決済手段へのニーズがユーザーを増やす。カード不要の後払い「Paidy(ペイディー)」がデジタルコンテンツに対応

簡単な決済手段を提供するサービスが増えている。急速に広がるECやシェアリングエコノミーも、便利なオンライン決済やキャッシュレス決済抜きには語れない。

スピードや手軽さといったオンラインサービスの魅力を支える決済サービスは、テクノロジーの発展とともにその形態を変化させつつある。

デジタルコンテンツの購入に、カードを使わない翌月後払いを導入するサービスが登場した。

カードを使わず後払い。「Paidy(ペイディー)」がデジタルコンテンツに対応

2018年06月08日、株式会社Paidyは、決済サービス「Paidy(ペイディー)」が、デジタルコンテンツに対応したことを発表した。Paidyは、カードのいらないカンタン決済サービスだ。これが電子書籍、映像、画像、音楽などのデジタルデータや、アプリ、ソフトウエアなどのデジタルコンテンツの決済に対応する。

こうしたデジタルコンテンツに、後払いや翌月払いの決済サービスが対応するのは、Paidyが初めてとなる。デジタルコンテンツのように物理的な配送を伴わない商品の販売については、EC事業者がユーザーのニックネームしか入手しない場合も多い。請求書の送付など、後払い導入へのハードルが高かった。

Paidy(ペイディー)は、2014年10月にサービス提供を開始した。EC向け決済サービスとして、日本初の翌月おまとめ払いを実現している。

Paidyでの決済はメールアドレスと携帯電話番号の入力だけで瞬時に行われる。事前の会員登録も、カードも必要としない。本人確認はSMS(ショートメール)か、自動音声で案内する認証コードによって行う。代金は、翌月まとめてコンビニエンスストアや銀行振込、口座振替で支払うことになる。

クレジットカードを持っていない顧客や、カードの利用に抵抗のある顧客は多い。カードのいらないPaidyを導入すれば、新規顧客の獲得やコンバージョン率の向上が期待できる。

新しい決済方法の導入は、新しい顧客の獲得につながるのだ。

アパレルオンラインショップとして注目を集めることの多いZOZOTOWNも、新しい支払いの形態を導入している。

ツケ払い・QRコード、多様化する決済手段

ZOZOTOWNでは、2016年11月から「ツケ払い」のサービスを始めている。代金を支払う前に商品が届く。支払いは、商品を受け取って中身を確認してから、2ヶ月後でよい。

上限が54,000円で、手数料が324円かかるなどの条件があるが、クレジットカードを持たない若年層などの支持を集め、売上に貢献したようだ。

商品購入の際に「ツケ払い」を選択すると、商品が先に届く。商品とは別に請求書が届くので、期日内にコンビニや銀行で支払うことになる。給料日前だが、カードを使わずに注文したいといったニーズもあるようだ。

オンラインショッピングだけでなく、社内というリアルでの決済をキャッシュレス化することで利便性を高めようというサービスも存在する。

株式会社ISAOは、2018年2月6日に、インターナルペイメント&チェックインシステムの「Mamoru Pay」をリリースしている。

社内で販売する食品・飲料の購入で現金を使わずに済む。社員はアプリをインストールしたスマートフォンを使って、商品に貼られたQRコードを読み取ることで、商品を購入する。代金は、あとから給与天引きとなる。天引きもシステム化されているので、経理に係る負担も少ない。

オフィスコーヒーやオフィスグリコを導入している企業で、小銭の準備や確認作業が不要となる。Mamoru Payには、座席のQRコードを読み取るだけで勤怠管理ができたり、セミナーへの出欠管理ができるなど、さらなる機能も追加可能だ。

決済方法の形態は、サービスの広がりに影響する

オンラインサービスでは、決済方法がネックとなり、利用を控えるシーンが多く見られる。オンライン決済の方法がカードだけでは、利用可能な顧客が限られてしまう。

Paidyでは、匿名で利用する人も多いデジタルコンテンツの取引に後払いを導入した。ZOZOTOWNでは、カードを持たない若者向けに、ツケ払いを可能にした。どちらも後からコンビニで支払える。ユーザーと売上を増やす可能性を秘めている。

Mamoru Payは、社内での飲食料品購入を、スマホとQRコードでキャッシュレス化し、給料天引きで処理する。現金を管理する手間を省く上に、勤怠管理への応用も可能だ。

サービスのユーザーを増やすためには、決済手段へのニーズにも注目することが必要なのかもしれない。

img: DreamNews , ZOZOTOWN

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