AIが採用後の活躍度を予測する“ピープルアナリティクス”。個人の能力を定量化・可視化する

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2008年のリーマンショックから10年の歳月が流れ、ここ数年、就職市場は空前の売り手市場となっている。その影響もあってか、企業とのミスマッチや育成方針の不一致などが原因となり、離職者の割合は高い状況が続いている。こうした問題を解決するのに一役かって出るのは、やはりAIのようだ。

Institution for a Global Society株式会社(IGS)が提供する採用もできるピープルアナリティクスツール「GROW360」は、社員の定着率が課題の企業を支援するべく、希望する頻度で定期評価&フィードバックをサポートする機能を2018年7月10日より搭載する。同時に、社内のハイパフォーマーの評価データをもとに採用候補者の採用後の活躍度をAIで予測する機能の提供を開始する。

個人の能力をAIで定量化・可視化

昨今、大卒新入社員の3年以内の離職率が30%を超え、背景には採用のミスマッチや育成に課題があるといわれている。

IGSが20代から50代の「上司がいる社員」と「部下がいる社員」に対し、それぞれ評価やモチベーションに関する調査を実施したところ、次の2つの事実が明らかになったという。

1つ目は、上司からのフィードバックの機会が多いほど仕事へのモチベーションが高い部下の実態。そして2つ目は、部下との評価面談や日々のフィードバックに実は自信がない上司が55.8%に上ることだ。

「GROW360」は、このような背景のもと開発された個人の能力をAIで定量化・可視化するとともに、学生や企業で働く人材の潜在能力を発見できる、ピープルアナリティクスツールだ。受検者は、気質診断(BIG5)とコンピテンシー(行動特性)およびスキルの360度評価をスマホで実施する。

一方管理者は、ダッシュボード上で個人への自動生成されたフィードバックレポート、および統計情報を即時確認できる。

2016年2月より新卒採用を中心に数十社が利用し、2018年7月1日現在、40万人以上の学生が利用している。そして今回、採用支援と育成計画作成、評価にも利用できるサブスクリプションモデルをリリースした。

25個のコンピテンシーから自社に望ましい能力を選択し、評価の頻度や相互評価のグループを設定すると、選択したコンピテンシーを計測するための質問が、設定した頻度に従って評価者にメールで配信される。

評価者は自分自身の体調とメンタルのコンディションを7段階で選んだ後、評価対象者の行動特性を5段階で評価。評価結果の推移は、管理者用のダッシュボードで即時確認することができるため、チームの能力変化やコンディションを定期的に把握し、適切なコミュニケーションをとることが可能になるという。

また、GROW360に登録した社員に対し、活躍度を5段階で評価する。GROW360で計測した行動特性の評価データをもとに、ハイパフォーマー社員に共通する能力をAIが分析し、活躍モデルを構築する。

採用候補者がGROW360を受検すると、その結果に応じて、自動的に活躍予測度が表示される。データを蓄積することによってAIの予測精度が向上する。人材採用において重要な「人材要件定義」をAIがサポートすることで、採用精度の向上と面接の効率化を目指す。

Aiによる面接サービスも

AIを使ったさまざまなサービスが登場しているが、AIによるサービスは「面接」にまで及んでいる。株式会社タレントアンドアセスメントは、アルバイトや専門職、一芸一能採用に特化したAI面接サービス「SHaiN EX(シャインイーエックス)」を2018年7月より提供を開始すると発表した。

SHaiN EXはAIを使用し、アルバイトや専門職、一芸一能採用に特化した日本で初のAI面接サービスだ。AIが人間の代わりに採用面接を実施し、企業が求める資質を持つ人物かどうかの分析を行い、診断結果レポートを提出するサービスである。

具体的な特徴としては、企業ごとに求める人物像が異なるため、応募者へヒアリングしたい質問項目を選ぶことができる。 面接時間も対面で行うより短く、いつでもどこでも受検が可能なため、応募者は手軽に受けることが可能だ。これにより面接を受けるハードルが下がり、応募者の増加を見込めるという。

また、これまで応募者管理や日程調整にかかっていた時間が、実質ゼロになる。SHaiN EXは企業が定めた期間内で、応募者の都合に合わせて、24時間365日いつでもどこでも受検することが可能。応募者と面接官の日時の調整や面接会場の調整が不要になるだけでなく、応募者の面接キャンセルがなくなる。これにより、面接官の拘束時間もなくなり、業務効率が向上する。

さらに、SHaiN EXでは面接風景の録画を行なう。面接時の動画データや音声データ、評価レポートを企業の担当者へ提供する。これにより、応募者と直接対面せずとも、身だしなみや表情、声のトーンなどを確認することが可能だ。

評価面談に自信がない上司をサポート

GROW360は、これまで蓄積した40万人のデータをもとに、評価者と被評価者の関係性や、評価者の評価方法の傾向をAIで予測・補正を可能にし、信頼性が高いタイムリーな評価を可能にした。

そして今回の新機能により、評価面談に自信がない上司をサポートし、部下のモチベーションアップに貢献することを目指すという。

img:@Press , SHaiN EX

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