ICTで“経済的教育格差”を埋める「Qubena(キュビナ)」。学習速度は学校の7倍に

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近年既存の教育システムが限界をきたしつつあり、教育のICT化も拡大の一途をたどっている。しかし、教育側の人間はこれらの技術革命をまだ上手に扱えているとはいい難い。

教育のICT化をするに当たり導入されているものは、黒板やノートがタブレットに一部変更するだけにとどまっており、それも全体に導入されているわけではなく、ソフトウェアに関してはまだまだ過渡期であるといえるだろう。

また、経済面での教育格差も着実に広がりつつあり、日本では現在7人に1人が相対的貧困状態にあるといわれ、内容の濃い十分な教育を受けることができていない。

これら両方の問題を同時に解決するサービスが今回新しく登場し、教育界隈の根強い問題に一石を投じた。

アダプティブラーニングが中心の新時代教育に

株式会社COMPASSは、AI(人工知能)型タブレット教材「Qubena(キュビナ)」やオンライン家庭教師サービス「Qubena Wiz(キュビナウィズ)」を開発した。


このキュビナは、AIを搭載した生徒ひとりひとりに対応した学習支援ソフトウェアである。見た目自体は、通常のデジタル教材と変化はないが、AIを搭載したことにより生徒ごとに対応が可能となった。

以前のデジタル教材は、基本的に教科書がタブレットに変化しただけであり、ひとりひとりの対応という観点はあまりなされていなかった。

今回登場したキュビナは、用意された問題をただ回答していくだけでなく、生徒の解答プロセスやスピードなどを解析することが可能だ。これにより、問題が不正解の場合はその生徒がつまずいている要素を分析。

最適な出題を続けることにより、効率的かつ理解度の深まる学習が可能となった。正解の場合には先の内容に進むことも可能であり、以前までのすべての生徒が歩幅を合わせて学習するといった学習スタイルは終わりを迎えそうだ。

AIによるアダプティブラーニングは、同社が運営している学習塾で行われた導入実験では、中学校数学の1学年分の学習範囲を平均32時間で修了。これは従来の学校教育よりも7倍の速度で学習を修了することができることを示唆している。

キュビナの登場はまさに新時代の教育の形といえるだろう。同時に貧困による教育格差にも解決の糸口が見えてきた。

現代日本では、高校は行くことが当たり前といわんばかりの風潮になりつつある。しかし、前述の通りに経済的貧困に苦しむ家庭も残念ながら増加傾向にあり、能力はあるのにもかかわらず、公立高校に行けない子どもたちも大勢いる。

この問題に向き合うため株式会社COMPASSは、自社サービスであるキュビナを中学3年生向けの高校受験対策講座「タダゼミ」を運営しているNPO法人キッズドアへの無償提供を開始した。

これにより、すべての子どもたちが平等に学習できる社会の実現を目指すことが狙いだ。

アダプティブラーニングが見せる新たな時代とは

AI搭載型の学習支援教材の登場で、重い腰の教育業界も少しずつ変化が起こるだろう。基礎教育にかける時間も大幅に減り、子どもたちも新しい分野への学習が可能となる。

基礎科目が10倍の速度で終わらせられれば、AIやVR、3Dプリンターなどの最新のテクノロジーを学習することや、自分自身の興味ある分野への勉強にさらに注力することができるだろう。

そうなれば、子どもたちの将来にもさらに幅広い選択が可能となる。そして勉強の苦手な子どもも少なくなるだろう。経済的な教育格差もなくなり、誰でも平等に学び、表現できる時代が近いうちに到来するかもしれない。

2045年、人工知能が人間の脳を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」が訪れ、現存するほとんどの職業がその名と形を変えるといわれている。

アダプティブラーニングで学習をしていく子どもたちは、その時、我々に一体どんな世界を見せてくれるのだろうか。

img:PR TIMES

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