CtoC市場の発展によって、個人が古着や、時には自分で作った服を売ることが当たり前になりつつある。そういった商品購入の際、必須情報の一つとして挙げられるのが衣類の寸法だ。実際に手にとって試着することが難しいオンラインショッピングでは、正確なサイズ表示が不可欠だが、手作業で一つ一つ採寸を行うのは大きな手間となっていた。
今回、その手間を大幅に省いてくれるツールが登場した。米国のオリジナル社(Original Inc.)が展開するシリコンバレー発、10億通りのデザインを可能にするオンラインカスタムシャツブランド「Original Stitch(オリジナルスティッチ)」は、A4用紙を衣服の上に置き、写真を撮るだけでその寸法を測定できるAIアパレル採寸アプリ「MeasureBot(メジャーボット)」のローンチを発表した。
スマホとA4用紙だけで簡単に衣服の寸法を測定可能
MeasureBot は、スマートフォンとA4用紙を用意するだけで誰でも簡単に衣服の寸法を測定できる iOS 用の次世代AIアパレル採寸アプリである。
アプリを起動し、A4用紙を衣服の上または横に置き写真を撮影すると、AIが写真の中から用紙を検出し、衣服との寸法比較を開始する。その後、ユーザーが測定したい範囲をタップするだけで精度の高いアパレル採寸が可能となる。
必要な寸法データを取得した後、採寸結果を保存し、結果をエクスポートするまでの一連の動作を自動的に行うという。
MeasureBotは、日本国内でもC2Cマーケットプレイスが急成長していることを受けて開発された。C2Cマーケットプレイスのプラットフォームにおける販売アイテムの多くがアパレル製品であるため、より確実・簡単なアパレル採寸が必要とされているからだ。
これは従来、C2Cマーケットプレイスにおいて売り手と買い手双方にとって不安要素の一つであったサイズ問題を解決する、新たなツールとしての定着を視野に入れているという。
売り手は、このアプリを使用することであらゆる衣料品のサイズ情報を簡単に作成し、実際の採寸画像とともに商品ページにアップロードすることが可能だ。
MeasureBotに活用されているAI技術は米国特許を取得している。
ファッション業界を変革する新しいテクノロジーサービス
Eコマース、CtoC市場の発達に伴い、このところファッション業界に新しいテクノロジーを活用したサービスが次々と登場している。中でも、もっとも話題となっているのは、スタートトゥデイの採寸用ボディスーツ「ZOZOSUIT」だろう。
これは、全身約300~400個のマーカー読み取り方式を採用した全自動採寸のボディスーツだ。全体に施されたドットマーカーをスマホのカメラで360度撮影することで、精度の高い計測が可能となる新技術を搭載している。
このZOZOSUITは2017年11月22日に受付を開始したが、たった10時間で23万件もの配送予約があり、発送日を延期する事態にまでなった。2018年5月には予約数100万件を突破。今年度中に600万~1,000万着を無料配布する予定だという。
また今回、「MeasureBot」をローンチするOriginal Stitchは、前面と側面から全身写真を撮るだけで被写体の実寸を瞬時に測定できる身体採寸アプリ「Bodygram(ボディグラム)」の開発もおこなっている。
Bodygramは2017年8月、日本国内向けに初期サービスを開始した衣料採寸ツールだ。自動的にオブジェクトを認識する高機能マシンビジョンによって、シャツとともに撮影されたA4用紙と比較し、アイテムのサイズデータを自動的に読み取ることが出来る。
今年の夏には、より高精度なコンピュータアルゴリズムを駆使した身体採寸ツールとして新しくローンチする予定だ。
アパレルEC市場をさらに加速させる中心的な役割に
冒頭でも述べたが、誰もが簡単に個人で「モノ」を売り買いでき時代になった。その際の販売のとっかかりとなりやすいのが個人が所有する「不用品」である。古着などはその最たるものではないだろうか。
MeasureBotは簡単で、シームレスで信頼性が高いサイジング体験を生み出し、売り手にとってより効果的な販売活動をサポートする。これにより、アパレルEC市場をさらに加速させる中心的な役割を目指すという。今後の展開に期待したい。