いつの時代も、新しい発想と新たなサービスがわたしたちの生活を便利に変えてきた。一見価値のないように思えるレシートも、その要素となる可能性がある。日常で何気なく手にしているレシートは、実は個人情報がつまっており、使い方によってはビッグデータにもなりうる。

レシートを撮影し家計簿アプリとして個人の管理用に利用するものは多く存在しているが、それ以外にもレシートには利活用方法があるようだ。

バーコードを提示するだけでレシートが電子化

「スマートレシート」とは、東芝テック株式会社が2014年より提供している電子レシートサービス。通常は紙として提供される買い上げ商品の明細レシートを電子化し、電子レシートセンターがデータとして預かり、買い物客が自分のスマートフォンのアプリですぐにレシート内容を確認することができるサービスだ。

具体的には、「ホーム」画面に表示されているバーコードを会計の際に提示するだけで、レシートが電子化できる。また、店の会員カードとスマートレシートIDをレジで連携させると、翌日以降買い物の際に会員カードを提示するだけで、レシートを電子化することもできるのだ。

このサービスの導入により、これまで紙で発行されていたレシートの不便な面(財布の中での管理や、家計簿などへの二次利用に手間がかかる点)を解消することで顧客満足度を向上し、店舗側にとってはレシート用紙のコスト削減にもつながるソリューションとなる。

コープ東北の4生協、とりせん、カメガヤ、など24社386店舗、5.5万人会員(2018年5月現在)などの導入実績がある。

また、スマートフォンでの買い物履歴の確認以外に、電子レシート上で購買証明を発行し、ハガキに切手を貼らずにスマホで応募できるキャンペーン機能も有している。これは、キャンペーン対象商品のバーコードやシールを集める・応募時にシリアルコードを入力する、などで完結するというもの。

さらに、購入履歴を基にターゲットを選定して配信するオンラインクーポン機能もある。これは、いつも利用する店のクーポンを選び、レジにてクーポン画面を見せるだけでクーポンがアプリ内で発行され、そのまま使える。

加えて、購入金額に応じて自動押印するデジタルスタンプカード機能もある。スタンプカードは、条件を満たした買い物をすると自動で発行する。カード取得後も条件に応じたスタンプ数が自動で捺印され、スタンプが貯まると実施店舗にて特典を受けることができる。

今後は、お薬手帳との連携、レシートの多言語対応、購買情報のビッグデータ活用へもつなげていく予定だという。

高校3年生が開発した「ONE」が大反響

「スマートレシート」以外のレシートに着目したサービスとしては、ワンファイナンシャルが提供しているiOS向けアプリ「ONE(ワン)」がある。これは、スマホのカメラを使ってレシートを撮影すれば、すぐにアプリ内のウォレットに10円が振り込まれるというサービスだ。

開発したのは山内奏人氏で、なんと彼はまだ高校3年生のプログラマーであり、ワンファイナンシャルのCEOを務めている。

リリース時の反響はものすごいもので、2018年6月12日午前6時にサービスをリリースしたところ、午後10時には買い取りを停止するという事態となった。この約16時間で、約7万人のユーザーから合計約24万5,000枚の買い取り依頼があったという。そのため、一時サービスを停止しなければいけない状況となった。

しかし、6月18日にはDMM.comが運営するスマホで撮るだけで自動車が売れるアプリ「DMM AUTO」と連携し、再開するにいたる。まずは、ガソリンスタンドで支払ったレシートの買い取りから再開した。

テクノロジーによる私たちの生活の変化

日常的になにげなく手にしていたレシートがビッグデータにつながる時代になるとは、誰が予想しただろうか。このように、テクノロジーの進化は、私たちの日常生活をも大きく変えようとしている。そして、その変化は今後も続いていくだろう。

「スマートレシート」は、レシートを電子化するだけではなく、キャンペーン機能やオンラインクーポン機能など、他にも大きなメリットがある。そしてONEのように、レシートというものの価値をアップデートしようという観点からのアプローチによって、新しい価値を生み出すサービスもある。

今後、キャッシュレス社会が浸透していくことが目にみえているなかで、レシートをめぐるサービスがどのようにスケールしていくのか、期待したいところだ。

img: @Press , App Store