シェアリングサービスが、安全性への取り組みを進めている。
人とモノを共有するシェアリングエコノミーという文化が根付いてきた。スマートフォンを利用したシェアリングサービスは利便性も高く、利用者の数も伸び続けている。
その反面、ユーザー同士の取引上におけるトラブルも増えてきているのが現状のようだ。利用する上で対策を望む人も多いだろう。
そんな中、シェアリングエコノミーを代表するフリマアプリの「メルカリ」が、ユーザー間のスムーズな取引実現に向けて、新たな一歩を踏み出した。
メルカリ、盗品流通を阻止へ向け「全国万引犯罪防止機構」に加盟
6月1日、株式会社メルカリは、「全国万引犯罪防止機構」への加盟を発表した。「全国万引犯罪防止機構」は、万引犯罪を防止し、青少年の健全育成と安全・安心な地域社会を目指すための活動を行う、特定非営利活動法人だ。
同機構に加盟することで、盗品流通を阻止するための様々な取り組みを共同で推進し、プラットフォームのさらなる健全化を目指す。また、加盟する小売・サービス業団体等からは、万引犯罪の対策や、盗品流通の傾向などについての知見を得る、という目的もあるようだ。
フリマアプリ「メルカリ」は、多くの人々に利用されている。2018年3月には国内ダウンロード数が7,100万を越え、月間利用者数は1,050万人を記録した。これまで、利用者が増える過程において、さまざまなトラブルが報告されている。
悪徳業者の存在、マナーの悪いユーザー、盗品の流通、マネーロンダリング、不適切な出品。こういったトラブルに対し、メルカリでは、ユーザーに安全・安心な取引を行ってもらうための環境整備を進めている。
これまでに、カスタマーサポートの拡充、AIを使った不正出品の自動検知の仕組みの導入、禁止行為・出品物等のガイドラインの見直し、などを行ってきた。
2017年8月25日には「EC事業者協議会」を発足している。他の事業者や関係省庁との連携しながら、消費者保護やeコマースの健全な発展のための活動を行う。
2017年12月には、初回出品時の本人情報登録を必須化した。これにより、盗品をはじめとした不正出品を抑止する事ができる。また、警察・捜査機関と早期の連携も可能だ。
メルカリでは、「健全なプラットフォームの運営」を経営の最重要課題と考えているようだ。「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションに向け、健全化を目的とした外部機構との連携の推進も表明している。
シェアリングエコノミーの一般化に必要な健全化の視点
テクノロジーの進化にともなうシェアリングエコノミーの広がりには、スピード感がある。トラブルへの対策が遅れ、悪い評価が広がれば、そのスピードが失われることになりかねない。
シェアリングサービスが広がり一般に定着するには、「健全なプラットフォームの運営」という視点が欠かせない。
AIを利用した不正検知などとともに、他の事業者や関係省庁、外部機構との連携をすすめることが、ユーザーの信頼獲得に繋がり、シェアリングエコノミーの一般化を実現していくことになるのかもしれない。
img: メルカリ