プリントメディアもパーソナライズする時代。一人一人に向けた印刷を提供する「Re;p」のマーケティング

ビックデータやAIの活用が盛んになってきている近年、パーソナライズ性の高さからデジタルマーケティングがさらに主流となり、パーソナライズ性が低くなりがちなアナログ媒体での広告は減少をみせている。

このようなデジタル広告の増加を受け、株式会社ファインドスターは、デジタル印刷テクノロジーを活用したプロダクションワークフロー構築を支援する、株式会社グーフと共同開発した「Re;p(リップ)」を提供開始した。

「デジタルとアナログの融合」を目指して

昨今のデジタルマーケティングの課題として、メルマガ開封率の低下や、クーポンなどのインセンティブを前提としたリテンションの乱発が挙げられる。その解決策の一つとして、高いリーチ率と、より顧客の心に残るプリントメディアの価値が見直されつつあり、「デジタルとアナログの融合」がにわかにマーケティングの新潮流として認識されるようになった。

例えば、

  1. Eメールなどのデジタル・コミュニケーションを好む人には“デジタル”を用いて
  2. DMやカタログなどのアナログ・コミュニケーションを好む人には“アナログ”を用いて
  3. 購買確率が最も高まる一人ひとりの「パーソナライズ(最適)なタイミング」で
  4. 購買意欲が最も高まる一人ひとりの「パーソナライズ(最適)なコンテンツ」を届ける

といったユーザードリブン(顧客視点)なコミュニケーションが、デジタルとアナログの垣根を越えて可能になることで、企業はより深い顧客接点を構築できるようになるのだ。

「Re;p」は、デジタルマーケティングにおける高いパーソナライズ性を、DMなどのプリントメディアにもたらすためのソリューションである。

これまでDMなどのプリントメディアによる顧客へのリテンションは、リーチ率の高さやクリエイティブの豊かさから高いレスポンスを実現してきた。しかしながら、制作などの準備期間に時間を要するため、Eメールやアプリのプッシュ通知のように即時性高く、顧客一人ひとりに最適化されたリテンション施策として活用することは困難だった。

これに対し、「Re;p」はプリントメディアが持つ高いレスポンスの強みはそのままに、課題であった最適なタイミング・最適なコンテンツによるCRMを、デジタルマーケティング施策と同列で実現することができるツールだ。

リテンション施策の自動最適化も可能に

「Re;p」はそれぞれの業界におけるリーディングカンパニーであるファインドスターと、グーフの強みを最大化させるソリューションだ。ファインドスターはダイレクトマーケティング領域のノウハウを活用し、勝ちパターンをつかむシナリオ設計・運用、レスポンスを最大化させるクリエイティブのA/Bテスト実行をサポートする。

また、グーフはデジタル印刷機を用いた長年の事業支援により培われたプリントメディアの生産性コントロールノウハウを用いて、「1枚でも1万枚でも同じ納期・同じコスト(単価)」を実現するサポートを行う。

これにより「Re;p」は、「入れて終わりのソリューション」ではなく、フィジビリティとスケーラビリティが担保された、確実に企業の顧客体験価値を向上させるソリューションとして提供が可能になる。

「Re;p」導入企業がMAツールを利用する場合、2つのソリューションを連携させることで、プリントメディアを活用したリテンション施策の自動最適化も可能になるという。

具体的には、ECサイトでは一般的な「カゴ落ちメール」シナリオにおいて、Eメールと同じタイミングで紙DMの発送手配をかけるといったことも可能となり、メディアを横断した立体的な顧客コミュニケーションが実現できるとしている。

AIにより客層に合わせたリストを導き出すサービスも

パーソナライズドマーケティングの他の事例としては、AIによって客層に合わせたリストを導き出すという自動選書サービス「SeleBoo(セレブー)」がある。

これは、日本出版販売株式会社と富士通株式会社の共同開発によるもので、2018年夏より、日販から全国の取引書店向けに提供を開始する。

「SeleBoo」は「Select Book」の略で、国内で流通する約60万点の書籍から、売り場のテーマや書店の客層に合わせた書籍リストを、富士通のAIを活用したビッグデータ分析により導き出す業界初のAI選書サービスだ。

日販はそのリストをもとに、全国の取引書店に書籍を提案する。書店の店頭フェアやイベントでの選書への活用を想定している。

日販が持つ約350万点の書誌情報や全国約3,000書店の販売実績情報などに加え、Wikipediaから情報を抽出してLinked Open Dataとして公開するコミュニティサイトDBpediaや、世界中で公開されているLinked Open Dataを収集し、一括検索することを可能にする。LODの活用基盤Lod4allなどのオープンデータを、富士通のAIを活用したビッグデータ分析サービスであるマーケティングAIコンテナで分析、そして、書店や小売店向けにテーマや客層に合った本を選定しリスト化する。

また、選書結果に対する評価を書店員がフィードバックすることで、AIが書店員の知識や感性を機械学習し、選書能力を高めていくという。

「デジタルとアナログの融合」がマーケティングの新潮流に

前述したように、「デジタルとアナログの融合」がにわかにマーケティングの新潮流として認識されるようになっている。古い技術だといって切り捨てるのではなく、そのメリットを活かして、最新の技術と融合しようということだ。

世の中がどんどんパーソナライズ化している傾向に対応するためには、アナログ的なアプローチを好む人だっているため、欠かせない発想なのかもしれない。果たして、「Re;p」はプリントメディアの新潮流となれるだろうか。

img : PRTimes

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