病院の混雑よ、さようなら。「ヘルステック」が解決する医院と患者、両者の待ち時間問題

世の中の煩雑な業務は、テクノロジーの進化によって解決されてきた。機械による作業の自動化、ソフトウェアによる作業の効率化などが多くの分野で実現されている。これらは私たちの生活や仕事にますます浸透していき、生産性を上げてくれることであろう。

もちろんそれは医療分野においても同じだ。医療機関向け予約管理システム「メディカル革命」などを提供する株式会社医療予約技術研究所は、医院向けのアプリ開発サービス「ポケットクリニック」を提供を開始した。

患者、医院双方の負担を削減

同社では従来より、医療機関向け予約管理システムを提供する中で、医療受付現場の効率化に取り組んでいる。そして、その中で、以下のような課題が出てきたという。

このような課題を解決するためには、同社が主力とする予約管理システムと連携する専用のアプリ提供が効果的であると考えたのが今回の「ポケットクリニック」開発につながったという。

ポケットクリニックは、患者の利便性を向上させるだけでなく、電話による予約受付、来院受付、初診の問診など、支払い業務といった医院の負荷になっていた業務を削減する。

具体的な機能は以下の通り

また、ポケットクリニックには、シームレスな決済機能が統合されている。具体的な料金の処理は、以下のようになっている。

  1. レセコン上で診療報酬確定
  2. 同社の予約管理システムに料金連携
  3. アプリ上へのプッシュ通知
  4. アプリに登録されたカードでの支払い
  5. 必要に応じて領収書のダウンロード

このように、決済のフローが自動化することで精算待ち時間がなくなり、医院、患者両者にとってより便利になるという。

ポケットクリニックのカスタマイズ例としては、以下のようなものがある。

同社では今後も、以下のような展開を構想しているという。

世界各地で登場する「ヘルステック」サービス

最近、「ヘルステック」なる言葉をよく見かけるようになった。これは、「ヘルスケア」と「テクノロジー」を掛け合わせたものを指す。近年、拡大し続ける医療問題に最新のIT技術やサービスを駆使して解決しようというものだ。

この「ヘルステック」に呼応しようという企業が業界を問わず出てきており、近年さまざまなヘルスケアサービスが登場した。

中でもユニークなのは、保険とITの相乗効果を狙うアクサ生命保険株式会社とKDDI株式会社の研究だ。

これは、アクサ生命が提供している「アクサ メディカルコーディネーションサービス」とKDDIが提供する、自宅でできる血液検査サービス「スマホdeドック」の2つのサービスを合わせることで、自宅など病院以外の場所での健康診断の実施から各種病気の予防、体の状態に合わせたサービスを提供するというもの。

また、ヘルステックには他にも様々な企業が挑戦している。サンフランシスコのヘルスケアスタートアップForwardは、病院という固定概念を壊すことに挑んでいる。また、日本の医療系スタートアップ株式会社Kids Publicは「小児科オンライン」というサービスを提供している。

さらに、世界的な製薬会社大手であるノバルティスファーマは、治療薬が効いた患者にのみ支払いを求める「成功報酬型」のビジネスモデルをはじめている。

このように、ITとの掛け合わせによって医療分野の進化は目覚ましく、今まで制約を受けていたサービスやビジネスモデルが提供されるようになった。

将来的にはユーザーから必要性が訴えられているサービスやインフラが実現していく可能性も高いと思われる。

「ポケットクリニック」が医院、患者両者にもたらすメリット

筆者の経験では、評判のいい病院ほど診察の待ち時間が長い。しかし、逆に患者が少なく、待ち時間が短い病院には不安で行きたくない。実際、自宅近辺の評判がいいというある医院は、なんと待ち時間が4時間だという。

評判のいい病院の待ち時間が長いのは、患者数が多く、それだけ病院側の業務処理に手間取るからだろう。そういう意味では、「ポケットクリニック」が果たす役割は大きいと思われる。医院、患者両者にとって大きなメリットのあるサービスとして今後どのような展開を見せるのか、期待したいところだ。

img:PR TIMES

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