コンプライアンス問題や働き方改革、働くことに対して価値観が大きく変わる中で、労務管理業務は重要さを増してきた。しかし中小企業やベンチャー企業では、これらの業務人員の確保が困難になっていることもある。
そんな中、株式会社ミナジンは「すべての会社に人事部」をコンセプトに、「社外人事部サービス」を2018年6月にリリースした。
社員の労務手続の全てを代行
ミナジングループは、システム、アウトソーシング、コンサルティング、社労士顧問が一体となったサービス提供体制により、「人事部」を設置できない(人事労務の担い手が不足する)中小・ベンチャー企業に対して、知識、経験、工数の不足をカバーし課題を解決するサービスを提供している。
今回の「社外人事部サービス」は、給与計算・保険手続を中心としたアウトソーシング業務を強化し、社員直接対応を含むトータルアウトソーシングを行うサービス。
具体的には、社員の入退社・人事異動、出産・引越などのライフイベント発生時に必要な労務手続の全てを代行するサービスだ。動きがあったタイミングで連絡するだけで、書類作成・送付・社員からの問い合わせ対応などの業務を全て行う。
これにより、以前からグループの社会保険労務士法人ミナジンとともに一体提供していた、給与計算、保険手続、年末調整、マイナンバー管理などのアウトソーシング業務を、社員との個別の直接対応まで広げ、企業の労務管理業務負担の軽減及び適正化をサポートする。
では、従来のアウトソーシングサービスと何が違うのか。
まず、アウトソーシングを利用していない企業にとっては、
- どこまでアウトソースできるのかわかりにくい
- アウトソーシングのサービス範囲が狭く、アウトソース利用のメリットが出にくい
といった点がネックになっている。このネックを解消し、導入に消極的な企業にとっても検討しやすくなること。
また、アウトソーシングしている企業にとって、
- 担当者が社員に質問されても答えられず、アウトソーサーに確認してから社員に伝えるなど、社内に中途半端な業務が残る
- アウトソーシングに出していることにより増えてしまう仕事が発生する(アウトソーサーのやり方にあわさなければならない)
など、アウトソーシングの範囲が限定されることにより起こる問題を解消し、より効率的な労務管理業務の体制が可能になるという点だ。
今後は人事労務業務で発生するデータを活用し、組織の状況を把握するレポートサービスや、顧客企業とアウトソーサーとのやり取りを円滑にする業務のクラウドシステム化、ミナジンの勤怠管理システムのユーザー企業に対する「勤怠の打刻・申請漏れチェック、承認チェック」など、「社外人事部」としてサービス範囲の拡大と業務の効率化を進めていく方針だ。
スタートアップが最小限の労力で最大限の成果を出すためには
近年、さまざまな分野でスタートアップが起業しているが、短期間で急速な成長を遂げるスタートアップにとって経理・法務・労務などの管理業務は大きな課題である。しかし、スタートアップ界隈でそうしたノウハウが共有される機会は決して多くないのが現状だ。
これを受け、AMPでは、アメリカン・エキスプレスと共に主に国内のスタートアップのより一層の成長を支援する企画として「AMERICAN EXPRESS INSIGHT for STARTUPS」を行なった。その一環として、『Kepple会計事務所』代表の神先孝裕氏をゲストに迎え「スタートアップを成功に導く『会計エコシステム』100社支えてきた会計士に学ぶ、スタートアップの会計戦略」を昨年開催した。
そこで、神先氏はスタートアップが最小限の労力で最大限の成果を出すためのポイントとして、
- フェーズによって適切な管理業務体制を構築すること
- 開発プロジェクトのように管理業務をマネジメントすること
- 「売上」を高めて管理体制を構築する体力をつけること
- 管理業務体制を担う人材の選び方
などを挙げた。
また、スタートアップの管理業務を効率化する3本柱として
- リソースを洗い出すためのタスク整理
- 売上や組織の規模に応じたプロセス・体制の見直し
- 目的を理解し的確に動くチーム作り
を提案している。
このような課題やポイントは、今回の「社外人事部サービス」をうまく活用することで、大きく改善することができないだろうか。
現代のニーズにフィットしたサービス
神谷氏の言う通り、現代はスタートアップのみならず、ビジネス全般において、最小限の労力で最大限の成果を出すことが求められている。
そういう意味では、「社外人事部サービス」は現代のニーズにフィットしたサービスといえるのではないだろうか。