フィンテックに代表されるブロックチェーンは、仮想通貨を皮切りに、金融業界のイノベーションに一役かっている。台帳情報だけではなく、契約情報も記録することができるため、すでにその応用の分野は広がり続けている。

それは、不動産分野にも及んでいる。不動産テックベンチャーの株式会社ZWEISPACE JAPAN(ツヴァイスペース・ジャパン)は、不動産ブロックチェーンを活用した日本法人(会社情報)のブロックチェーン登記サービスを開始する。

ほぼ即時に登記され24時間365日の受付が可能に

同社は既に、不動産登記、不動産売買管理システムの提供などのブロックチェーンを、不動産業界へ活用し始めている。今回のサービスの受付はこれまでと同様に、ZWEISPACE JAPANと、日本におけるZWEISPACEの各パートナーにおいて開始する。

既にパートナーの不動産会社と連携して、ブロックチェーンに不動産取引情報などの登記を行っており、不動産登記の公正性については、司法書士法人などと確認している。

各国の対応については慎重に検討し、まずは日本法人について登記を開始する方針だ。

登記情報については、ZWEISPACE JAPANが特許を保有している不動産管理ブロックチェーンに登記され、一部公開ブロックチェーンにも登記される。しかし、一般的に認識されている登記以外に、法人登記されている住所の建物の所有者かテナントかという区別できるようになっている。

発表済みの不動産のブロックチェーン登記については、既に海外からも受け付けているという。今回、まずは日本法人についてのサービス開始となる。

日本の法人が公的機関で登記する場合、数日から一週間程度のタイムラグがあり、深夜や休日、祝祭日での受付ができないという課題があった。

しかし、ブロックチェーンを利用することで、ほぼ即時に登記され24時間365日の受付が可能になり、また直近の登記申請状況の確認が可能となるなど、利便性が高まるとしている。

国連も注目され始めたブロックチェーン技術

仮想通貨ビットコインの基幹技術であるブロックチェーン技術が様々な分野で活用し始められている。世界規模でみて注目されるものに、難民向けの金融・社会支援への活用がある。

フィンランドの地元スタートアップMONIは、ブロックチェーンを活用した難民向け金融・社会支援を開始している。これは、同社が開発したプリペイド・マスターカードを身分証明カードとして機能させるというもの。

これにより、難民が抱える雇用問題の障壁をなくそうというのが狙いだ。

また、ブロックチェーンは国連でも活用が始まっている。国連は昨年、ブロックチェーンを通じて「持続可能な開発目標」に関わる取り組みを促進するためのグループ「ブロックチェーン・コミッション」を立ち上げた。

このグループの目標は、貧困をなくす、飢餓をゼロにする、保健と福祉を充実させる、などだ。

ブロックチェーン・コミッションが注目している取り組みはすでにいくつか存在する。

たとえば、新型ポータブルシェルターを開発するShiftPods社は、仮想通貨「Shelter Coin」を発行するための組織Shelter Coin Foundationを設立。災害時などの緊急避難シェルター提供を、仮想通貨の購入により迅速に実施できる仕組みを構築している。

また、Mother Earth Trustが発行する仮想通貨Earth Dollarというものもある。Earth Dollarのユニークな点は、仮想通貨を裏づけるのは河川や森林などの自然資産で、その自然資産は所有者や先住民たちが保証するということ。通貨の価値は自然資産が豊かになればなるほど上がる仕組みになっているのだ。

このほかにも、世界に11億人存在するといわれている公的身分証明を持たない人びとに、ブロックチェーンを活用してIDを付与しようという「ID2020」というイニシアティブもある。

さらに、国連世界食糧計画(WFP)はブロックチェーン技術を活用して飢餓撲滅運動を加速させるプロジェクト「ビルディング・ブロックス」を開始している。2017年5月には、ヨルダンで試験運用を実施した。

このように、世界規模でブロックチェーン技術の活用が進んでいるのだ。

ブロックチェーンが登記のハードルを下げる

不動産の登記というものは、時間もかかり、かなり手間のかかる作業であった。しかし、今回のサービスはそのハードルを一気に下げてくれる。

ZWEISPACE(ツヴァイスペース)はこのほかにもすでに、不動産売買管理システムなどにブロックチェーンを活用し始めているという。

今後の不動産分野でのイノベーションが加速していくことに寄与することは間違ないだろう。

img:PR TIMES