Appleの「Siri」やAmazonの「Alexa」などのAIは、“手動”から“音声”へと動作機会の選択肢を広げた。スマホはもちろんだが、最近ではスマートスピーカーの登場によって、AIを利用した音声認識分野は、今後ますます進化をみせてくれるだろう。
株式会社INTERAKは、GREEN FUNDING by T-SITEにてAIボイスアシスタント「Senstone」のプロジェクトを公開した。
スマホがなくても使用できるAIボイスアシスタント
Senstoneとは、音声を自動でテキスト化と録音することができるAIボイスアシスタントである。メモを取る、リマインダーを作る、ToDoリストを作る、ノートにハッシュタグをつけて整理するなどの作業を、言葉を発するだけで解決してくれる。
KICKSTARTERやINDIEGOGOなどの米国クラウドファンディングにおいて、合計70万ドル以上の資金調達に成功した。また、日本でスタートしたクラウドファンディングにおいても、1日足らずで目標金額を達成し、現在は目標金額の3倍以上の調達に成功している。(2018年6月13日現在)
Senstoneは以下の4つの特徴を持つ。
- メモ作成デバイス
まず、Senstoneに話しかけると、話した言葉が自動的にテキスト化される。話した音声とテキストはスマートフォンアプリに自動的に同期され、編集することもできる。また、ハッシュタグやメモを取った場所もつけることができ、話した後のノート整理にも役立つ。作成したメモはEvernoteなどのサードパーティーアプリとも連携することができる。 - 直径31㎜重さ265gのコンパクトデバイス
Senstoneは小型で、持ち運びも便利。使用する際には、クリップとして襟につけるか、付属のペンダントに取り付けて身につけての使用が可能。 - ながら使用が可能
使う時は本体をクリックするだけである。このため、話している言葉がスマートフォンのアプリに同期され、あとで確認することができる。そして、車の運転をしていて手が離せないときなどでも、「ながら」使用することができる。 - スマートフォン不要
手元にスマートフォンがないときでもSenstoneは使うことができるという。これは、ストレージが本体にもあるためで、登山やウォーキング中など、スマートフォンを持っていないときでもノートを取ることができる。
注目を集めるAIアプリ「Otter Voice Meeting Notes」とは
ここで、AIによる音声認識サービス例として注目を集める無料のモバイルアプリ「Otter Voice Meeting Notes」をご紹介する。
このアプリは、AISenseというスタートアップが開発した簡単に音声をテキスト化してくれるアプリである。米国で2月に開催された「Mobile World Congress(MWC)2018」で発表され、注目を集めた。
使い方としてはまず、画面の録音アイコンをタップすると録音が開始される。すると、話の内容のライブテキストが未加工の状態で瞬時に文字化される。
それをAIが整理し、きれいな文章にする。ここで、特徴的なのは5つの段落からなる文章を読み上げるよう求めることで、ユーザーの「声紋」を取得することだ。ユーザーの音声をAIが学習して、話し手を明確に識別する。
またOtterの音声テキストは、1つのテキスト内だけでなく、保存したすべての録音から検索できるのも大きな特徴だ。自動的にキーワードが生成されるため、ユーザーはキーワードをタップして検索することもできる。
さらに大きな特徴として、録音を再生するとテキストと音声が同期されるという点がある。テキストの任意の箇所をタップするだけで、正しくテキスト化できているかどうかを確認できるのだ。
現在はiOS、Androidともに英語でのサービス展開で、Webでも一部機能を利用できる。
*この項はCNET Japanの「音声のテキスト化にAIを活用した「Otter」アプリが登場–検索や共有機能も」を参考にしています。
AIの進化でスマホが手ばなせない時代に
スマホに話しかけるだけで、その言葉が自動的にテキスト化される。しかも、それが簡単に編集できるというのはタイピングを行う人間にとっては魅力的なアイテムだ。
こういったアプリの活用範囲は非常に広く、汎用性が高まっていくと予想される。ちょっとしたメモならもちろん、ライターのような職種であればインタビューなどの音声ベースデータの文字起こしなど、今まで膨大な時間をかけていた作業を簡単かつ効率化しながら行うことができる。
このようなデバイスを目の当たりにすると、AIの進化によって奪われる仕事出てくるということが現実のものだと痛感する。しかし、この技術を利用することでまた新たな職が生まれることも事実だ。
テクノロジーの進化に対応できるスキルと、それを活かすイマジネーションが必要な時代はもう目の前にきているようだ。
img: PR TIMES