IT事業を地域単位で行う、地域活性化に注目が集まっている。
以前AMP内で紹介した、岡山県の仮想通貨を用いた「地方創生ICO」もその一例と言えるだろう。今後はテクノロジーを利用したユニークな施策が地域創生化のトレンドとなりうるかもしれない。
ComPower株式会社は、2018年4月1日に設立した北海道美唄市データセンターに続き、東京都奥多摩町にも廃校を利用したマイニング事業のデータセンターを開設する。
ビットコインの取引をチェックしブロックチェーンに追記する作業
まず、マイニング事業とは何だろうか。マイニングとは英語で「採掘」のことをいう。これになぞらえ、コンピュータでビットコインの取引をチェックし、ブロックチェーンに追記していく作業のことを「マイニング」と呼ぶ。具体的には送金情報を送った人がそのビットコインの正しい保有者なのか、ビットコインを重複して使用していないか、などを検証する。
ビッコトコインやその他暗号通貨の発行や取引には国や銀行のような中央機関が存在しない。このため、取引は全てP2Pネットワーク上で行われている。 このため、二重払いや不正を防ぐため、過去の取引履歴のデータの整合性を取りながら取引の承認・確認作業を行うことをマイニングが必要なのだ。
マイニングが行わなければビットコインを送ることができず、ビットコインの仕組みを維持するためには必要不可欠な作業とされている。また、マイニングを行う人のことをマイナーと呼ぶ。
参照:マイニングとは?
マイニング事業のデータセンターの開設で地域活性化
今回データデンターが開設される奥多摩町の平均気温は7・8月が30度をこえるものの、全体的平地より低いためマシンの冷却コストが削減できる環境であるという。さらに、同廃校を利用した外国人向けエンジニア養成校にマシンから発生した熱を提供することによって、冬季の空調コストの削減も期待できるという。
データセンターの設立によって、保守管理のスタッフは現地人材を育成し採用することによって、地域の活性化を目指す。
なぜ廃校なのかというと、学校は全ての部屋が同じ広さ、同じ型、同じ方角向きであるため、セキュリティ面を改善すればデータセンターの運営に非常に適しているからだ。
ComPower株式会社はマイニングにあたり同社の稼働マシン「Green Mining Cloud」を使用する。このマシンは汎用性が高い点に着目して、GPUマイニングを採用している。GPUとはGraphics Processing Unitの略で、画像処理装置のことを指す。膨大な数のデータ処理が求められる3Dグラフィックといった画像処理などの場合に使用される。
普通、マイニングにはマイニング専用のGPUが使用される。これは効率がいいと言われているものの、新製品が発表されるサイクルが短く採掘量が減りやすい可能性もあり、他の分野に転用できないのが一つの難点だ。このため、通常のGPUであれば、マイニングに計算能力を提供できなくなったとしても、AI・ディープラーニングのデータサバーに転用できるからだ。
マイニングを簡単に行える「採掘家電」が続々登場
このマイニングを簡単に行え、生活しているだけで仮想通貨を手に入れられるとしたらどうだろうか? そんな「採掘家電」が続々、登場している。
フランスのQARNOTのマイニング機能を備えたヒーター「QC-1」は、一部のマイニング専用マシンにも用いられている、AMD製のグラフィックカード(RADEON RX 580 8G)が2枚搭載されており、これがメインの熱源となる。グラフィックカードには冷却用のファンは付いておらず、またハードディスクも搭載されていないため、稼働音はまったくせず、見た目にも高級感があるという。
また、ユニークなのは中国の32teethの「ブロックチェーン歯ブラシ」だ。これは、普段通り歯を磨くだけで、オリジナルのAYAトークンを手に入れられるという。
さらに、昨夏、中国・深センにある家電大手Mideaが「採掘家電」に関する特許を出願していたことが明らかになっている。
増加するIT事業による地方活性化
地方を活性化する方法はいろいろある。しかし、昨今は前述したようにIT事業を地域単位で行うことが増えてきている。
今回の奥多摩町の廃校を利用したマイニング事業のデータセンター開設は、岡山県の仮想通貨を用いた地方創生ICOに続くものとして注目される。
地域活性化のモデルケースとなれる成果がでるよう、期待したいところだ。