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近年は〇〇テックという形で、テクノロジーと掛け合わせ、その分野を飛躍的に進化させようという動きがさまざまみられる。
代表的なところでいえば金融×テクノロジーであるフィンテック、広告分野×テクノロジーのアドテックなどだ。その他にも今までテクノロジーとは遠いと思われていた建設業界や介護業界などでも〇〇×テックの動きが盛んになってきている。
飲食業界も例にもれず、テクノロジーによるアップデートは進んでいる。そして今回、定額制で、さまざまな飲食店でビールやハイボールが飲めるというアプリが登場した。
株式会社GUBITは、月額980円(税抜)で毎日1杯のドリンクの提供を受けられる、定額制乾杯アプリ「GUBIT」のサービスを2018年7月6日より開始すると発表した。
加盟店で毎日1杯のドリンクが飲めるサービス
GUBITは、会員登録し月額980円(税抜)のプランを購入することで、GUBITアプリ(iOS・Android)に掲載されている飲食店(加盟店)であればどこでも、毎日1杯ドリンクの提供を受けることができるサービスだ。
ドリンクの提供を受けられる加盟店は、まず首都圏エリアでスタートし、準備が整い次第、対象エリアを拡大していくという。
ユーザーは日常的に飲食店でお酒を楽しんでいる人たちだけに絞られる。同社はそのようなユーザーに、毎日の乾杯タイムをより楽しく充実したものにして欲しいとの思いから、こだわりを持ってサービス開発を進めてきたという。
例えば、加盟店各店で提供されるドリンクを、事前にアプリ上で写真付きで確認することができるのもその一つ。これによりGUBITユーザーは、その日の気分や自分の好みに応じたドリンクから店を選ぶことができ、さらにビールとハイボールに関しては、そのブランドや銘柄もアプリ上で確認することができる。
さらにGUBITでは、友人へのドリンクプレゼント機能や、利用頻度に応じてクーポンを発行するなど、今後もさまざまな機能の追加を予定している。
また、首都圏からスタートするが、今後は関西、名古屋、福岡などの大都市エリアへの対象店舗拡大の準備も進めていく方針だ。
GUBITでは、ユーザーの利用動向をパートナーである加盟店ごとに検証しながら、マーケティングツールの開発や加盟店ごとにキャンペーンを実施するなど、加盟店にとってもメリットのあるサービスを目指す。
加盟店のコスト負担はゼロ
このようなツールが登場した際、飲食店が危惧するのはもちろん費用面だ。費用対効果がいまいちみえづらい新しいサービスなどは、運用の手間などもかかるため、どうしても飲食店側のコストを押し上げる要因になりやすい。
しかしGUBITでは、加盟店になるための初期費用・月額費用などは一切かからないことが特徴の一つとしてあげられている。参加条件としては、通常メニューからGUBITユーザーに対して事前に指定したドリンク提供を行うことのみだ。
さらにGUBIT側からは、ユーザーへのドリンク提供数に応じてインセンティブが提供されるという作りになっており、コストをかけることなく来店頻度の高いユーザーに対してアプローチすることもできるという。
飲食店の課題は、なんといっても集客に尽きる。チェーン店などでは潤沢な資金から、さまざまな広告やPRなどの施策を打ち出すことができるが、個人経営店舗はそうもいかない。
現在ではSNSなどのエンゲージメントの高いツールでの広告施策を打つことも可能だが、メインの業務ではないため、またそういった分野に明るくないなどの理由でおろそかにしてしまいがちだ。
ただし、今回GUBITではアプリという形態をとってはいるものの、ドリンクの提供というシンプルなオペレーションで完結することが飲食店側のハードルも下げるものになるのではないだろうか。
さらに、ユーザーとしては無償提供をうけたドリンク1杯のみで帰る、ということは、ないとはいえないが稀だろう。そうすることで、来店機会の向上と同時に収益の底上げになることも期待される。
飲食店の「ドタキャン」を防止するサービスも
テクノロジーの発達によって飲食店の課題解決も進みつつある。
全国の個人飲食店オーナーが集まって運営する「全日本飲食店協会(東京都港区)」が運営している予約の無断キャンセル・ドタキャンによる被害を減らすためのサービス「ドタキャン防止システム」のその一つだ。
このシステムは、ドタキャンに長年悩まされてきた飲食店オーナー達のアイデアにより開発したもので、過去にドタキャン前歴のある電話番号をデータベースに登録し、新規の団体予約の電話を受けた際、その場でデータベースに照合することができる。
ドタキャン防止システムのデータベースは「電話番号」「ドタキャン日時」「予約人数」のデータのみを収集する。これは個人情報保護法に抵触しない範囲として弁護士事務所にも確認を取っており、データベース照合によって個人が特定できる可能性はないという。
データ照合時に店舗が確認できる内容は下記だ。
- ドタキャン歴の有無
- ドタキャン日時
- ドタキャン時の予約人数
- データ登録をした店舗の電話番号の一部
店舗はこれらの情報を得ることにより、あまりにドタキャン回数が多い相手には予約の断りを入れる、団体でのドタキャンが過去にあった場合は前金制での案内をする、同一店舗ばかりでドタキャンが相次いでいるなどの不自然な状況であれば、データの信憑性は低いと判断して対応するなど、ある程度の予測をしながら利用することができるのだ。
現在は、できる限り多くの飲食店に協力してもらうため月額利用料金を永久無料としている。今後はシステム利用者には有料サービスに関する情報を発信していくという。
来店機会の創出をユーザーメリットで
今回のGUBITは、ユーザーと飲食店双方がWinWinとなる設計になっている。さらにサブスクリプション型として、「受け取る対価」に対する支払いがハードルの低い価格設定となっているため、気軽に登録することもできるだろう。
ユーザーとしてはもちろん、無償でドリンクの提供を受けることができ、気になっていた飲食店に対して訪れるきっかけ作りになってもくれるだろう。飲食店側にとっては、明朗な運用オペレーションのうえで、ユーザーの来店機会創出による売上のボトムアップが見込める。
おそらくGUBITの早急の課題は加盟店の増加と、増加した際の来店機会の分散化をいかに防ぐか、というものだろう。
加盟店の数によって、ユーザーの受け取るメリットへの期待感が大きく変化するはずだ。また飲食店側からすると、加盟店が少数であった場合、無償提供ドリンク数だけが増加してしまうのではないかというおそれが生じる。さらに加盟店が増加すると、選択肢(店舗数)の多さから、ユーザーの嗜好による取捨選択が進み、来店機会が減少するという一面もあるだろう。
ただし、こういったツールはあくまでもマーケティング支援のツールであり、飲食店側は本来の業務による顧客化と顧客の継続化、来店頻度増加を考えなければいけない。
GUBITのようなサービスの登場により、飲食店の売上貢献が進むことを期待したい。
img:PR TIMES