男性27.8%、女性25.5%)とそれに続いた。
さすがに社会へ出て間もない現代のミレニアル世代は、その貯金額は決して多くはなく、過半数が50万円に満たないようだ。当然ながら、貯金額が多くなるほどその層の回答者数は少なくなっている。
そして貯金先についても聞いたところ、銀行口座への貯金が全体の8割超(男性80.3%、女性86.2%)と圧倒的に多かった。これはより古い世代とも重なる傾向だろう。一方で、仮想通貨や投資信託、保険の積み立てと答えた人もいた。
20代で資産運用をしているのは少数ながら、過半数は「したいと思う」
次に20代の資産運用の状況についても聞いた。結果、「している」と答えたのは少数(男性15.7%、女性8.4%)にとどまった。しかしながら資産運用をしてみたいと考えているか聞いたところ、「資産運用したいと思うが方法がわからない」(男性24.4%、女性21.6%)や「資産運用したいと思うが運用に当てるお金がない」(男性43.1%、女性34.2%)と回答する人が多かった。
これらは「資産運用したいと思わない」と答えた人より多い。20代の多くが資産運用に興味をもっていて、機会やお金の余裕があれば資産運用に対して前向きであることが分かる。
20代の資産運用の方法の1位は株式、2位は投資信託
資産運用をしているという20代にその方法を聞いたところ、「株式」と答えた人(男性45.7%、女性37.2%)がもっとも多く、「投資信託」(男性31.1%、女性29.5%)がそれに続いた。
一方、仮想通貨を行っている人も多く(男性で22.6%)、新しい資産運用のかたちがミレニアル世代にも浸透していることがわかる。ちなみに仮想通貨による資産運用をしている人からは「仮想通貨が有名になり、自分でもできそうだと思った」という声もあがっている。
また資産運用をしている理由について聞いたところ「お金を貯めたい」という回答の他、「将来(老後)が不安だから」という現実を厳しく見つめている声も多かった。その他、近年の普通預金の金利低下などから「預金だけでは心許ない」と答える人も多かった。
※TesTee(テスティー)調べ:https://testee.co
資産運用をしたくてもやり方が分からない人に朗報。買い物の「お釣り」で資産運用するサービスが登場
資産運用の方法については、新しいサービスも生まれている。それが買い物のお釣りによって資産運用をするというアメリカ発の「おつり投資」だ。
先に紹介した調査より、ミレニアル世代の多くが資産運用をしたくてもやり方がわからないということがわかっている。一方で、おつり投資の仕組みはシンプルで、他の資産運用に手を出しにくいという人にも適している。
おつり投資では、買い物での支払いがあらかじめ決められた額を下回った場合に、その差額を投資に回す。たとえば設定額が2,000円で、1,000円の買い物をした場合に、おつり投資では差額の1,000円を貯金するといった具合だ。
そして、日本でも2017年5月からおつり投資のサービスが始まっている。ウェルスナビ株式会社が運用する資産運用アプリ「マメタス」だ。
マメタスでは、クレジットカードで買い物をした際の支払額が基準額を下回った場合に、その差額を投資に回す。投資する額は、毎月1回、指定した銀行口座から引き落とされた上で、同社のロボアドバイザー「WealthNavi」によって資産運用される。「WealthNavi」では、世界水準の資産運用が可能だ。
マメタスのようにわかりやすいアプリであれば、資産運用の方法がわからないというミレニアル世代でも、比較的手軽に始めやすいだろう。また少額からの投資も可能なので、「お金がなくて資産運用ができない」という若い世代も取り込めるだろう。
若い世代の資産運用に対する取り組みに変化の兆しか
今回の調査では、ミレニアル世代の多くが資産運用に対する関心が高いことが分かった。そして仮想通貨という新しいかたちの資産運用を始める20代が一定数いることもわかっている上、おつり投資のように少額からの資産運用が可能なわかりやすいサービスも登場している。
「資産運用したくても方法がわからない」、「資産運用にまわすお金がない」といったミレニアル世代のニーズを満たすサービスが一般化すれば、今後、若い世代の資産運用に対する取組みが変わっていくことだろう。