働き方改革という言葉はここ最近のトレンドとなっており、きかない日がないほどだ。
働き方改革は政府主導で取り組もうとする動きがあるが、実際に働いている現場ではどのように浸透しているものだろうか。
中小企業の約4割が働き方改革に取り組んでいる
「LINE」とつながる唯一の仕事用チャット「LINE WORKS」の運営元であるワークスモバイルジャパン株式会社では、2018年5月に働き方改革についての調査「中小企業の業績別働き方改革意識・実態調査」を実施した。
調査の結果、中小企業の36%が働き方改革、もしくはそれに類する取組みをしていると回答。中小企業でも働き方改革の動きがひろがっていることが分かる。
なお2017年10月にワークスモバイルジャパン株式会社が行なった同調査でも、39%が働き方改革に取り組んでいると答えており、実施率はほぼ横ばいという結果となった。働き方改革がさらなるひろがりをみせるのは、これからというところだろうか。
なお業績別でみると、業績が好調と答えた中小企業において働き方改革の実施率は40.9%、不調と答えた中小企業で31.1%だった。働き方改革に取り組むには、それなりのコストも時間もかかる。業績が好調な企業の方が、その余裕をつくりやすいのかもしれない。
業績の状況により、働き方改革が好影響と答えた割合にギャップが生じる
働き方改革に関する実感は、業績が好調である企業とそうでない企業の間で差がでているようだ。
業績が好調と答えた中小企業の社員では38.7%が「働き方改革が会社に好影響」と答えた。その一方で、業績不調と答えた中小企業の社員で好影響と答えた割合は19.9%にとどまった。
業績の状況によってほぼ倍の差となっている。業績好調企業の方が、働き方改革について十分な取組みが行なえているようだ。
業績の状況により、ITツールの導入が会社に好影響と答えた割合にギャップが生じる
同調査では、働き方改革が「会社の業績に良い影響を与えていると感じる」と回答した中小企業に対して、どの取組みが特に良い影響をもたらしているのか質問している。結果、業績好調な企業と不調な企業との間でもっともその効果の実感に差が生じたのが、ITツール導入だった。
業績が好調な中小企業の社員の28.0%が「ITツールが会社に好影響」と答えたのに対し、業績不調の中小企業の社員では6.3%にとどまった。働き方改革に役立つと考えられるITツールは市場に多く出回っているものの、業績不調の中小企業ではそれらを正しく活用できていないようだ。
その一方で、「時間外労働の上限設定」については、業績が不調な企業の社員の方が業績好調企業の社員より効果を実感していると答えている。会社の業績状況によって、働き方改革で成果をあげている取組みの内容に差が出ていることが明らかとなった。
会社が最も積極的に取り組む働き方改革は「時間外労働の上限設定」
同調査では、勤務先企業が働き方改革の各種取組みに対する姿勢についても社員に質問している。
結果、「積極的だと思う」と答えた割合が最も多かったのは「時間外労働の上限設定」だった。2位は「ITツールの導入」、3位は「社員のスキルアップ」と続く。一方で「リモートワーク・テレワークの導入」は全体の8.5%にとどまった。
企業とビジネスパーソンの間に生じる働き方改革の意識のズレ
ビッグローブ株式会社が運営する老舗インターネットサービスプロバイダ「BIGLOBE」では、2018年3月に「働き方改革に関する意識調査」を行っている。この調査では、働き方改革の取組みごとに、導入してほしいか否かを質問した。
結果、「副業・兼業の許容」について「導入してほしい」「どちらかというと導入してほしい」と答えたのが40代男性では93.6%、30代男性で89.7%に上った。その他、20代女性でも89.4%と答えるなど、どの年代でも9割程度が副業・兼業に強い興味をもっているようだ。
しかしながら同調査の結果、企業において働き方改革の取組みの中でも最も導入率が低かったのが「副業・兼業の許容」(11.8%)だった。ビジネスパーソンのほとんどが副業・兼業を許容して欲しいと考えている一方で、企業がそれに答えられていない状況が明らかになった。日本の企業は、まだ社員の副業・企業に対する理解が進んでいないようだ。
働き方改革のさまざまな取組みの成果が多くの企業で実感できるのはこれからか
働き方改革の実施率が中小企業の約4割に広がっている一方で、その取組みが業績に好影響と答えた社員の割合が業績不調の企業で約2割にとどまるなど、多くの企業で十分な成果があがっているとは言い難い。働き方改革の取組みが、多くの企業で社員の確かな実感につながるのはこれからといったところだろう。
副業・兼業を許容して欲しい社員と、その理解度が低い企業といった意識の差が生じていることも、今回紹介した調査では明らかになっている。
今後、働き方改革の実施率やその取組みの精度が上がって、その成果が社員の実感につながっていくことを期待したい。
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