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政策としての「働き方改革」が動き始めている。
内閣官房に「働き方改革実現推進室」が設置されたのは、2016年9月。2018年6月29日には、「残業時間の上限規制」「高度プロフェッショナル制度」「同一労働同一賃金」を柱とした、働き方改革関連法が国会で成立した。2019年4月に施行され、順次適用が開始される。
「働き方改革」というワード自体は、すでに広く知られている。とくに、企業やビジネスパーソンでの認知率は高いものとなっているだろう。すでに取り組みを始めている企業もあるようだ。最新の調査でその実態をチェックしてみたい。
「働き方改革」に関する意識調査
マーケティングリサーチのマクロミルが、「働き方改革に関する意識調査」を行っている。対象は、全国20~59歳の民間企業に勤める正社員のうち、一般社員1,000名。期間は、2018年6月14日~15日。インターネットリサーチにより実施された。
「勤め先が働き方改革に取り組んでいるか?」との問いには、37%が「取り組んでいる」と回答した。「取り組んでいない」と答えたのは42%、「わからない」が21%だった。
「取り組んでいない」と「わからない」で63%と高い数字になるが、これには理由があるようだ。企業の取り組みが、働き方改革として認知されていない場合があるからだ。これは次の問いで明らかになる。
「どのような働き方改革の取り組みが実施されているのか?」、選択肢14個の中から挙げてもらうと、「有給休暇取得の推進」が36%でトップとなった。「長時間労働の見直し」が31%で2位、「業務効率化の推進」「フレックス勤務」が4位・5位になるなど、労働時間に関するものが上位を占めている。
「いずれの制度も取り組んでいない」が33%となり、前の問いにおける「取り組んでいない」と「わからない」の合計63%から大きく低下しているのがわかる。社員が感じるよりも、企業は働き方改革に取り組んでいるようだ。
「働き方改革の取り組み」として他に選択肢として挙げられたのは、テレワーク・在宅勤務の導入、モバイルワークの導入、短時間勤務・短時間正社員、朝型勤務の推進、地域限定正社員、サテライトオフィスの導入、女性活躍の推進、高齢者の雇用促進、外国籍や留学生の雇用促進、だった。
労働時間に関する取り組みが目立っているが、社員の実感はどうなっているだろうか。
※上記数値は小数点以下を四捨五入して表記
「長時間労働の見直し」による変化
「長時間労働の見直しでどのような変化があったか?」との問いには、「家族と過ごす時間が増えた」24%、「休養が充分とれるようになった」20%、「趣味や習い事をする時間が増えた」19%、「業務時間中の集中力が高まった」14%、といったポジティブな回答が上位に挙がった。
長時間労働の見直しによる、ワーク・ライフ・バランスの改善を実感する人が多いようだ。
一方で、「給与が下がった」21%、「何も変わっていない」33%といったネガティブな回答も存在する。これからの課題となるだろう。
働き方改革関連法の3本柱の1つである「高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)」は、大きな議論を呼んだ。専門職で年収の高い人を、労働時間の規制対象から外す仕組みだ。本調査では、高プロ制度についての賛否も尋ねている。
結果は「賛成」32%、「反対」30%となり、ほぼ同数だった。「わからない」も38%存在する。施行前でもあり、評価は定まっていないようだ。
賛成の理由としては、「モチベーションに繋がる」「対象業種が限られている」「そうしないと回らない職務もある」などが挙がっている。
反対する理由としては、「名ばかり管理職のように、なし崩しで残業代が支払われなくなりそう」「過労死ギリギリの範囲で働かせる企業が必ず出てくる」といった声が多かった。
国・企業・個人に変化が求められる「働き方改革」
調査から、各企業は手始めに「長時間労働の見直し」への取り組みを中心に、働き方改革を進めている状況が読み取れる。
政府は日本の労働制度が直面する課題として「正規・非正規の不合理な処遇の差」「長時間労働」「単線型のキャリアパス」を挙げている。企業は、さらなる働き改革を進めることになるだろう。
「長時間労働の見直し」が行われている企業に勤める社員の多くが、ワーク・ライフ・バランスの改善を実感している様子も読み取れる。一方で「長時間労働の見直し」からくる「給与の減少」という課題も見られた。企業は働き方改革を進める中で、社員の声に耳を傾ける必要もありそうだ。
本格始動する「働き方改革」。法律が成立し、企業の制度も変わる。個人の働き方に対するマインドも、課題の解決へ向けて変化させていくことが求められるようになるだろう。
<参照元>
働き方改革への意識や企業の取り組み状況とは?会社員1,000名に調査
市場調査メディア ホノテ by Macromill
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