インバウンドの急増や、2020年の東京オリンピックの影響で宿泊施設不足が叫ばれる中、Airbnbによって民泊はブームになるまでになっている。民泊新法を受けてますます盛り上がりをみせようとしているが、課題点としてあげられるのはやはり、ユーザー間のトラブルだ。
ホストもユーザーも、お互いはじめて会うであろうことが多く、信用や安心感といった点で問題が大きい。その信用を可視化しようという試みが行われる。
アプリではじめるIoTアパート経営「TATERU Apartment(タテルアパートメント)」の開発・運営を行う株式会社TATERUと子会社である株式会社TATERU bnbは、エルズサポート株式会社からデータ提供を受け、ゲストの信用スコアを可視化する「bnb SCORE」の開発を開始すると発表した。
AIで約40万件の属性データから信用スコアを作成
TATERU bnb社では、アプリでかんたんIoT民泊運用「TATERU bnb」の開発・運営をはじめとした「bnb kit(スマートロック・チェックインパッド・TRIP PHONE)」の開発・レンタルなど、IoTを活用した様々な民泊運用サービスの提供を行っている。
「TATERU bnb」は、団体旅行やパッケージツアーを利用することなく個人で海外旅行に行くというFITのニーズに対応した、新しい形の民泊施設である。
この施設では、1 室4 名まで宿泊することができるため、一人あたりの宿泊コストを抑えることが可能となり、より自由度の高い旅行を計画することができるのだ。
「bnb kit」とは、IoT で民泊運用のコストを抑え、運用業務を効率化する。また、IoT の活用により、宿泊者へのサービス提供を行うことができ、満足度の向上や他施設との差別化を図ることができるサービスだ。
民泊施設には、4 つの方法で解除できる「スマートロック」をはじめ、宿泊者情報の取得やタブレットでのチェックインが可能な「チェックインパッド」、旅行者向け IoT デバイス「TRIP PHONE」の 3 つの「bnb kit」を標準装備している。
今回、同社グループでは、これらの技術を生かしたゲストの信用スコアを可視化する「bnb SCORE」の開発を開始する。
このシステムは、ビッグデータを活用し、機械学習させることで、信用スコアの出力をオートメーション化するAIシステムだ。
ソーシャルメディアやブログから収集したプロフィール情報(趣味・嗜好など)や行動履歴に加え、同社が保有する約4万件の属性データやアクテビティ、さらにはエルズサポートの保有する約40万件の属性データやアクテビティなどの定性的データを、データベースに蓄積し機械学習させる。
これにより、スコアリングモデルを生成、信用スコアを出力するというものだ。
TATERU bnb社の運営するIoT民泊アパートでは、日本人宿泊者の割合が6割を超えており、今後は同システムを無人運営施設などで利用することで、ゲストの質を見極め、不正利用を防止、トラブル回避につなげるという。
「民泊新法」により民泊はどう変わる
これまで民泊は旅館業法や国家戦略特区などの枠組みの中で運営されていた。しかし、2018年6月15日に、「民泊新法(住宅宿泊事業法)」が施行される。これを機に、自治体に届け出を行えば、誰でも営業が可能となるのだ。
現在、これから民泊を始めよう・使ってみようという人も多いだろう。民泊の盛り上がりには、どんな視点が必要なのだろうか。民泊新法の施行を見据え、家族旅行における民泊利用に関するアンケートが行われた。
国内最大級の子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」を運営しているアクトインディ株式会社が実施した調査によると、「家族旅行で民泊を利用したことがありますか」との問には、約2割程度の人が民泊を利用したことがあると回答した。
また、今後も民泊を利用したいかという問いには、約9割が「はい」と回答しており、ユーザーは民泊については総じていいイメージを持っていることが分かる。
民泊には、インバウンド政策とのタッグにより、地方経済を盛り上げる効果への期待という一面もあるため、これまで課題とされていた、地域住民とのトラブルや、住宅地域の公衆衛生の確保などの問題への対応も進むだろう。新法の施行やサポートサービスの充実もあり、「民泊」への参加者は、これからも増えていくと思われる。
民泊ビジネスの不安解消が加速。参入ハードルを一気に下げるか
民泊ビジネス最大の不安は、やはり「どんな人が泊まるのか」という不安だろう。また、ゲスト側にとっても「どんな人と一緒になるのか」という不安があり、利用を躊躇する人も多いだろう。
「bnb SCORE」は信用を可視化するということで、この課題に対応する画期的なサービスだと言える。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催までの期間が民泊にとっての1つの変革期になるだろう。その間に、オーナーもユーザーもストレスフリーで利用できるサービスへと変貌を遂げることに期待したい。
img:PR TIMES