2018年6月15日に、「民泊新法(住宅宿泊事業法)」が施行される。従来、旅館業法や国家戦略特区などの枠組みの中で運営されていた民泊だが、これからは、自治体に届け出を行うことで、誰でも営業が可能となる。国内には、62,000の民泊物件があるとされるが、5月現在での届け出数は、700件余りにとどまっているようだ。
2008年にサービスを開始した「Airbnb(エアビーアンドビー)」をきっかけに、世界的に民泊の認知度が広がった。日本では、インバウンド政策が進められており、東京オリンピックに向け、さらなる訪日外国人観光客の増加が見込まれ、その受け皿としての期待が高まっている。
民泊は、訪日外国人観光客だけでなく、ビジネスパーソンの出張や国内の家族旅行といったニーズも想定されている。これから民泊を始めよう・使ってみようという人も多いだろう。民泊の盛り上がりには、どんな視点が必要なのだろうか。民泊新法の施行を見据え、家族旅行における民泊利用に関するアンケートが行われた。
家族旅行における民泊利用に関するアンケート調査
2018年5月24日、アクトインディ株式会社は、子どもを持つ全国の保護者を対象とした、民泊利用実態に関するアンケート調査の結果を発表した。アクトインディ株式会社は、国内最大級の子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」を運営している。調査は、全国の子どもを持つ保護者360名を対象に、2018年3月5日~2018年4月2日、いこーよ」サイト上で実施された。
「家族旅行で民泊を利用したことがありますか」との問には、約2割程度の人が民泊を利用したことがあると回答した。
家族旅行に民泊を選んだ理由については、「価格が安いから」が8割を占め、「大人数で宿泊できるから」が続く。
家族旅行で民泊経験がある人の94%が、「国内」での利用だった。「海外」での利用経験は12%と、大きく差が出ている。
民泊の際に利用したサイトは、「Airbnb」が19%、「Booking.com」が13%、「HomeAway」9%といった順だった。やはり民泊においての認知度ではAirbnbが頭一つ抜けているという印象のようだ。
今後も民泊を利用したいかという問いには、約9割が「はい」と回答している。
調査では、逆に民泊を利用しない理由についても尋ねている。「今まで民泊を利用したことがない理由」については、「民泊施設の情報自体が身近にないから」が36.5%と一番高い。「安全面に不安があるから」「衛生面に不安があるから」などが続いた。
民泊に限らず、家族での宿泊の際に、何を重要視するかという問いには、「価格」が81%と突出して高く、次に「子連れに優しいか」「料理」と続いた。また、家族旅行で子どもにさせたい体験で多かったのは、「温泉に入る」が69%で一番高かった。以下「海や川で泳ぐ」「満天の星を眺める」「貝拾いや魚釣り」「虫をつかまえる」など自然とのふれあいが目立つ。
調査から、子どものいるファミリーの、民泊に対する意識を把握できたのではないだろうか。
民泊新法の施行により、法的に誰でも参入可能になったとはいえ、手続き・運営といったハードルは残る。民泊市場の急成長を見込み、民泊参入をサポートするサービスが次々に登場している。
急成長する民泊市場への参入をサポートするサービスの登場
2015年の民泊市場規模は約130億円だった。民泊物件データ検索サイト「SPIKEデータ」の予測では、2020年までに2,000億円前後の規模へと急成長が見込まれている。
民泊ビジネスへの参入をサポートするサービスを紹介したい。
民泊参入前には、物件のチェックが必要だ。matsuri technologies株式会社からは、「民泊・簡宿適法チェッカー」がリリースされている。matsuri technologiesは、民泊運営管理ツール「m2m Systems」を展開する企業だ。「民泊・簡宿適法チェッカー」では、用途と地域の住所を入力するだけで、民泊運用および物件が適法かどうか、最短1分で適法かどうかの判別が可能となっている。
東京都と大阪府が対応エリアとなっているが、今後、福岡県をはじめ順次拡大するという。問い合わせフォームを通じて民泊運用の相談や、疑問点についてもスタッフが対応してくれる。各自治体の民泊条例の最新情報の更新といった機能も、随時追加していく予定だ。
民泊ビジネス開始には、さまざまな手続きが必要となる。クラウド会計ソフトのfreeeと、民泊予約サイト運営の株式会社百戦錬磨からは、「民泊開業 freee」が、3月15日から提供開始されている。新たに民泊事業をスタートする人に向けて、必要な手続きや書類の作成を一気通貫でサポートするサービスだ。
「民泊開業 freee」では、住宅宿泊事業の届出に必要な情報や手続きが、ステップごとにわかりやすく解説されており、誰でも簡単に民泊をスタートできるようになる。
民泊を運営するには、集客、空室管理、問い合わせ対応、清掃といった業務が発生する。楽天 LIFULL STAYでは、民泊施設・簡易宿所オーナーおよび不動産事業者向けに「全部運用代行パッケージプラン」を提供している。楽天LIFULL STAY株式会社は、楽天グループの民泊事業会社だ。
すでに、アパートの賃貸事業と開発事業をコア事業とする、株式会社レオパレス 21向けに、民泊・宿泊運用に関わる一連の業務を一括して行う運用代行サービスの提供を始めている。
日本における「民泊」という新たな成長ビジネスのスタート地点
民泊には、インバウンド政策とのタッグにより、地方経済を盛り上げる効果が期待されている。また、少子高齢化社会を背景に増加している空き家の活用など、社会問題の解決にも有効とされている。
新法が施行されることにより、これまで課題とされていた、地域住民とのトラブルや、住宅地域の公衆衛生の確保などの問題への対応も進むだろう。外国人観光客だけではなく、ファミリー向けの民泊需要が存在することも、調査から分かる。
民泊物件のチェック・開業手続き・運営のサポート、といったサービスも出揃ってきたことで、「民泊」という新たな成長ビジネスへの参加者が、これからも増えていくことになりそうだ。
img: PR TIMES , 楽天LIFULL STAY