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「働き方」の多様化が進む現在、リモートワーカーなど、外出先でデスクワークを行う人々が多くなってきた。この場合カフェやオフィスが主な作業場所になるが、実際に到着するまで席の状況がわからない店舗が多いため、確実に空席を確保するのは難しかった。
そんな問題を解決してくれるアプリが登場した。株式会社CiaoTechnoligiesは、利用者から空いている席を予約できるアプリ「Seatify」の事前登録受付(一般ユーザー・店舗)を開始した。
同サービスは2018年3月よりアメリカで先行リリースされており、まずは東京都23区内を対象としたエリア展開から始める。
都市部におけるカフェの混雑解消がサービスの原点
近年、フリーランスやリモートワーカーのような固定のオフィスに通わずに、仕事をおこなう業態が増加している。しかし、同時に、作業する場所の一つとして選ばれる都市部におけるカフェの混雑が深刻な課題となってきた。
Seatifyは、周辺エリアのどのカフェも満席で探すのに時間がかかってしまった創業者の個人的な体験から生まれたもの。複数人で使えるけど、1人で占領してしまっているテーブルをシェアする、またカフェに限らず、リビングルームの一席や、オフィスの一席などカフェ以外の空席を提供することにより、個人が使えるスペースや機会が広がると考え、サービス設立にいたったという。
このサービスは、すでに施設に滞在している利用者(ホスト)が隣、もしくは目の前の席を相席として提供することにより成り立っている。空席を提供するホストにはアプリを登録すれば、誰でもなることができるという。
ユーザーは目的地へ向かう前に席を確保することができ、以下の施設でSeatifyを利用可能だ。
有償で提供することができる施設
- リストに登録済みの店舗内
- ユーザーが所有している施設内(オフィスや家など)
無償で提供することができる施設
- カフェ、レストラン、コワーキングスペース
- 図書館や大学のような公的施設
また、このサービスがもたらすシェアリングエコノミー体験としては、以下の3つがある。
- 席だけでなく、カバンの中身もシェア
空いている席を予約するだけでなく、ホストが登録しているレンタル品を借りることができる。また、スマホのバッテリーや、文房具といったアイテムがリストアップされる。 - 安心して席を離れられる
長時間作業していると、一時的に席を離れなければならない時がある。その場合でも、相席しているホストがユーザーの荷物を見ていてくれるので安心して離れられる。 - ビジネスやプライベートの繋がりが増える
相席をしたホストとの会話を楽しむことができる。
カラオケボックスを職場にするサービスも
前述したように、フリーランスという働き方が増加してきている。これは、「出勤する必要がない」ということである。このため、自宅での仕事にあきたら、カフェや公園、もしくは散歩しながら仕事をするという選択肢がある。こうした生活スタイルを後押しするサービスが今も世界中で生まれ続けている。
まず、都市部でのサービスとしては、土地の狭さと人の多さ、そして地価の高さからさまざまな「場所の可能性」を見つけ、活用している事例が多い。例えば、スターバックスが、サード・プレイスという名でブランディングに成功しているのもその一例と言えるだろう。
最近、この可能性を新たに解放したのが、カラオケルーム「ビックエコー」を展開する株式会社第一興商だ。同社は、ビッグエコーのうち首都圏27店舗で、ワークスペースを提供する新サービス「ビジネスプラン」を2017年4月より導入した。
カラオケルームは駅から近くアクセスしやすい立地が多く、カラオケならではの個室で周囲の目を気にすることなく会話ができ、机に広げた資料を第三者に見られる心配もないため、ビジネス利用として利便性の高さが注目されている。
第一興商とNTTコミュニケーションズ株式会社は、昨年12月から今年2月にかけてカラオケルームの一部にインターネット無線LANを導入。カラオケルームをワークスペースとして活用する実証実験を行っていた。今回スタートするビジネスプランは実証実験で得られたノウハウを活用したものだ。
ビジネス利用の料金プランは、全店舗一律で1ソフトドリンク付き60分600円、延長30分当たり300円、オープンから19時までのフリータイムは1,500円に設定されている。これは従来のコワーキングスペースと比較しても比較的安い料金設定。一部の店舗では、NTTが提供するインターネット無線LAN環境により、安定したインターネット接続を快適に利用することができる。
また、「spacious」は、日中は客足の少ないレストランが登録することで、コワーキングスペースとして貸し出すことができるようになるサービスだ。
レストランを登録すると受付のためのツールの提供や、コーヒーポットの提供などが行われ、レストランだった空間は働くためのスペースへと姿を変える。
さまざまな場所、国に拡がるサービス
驚くべきことに、「住みたい国」と「プロジェクト」をベースに人材と求人をマッチングするサービスも登場している。「Jobbatical(ジョバティカル)」がそれだ。このプラットフォームを利用すれば、スキルと最低限のコミュニケーション力(語学力)さえあれば世界中を旅しながら仕事ができるようになる。
また、スタートアップ企業への投資を行っているMistletoeのCEO孫泰蔵氏が推進しているのが「Living Anywhere」というコンセプトがある。最新テクノロジーなどを使い、ライフライン、医療、教育、そして仕事を提供することで、これまで暮らすことができなかった場所をも、人が生活を営める場所にしようという考えだ。
ユニークなのは、P2Pのボートレンタルプラットフォームを運営している「Boatsters」だ。Boatstersは、これまで構えていたオフィスを引き払い、スペインのマヨルカ島近辺を中心としながら海上を漂うボートオフィスで社員が仕事をしているのだ。
同プラットフォームには1万隻以上のボートが登録されており、主にヨーロッパ、タイ、オーストラリア、メキシコ、カリブ海、ブラジルで利用されているという。
進む「働き方改革」のインフラ整備
たしかに、フリーランスといえど自宅にこもってばかりでは限界が来る。このため、自ずと外出して環境の良い、働き場所を見つけることになる。
また、こういった「自由な働き方」は何もフリーランスばかりではない。「働き方改革」が進み、ミレニアル世代が台頭してくる今後は、たとえ正社員であっても、フリーランス的な働き方が増えてくるだろう。
「Seatify」のようなサービスの需要は確実にあり、このようなサービスが増えてくることは「働き方改革」を進めるうえで必要な、ある意味インフラ整備が進んでいるということにもなるのかもしれない。
img: PR TIMES , jobbatical